古代遺跡
物語は深くなるようにしました。
歩き始めて15分後、『古代遺跡へ 後500m』という看板が見えた。
そこにマゼンダは座り込んだ。
「どうしたマゼンダ、若いのにもうへばったのか?」
ジルバの問いに対しマゼンダはジルバをキッっと睨んだ後ブロントの方を向いてぶっきらぼうに言った。
「そろそろ聞かせてくれる?古代遺跡へ行くのを急ぐ理由を」
ブロントはしょうがないという顔をしてため息をつくと話し始めた。
「さっき魔王軍の伝令を捕らえた。古代遺跡にガーゴイルが二体来るらしい。
多分普通のガーゴイルよりかなり劣っているだろう。
だが、今の我らには十分不利になる。そうなる前に古代遺跡を
制圧して、ガーゴイルを迎え討つのだ。わかったらさっさと歩け」
ブロントはそう言い放ち、マントを風になびかせてさっさと歩いていった。
ブルースとテミも歩き始め、自称年寄りのジルバもゆっくりと・・・ではなく
普通に歩いていった。どうやら肉体年齢は青年のようだ。
マゼンダは文句を言いながら渋々と歩き始めた・・・・・
古代遺跡・・・・・そこは魔物と妖精が共存する場所――――
妖精のみでは他の種族には勝てない。
そして魔物だけでは心細いのだ。何より回復要員がいない
ので妖精にやってもらっているということだ。
だが、魔物は妖精を攻撃しないのは何故か?
答えは簡単。だが、別に答えは『簡単』だということではない。
妖精族が滅びる、又は古代遺跡からいなくなると
古代遺跡は崩壊し、妖精を滅ぼした種族は立ち入ることができなくなる。
そんな場所に声が飛んだ。
「ゴーン様、勇者団が来ました!」
この声の主は白蛇隊の隊長のスネスだ。
そして私はゴーン。この古代遺跡駐屯軍の部隊長だ。
「ご苦労。よし、すぐに第3種戦闘配置につくように号令をかけてもらいたい」
* * *
その時後ろからフワッとした光が近づいてきた。
私は反射的に後ろを向いた。
そこにいた者とは・・・・・
「また人間かぁ?全く物騒な世の中になってきたな・・・・・」
「あ、ティンク様でしたか。」
「あぁ、そうそう。妖精達は皆第三種戦闘配置に着かせたぞ」
この妖精はティンク様、妖精族の長だ。
妖精族・・・・・大体人間の顔程度の身長で四枚の透き通った羽根があり
薄い緑色の髪が特徴だ・・・・・・
「いつもいつもすみません・・・・・」
私は軽く頭を下げた。ティンク様は フッ っと笑い
「我々もここを守らねばならん。それにアイツはここの出身だからなぁ、手伝うのは当然だ」
と軽く言ってから近くの岩に座った。
そう言えば確か魔王様は妖精族だと言っていたが・・・・
時は今から50年前・・・・・