私が企む話 パート③
私の好きなキャラクターが5月5日に誕生日なので、お祝いと称して投稿(笑)
総合評価が気づいたら100ポイントを超えていました。
ありがとうございます!!
「…スーウ、脱走して、どうするんだ?」
ミゼンの一言で、沸き立った彼らは一気に意気消沈した。
「…それね。とりあえず、みんながどうしたいか聞きたい、けど」
「…俺たちみたいなやつらが、受け入れられるわけがねぇ」
ディスが吐き捨てるように言った。
スーフォたちも、同意を示すように俯く。
大人たちは苦虫を噛み潰したような顔をして、それぞれ視線を反らした。
「…本当にそう思ってるなら、私の案を聞かなくていい?」
「…スーウには俺たちが普通に生きることが出来ると思ってんのか?」
「もちろん!」
私は笑顔で言ってのけた。
当然だ。むしろ、私たちのような者だから、社会に溶け込んで生きていけるのだ。
「私の案では、孤児院を始めようと思うんだー」
「孤児院…?」
「そう。私たちみたいなのをこれ以上増やさないように」
「だけど…土地とかはどうするんだい?コネがなければ土地だって借りれないし、建物だって僕たちじゃ作れないよ」
「そこは私たちの本業を使いまーす。あ、殺しはしないけど。それに色々情報が入ってて、丁度良さそうな場所も見つけたし!」
この日のために下調べは済ませてある。
当然、みんなの職業だって考えてある。
「それに、ヴェルトが一肌脱いでくれるからねー!」
「はぁ?聞いてねぇぞ」
「大丈夫。そんな大変なことやらせないから」
「…」
私は自信満々の笑顔で言う。
「私を信じて。私に着いてきて!この3年間の恩を返させて!」
二日後。
深夜。
みんなは明日のために寝ていて、私は1人、洞窟を出て立っていた。
空に浮かぶ月は三つ。
それがやはり地球じゃないんだと、私に教えてくれる。
そういえば、前世の家族はどうしてるんだろう。
あの家族のことだから、私を殺したやつを拷問してそうだなぁ。
元気かな。元気であってくれればいい。
今世の家族もどうしてるんだろう。
ハルトはきっと大丈夫。
だってアルベルト様とマリオット様がついてるから。
心配なのはお父さん。
…お願い、生きていて。
お母さん、ごめんなさい。
私が弱かったせいでお母さんを傷つけた。
感傷に浸っていた私はあることに気づく。
…ん?月が4つに増えて…?
「よ、キリヤ」
「…神様(笑)か!!」
月だと思ったのは光の玉である神様(笑)だった。
「その(笑)やめてくれないか?ヴェルトに言っても分かってくれないし」
「そりゃ(笑)の意味分かったら怖いでしょ。まぁいいや。やめてあげる」
「…上から目線だな、おい」
「それで?何しに来たの?」
「封印を解きに来た」
光の玉はふわふわと私の周りを飛び、静かに音を奏で始めた。
その一音一音に、私の体に少しずつ何かが注がれていく。
それは魔力だったり、霊力だったり、神通力だったり。
訳の分からないものもあるけど、それらが全て必要以上に注ぎ込まれているのが分かる。
「え、神様、こんなに入る?」
「もともとキリヤの中にあったものだぞ。キリヤの魂は俺並みだし、器も俺並みだから。まぁ俺には劣るけどな!」
「馬鹿にしてんのか褒めてんのかどっちかにして。…ヴェルトよりも強くなっちゃった?」
「キリヤが本気出せばな。でもキリヤのことだから力のほとんどを知らない内に封じてると思うぞ。今ですら封じてるしな」
「…まぁ今まで魔力とかないのが私の日常だったし。正直あんまりいらないかも?」
「欲しいと思うことになる。まぁ、普段はいらないだろうから、これをやるよ」
神様は私の目の前に戻ってきて、ポン、と何かを出した。
それは真っ白な石が連なって出来たブレスレットである。
「はーい、手ー出してー」
言われた通り手を出すと腕にはめてくれた。
おお、流石神様!
フィット感が丁度いいです。
「それ、念じれば力しまっておけるし、出すことも出来るようにしてあるから」
「ほう。了解した」
「…ホント、キリヤって馬鹿だよなぁ」
「喧嘩売ってんのかコノヤロウ」
「…キリヤ!!」
神様にガンを飛ばしていると、背後から声がした。




