妖精族、エルフ族、精霊族の過去
回想シーンが始まる前にティンク様に忠告をせねば・・・
「ティンク様、ゲームでは岩の上に移動することはできないのですが・・・・」
「良いではないか、飛ぶのが疲れたのだ」
五十年前、ここ古代遺跡には妖精族の他にも精霊族やエルフ族が住んでいた。
この地は平和そのものだった。
だが、五十年前のあの日・・・・
・・・・・人間族が襲ってきたのだ・・・・・
人間1「うぉぉおおおらぁぁぁああああああ!!!!」
・・・・人間たちは荒れ狂い、手当たり次第に我らの仲間を斬っていった・・・・
我はとっさに仲間たちに隠れるように指示した。
ある者は岩陰に、またある者は木の陰に・・・・
妖精族はこうすることしか出来なかった。元々魔力が高かったのだが
まともに遣り合えば全滅する、我はそう判断して指示したのだった。
エルフ族は勝てないと判断し、古代遺跡から逃亡。だが人間族の追撃を喰らい
数が激減したらしい。当時の30%の50人に・・・・
そして今はジャングルで暮らしているらしい。
だが、精霊族は違った。
元々精霊族は書が無くても魔法を使えた。炎の精なら炎を、
大地の精なら大地を操ることができ、気のせい・・・・ではなく
木の精は木を操る・・・・・・その力は強大だった。
だが、精霊族の数は他の種族に比べてかなり少ない。
その時はたったの10人しか居なかったのだ。
対して人間族は300、勝てるはずはなかった。
古代遺跡に居た精霊族は、光の精・木の精霊・風の精・水の精霊・
火の精・命の精霊・雷の精霊・音の精そして・・・闇の精。
ちなみに、精霊と精の違いは強さの違いらしい。詳しいことは知らないが・・・
精霊族は強いが、脆いのだ。精霊族は本体・・・・・丁度野球ボール程度の
大きさの球体があり、その周りを魔力で体を作り出している・・・実際は幻影に近いのだが。
その幻影は何度か斬りつけるだけで消滅する。消滅した後に残る
本体は無力、抵抗する力は皆無だ。出来ることといえば
逃げるか隠れるのみ。幻影の生成には早くて一時間はかかるのだ・・・・
人間族との戦いがどうだったかは隠れていたので知らない。
だが戦いが相当激しかったのは聞こえてくる絶叫の声、雷鳴や時々辺りが明るくなり人間族の悲鳴が聞こえる、その事で大体はわかるのだ・・・・
その後、地を揺らし木をへし折るがごとくの爆音に近い音が辺りを包み込んだ。
・・・・・・・しばし沈黙の後、我は隠れていた場所から戦いがあった所と見た。
そこには人間の原型を辛うじて残している屍骸、所々焼けており深い穴が開いている地面、
崩壊している遺跡の一部、そして・・・・・・
息を切らしながら辛うじて立っている闇の精が目に映った・・・・・・
「闇ぃ!」
我は思わずそう叫んだ。ちなみに 闇 とは闇の精の略だ。
我は回復の杖を持ち出し闇の側に行き、杖を振った。
杖は眩い光の粒を放ち、その粒は闇に降りかかった。
その後、闇は回復した。あの戦いから一ヶ月後の事だが。
その後、北にある魔物の住む城へ向かった。魔物を引き連れ
人間を滅ぼすため・・・・では無かった。二度と争いの無い
世界を作るために・・・・・・・
「そうだったのですか・・・・・・」
ゴーンはそう呟くと北の方を向いた。
我も北の方を向き、呟いた。
「そうだったのだ・・・・」