座敷童と油赤子のクッキングタイム!
チャッチャラー!
時刻は午後5時
右手にはビデオカメラ、左手にはククリちゃんから渡されたおもちゃのマイクを持って司会を、するのは我楽多屋でバイトをしている私、宮川 萌香です。
現在、蓮さんのお宅にある台所で、ククリちゃんと油赤子のあーちゃんがお揃いのエプロンに身を包み、踏み台を使って台所に立っていました。
「ククリとあーちゃんのクッキングタイム〜」
「「いえーい」」
2人はノリノリです。ククリちゃんは表情が豊かで分かりやすいけれど、あーちゃんはいつも通りの無表情でノリノリなのか分かりにくいですが、そわそわしているので、楽しみなのかな
「2人が今日、作るのはなんですか?」
「「ゴボウとこんにゃくの揚げ物」」
息ピッタリのバッチリカメラ目線で言いましたよ。ちなみにゴボウとこんにゃくの揚げ物という料理を提案したのは私です。この前、家で作ったら鬼さんの反応が良くて、なおかつ私も美味しいと思った料理だからです。蓮さんもオススメしていましたよ。
「まずは、ゴボウを切って水につけるよ」
「こんにゃくも食べやすい大きさに切る」
ゴボウを切っているのはククリちゃんで、こんにゃくを切っているのはあーちゃん。それにしても2人とも包丁の使い方が慣れているな。
「水を2回くらい変えて、アク抜きをして煮汁で煮込みます」
「ます」
グツグツ、グツグツ
「煮汁が減って、照り焼きみたいにキラキラしてきたら煮汁を捨てます」
「捨てたら、次は衣つくり。粉は混ぜ過ぎないのがポイント」
このポイントも私があーちゃんに教えました。
「衣につけて、揚げます。ここであーちゃんの美味しい油の登場だよ!」
ピッカーン
あーちゃんの小さいの中に入っていたのは、私が貰った、あの美味しい油の小瓶だった。その中身をあーちゃんは熱した油の中に数滴入れました。
「2〜3滴入れればそれで充分」
そんなんですよ。あーちゃんの美味しい油は、油の中に数滴入れるだけで、美味しい油へと変えてしまう代物なのです。私もこの方法で、天ぷらやゴボウとこんにゃくの揚げ物を作りましたよ。
「あとは、揚げるだけだよ」
「火傷に注意で」
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「「完成〜」」
綺麗にお皿に盛り付けられた、ゴボウとこんにゃくの揚げ物はとても美味しそうです。しかも、ククリちゃんとあーちゃんが作った品物なら当然のことです。
「まずは、蓮に食べてもらおうね!」
「うん」
「おねえちゃん、ちょっとここで待ってて、蓮に味見して貰って来るから」
「えっ!」
そう言って、ククリちゃんとあーちゃんはお店の方にいる蓮さんのところに、出来たての料理を持って行くのでした。
やっぱり最初に食べてもらいたいのは蓮さんだよね。私が1番に食べたかったけど、ここは我慢です。
* * *
数分後、私のところに戻ってきたククリちゃんとあーちゃんの手の中にあるお皿には、ゴボウとこんにゃくの揚げ物が1つもありませんでした。
「蓮が全部食べちゃった」
「ククリも私も食べた」
つまり、私のことを忘れて、みんなで食べてしまった。ということですね。
「私のことは気にしなくていいよ。食べて貰いたい人に食べて貰ったんだから、それで、OKでしょ?」
「おねえちゃんの分は、また今度作るからね」
「私も作る」
「2人ともありがとう」
これにて、ククリちゃんとあーちゃんのクッキングタイムは終了です!