人面魚、海へ行く②
前のお話、「人面魚、海へ行く」編
の第2弾です。
前回のお話の一部を少し変えました。
語尾に『〜』が付く鯉、鯉子
普通の話し方をする鯉、鯉未 の2匹
秋田県に行く理由は1つ、それは彼女達の故郷だから。元々、人面魚の鯉子と鯉未は秋田県にある、とある池で生まれた。今回、秋田県に行くのは彼女達の生まれた池に寄るためなのだ。
そして、彼女達が秋田県から遠く離れた紅坂高校にいた理由は、ある日、知らない人間に捕まえられ、トラックで運ばれた後に紅坂高校の池に放流されたからだ。
「今、どの辺りかしら〜」
「もうすぐ、秋田県に着く頃ね」
現在、鯉子と鯉未は大きな川を泳いでいる。すると、突然、上から大きな黒いクマのような手が水中に入り、鯉未の尻尾を鷲掴みにした。当然、鯉未は驚いて暴れるが、クマのような手は鯉未の事を離そうとはしない。
「鯉未を離しなさい〜!」
「ぎゃー(絶叫)!!!」
鯉未を掴んでいた手はゆっくりと水面へと上がる。鯉未を追って鯉子も上がろうとした時。
「あーれ〜」
鯉子も大きなクマのような手に尻尾を掴まれ、鯉未と同じく水面へと上がって行った。人面魚は普通の魚と違って陸でも息はできるので問題はないのだが、今は何者かに捕まっている状態で油断はできない。
川から引き上げられると、そこには、薄黄色の緩くウェーブが掛かった短い髪で空色のつぶらな目が特徴な少女が熊の腕で鯉子と鯉未を掴んでいた。
「熊の両腕、あなたもしかして川熊?」
「そうだよ、アタシは川熊。あんたら美味しそうだね。食べてもいい?」
そう言って川熊は大きな口を開けた。
「鯉未〜!」
「あーん」
「そいやっさぁ!」
食べられそうになった鯉未は体を大きくくねらせ暴れる。それが、川熊の両頬に当たり、現在、川熊は両頬をビンタされている状態だった。
「あだだだだだだだっ」
痛みに耐えかねた川熊は、思わず鯉未と鯉子を手放した。その一瞬の隙を逃さなかった2匹は、素早く川へ入り、口いっぱいに水を溜めると、水面から川熊へと勢いよく水を発射したのだった。
「「水鉄砲」」
「きゃっ、うわー」
驚いた川熊は、一目散にどこかへ行ってしまった。これで、もう辺りには危険がないと判断したが、また何者かに襲われる可能性があるため、水中深くで泳ぐことにした。
「はぁ、危なかったわね」
「本当に食べられるかと思った〜」
「川熊がいるって事は、もう秋田県に着いたのね」
「そういうことだね〜」
もうすぐで、生まれた池に着く。そう思うと、自然と泳ぐスピードが速くなっていた。
【川熊】
秋田県雄物川流域に現れたとされる妖怪
江戸時代の書物『月乃出羽路』
に記述があるそうです。
ちょいと、Wikipediaを利用させて
頂きました
それと、人面魚の鯉未と鯉子の
故郷は秋田県で尚且つ
陸でも息ができる設定にしてあります。




