魔王の苦悩
「我々は内乱をおこした者達しか殺していないのだぞ!勇者団も全て気絶させて逃がしているのだぞ!何故差別させるのだ!正義のために戦っていてなにが悪い!王の座も前国王から正式に受け継いだのだぞ!それが何だ!前に取られた国土も半分は取り返したのだぞ!それなのに人間達は私を殺して王の座を奪おうとしているのだぞ!私達が魔物だと言う理由から!建前はそうだが、本音は私を殺して王の座を奪い取ることだ!これまで魔王軍はこの国内の市民のを殺したか!何故か殺したということになっている!濡れ衣だ!」
魔王様はそこまでしゃべると、いったん水を飲み「ふぅ」と、溜息をついた。
「ガーグ、その他の戦力増強は君に任せる。
特にラピスとコロシアムを落とされたらかなりの痛手になる」
魔王様はそう言うと、部屋を出て行った。
多分『闇ちゃんのお部屋』に行ったのだろう。
・・・・・考えると吹き出してしまった。魔王様に見られていたら即死刑だった。
私は、伝達スライムのところへ行った。
伝達スライムとは、情報を伝達するスライムのことだ。スライムベスもいる。
伝達スライムは、修行をして超能力が使えるようになったとか。
うそ臭いが。
「嘘じゃ無いですよ、ガーグ様。今日はどんな伝令ですか?」
いきなり伝達スライムが話しかけてきた。
まあ、超能力は嘘じゃないと思っておこう。
私はしばらく考えた。魔王様に他の戦力増強を私に押し付けたのだから。
「じゃあ、ラピスへ向かっている双子のガーゴイルを古代遺跡へ。
蜂の巣には、分裂スライムを1人送ってくれ。草原には
ウィスプ10人と、分裂スライムを5匹を向かわせる。そして、山間の村を、
オグア隊で攻めてくれ。以上だ。」
私はそう言い終ると、立ち去ろうとした。だが、伝達スライムに呼び止められた。
「えっと、ラピスとコロシアム、峡谷はどうします?」
私は少し考えると、
「オグア隊に第3戦力補充スライム隊を連れて行くよう言ってくれ。
スライム隊はコロシアムへ留まらせてくれ。
ラピスへは、第6戦力補充火山隊に行ってもらう」
伝達スライムは、了解、と言って部屋に入っていった。
・・・・何をしているのか気になる・・・・・・
だが、そんな心を抑えて私は王の間へ戻った。
* * *
「ほにゃほにゃ〜〜〜ほにゃほにゃ〜〜〜」
そこの画面の前のアナタ!初めまして、伝令スライムのスラリーっす。
今超能力を使って伝令を伝えているところだけど、応答がねえっす。
尾語に『っす』をつけるなっすか?ダメっす。これだけは譲れねえっす。
・・・・ガーゴイルの兄弟め・・・・・・!何処かで道草を食ってるっすな!