私が復讐する話 パート②
今更になりますが、感想を下さった方々、本当にありがとうございます!!
今後も暇つぶし程度に読んで行ってください(^^)/
私に最初に気づいたのは見知らぬ男だった。
「おい、何してんだガキ!」
私はそいつにニッコリと笑って言った。
「ディグザムに用がある。キリヤって言えば分かるから」
「はぁ?ふざけてんのか?」
男は私の肩を掴もうとして、しかし掴めなかった。
私が足を引っ掛け転ばせたから。
見事にひっくり返った男の鳩尾を蹴り、気絶させる。
異変に気づいたようで、周りがざわめき始めた。
ざわめき始めた集団の中に、見知った顔を見つけた。
「…あ、バーンさんだ。今晩は。お久しぶりです」
「え、あ、俺?てかお前何?」
「あー…3年前の話だからなぁ。覚えてないかも?私、キリヤです。ほら、小さい村であなたを出し抜いた」
「は、あ?も、もしかして、魔術師のガキを捕まえに行った時の…」
「そうです!ディグザムはいますか?会いにきたんです」
笑う私に怯えたバーンさんは、走ってディグザムのところに行った。
周りは私をタダのガキだと思ったのか、2、3人が襲い掛かってきた。
私はそれを避け、次々と気絶させていく。
「雑魚に興味は無いんだ。ディグザムとあの時のメンバーに会いに来たの」
私はバーンさんを追いかけるようにゆっくり歩いた。
周りは、何故か道を開けていく。
人の道が切れると、その先には、ディグザムがいた。
何かの毛皮の上に座り、悠々とグラスの中の液体を口にしている。
「よぉ、キリヤ」
「久しぶり、ディグザム」
「思ったより早かったなぁ。飲むか?」
「未成年だし…でも、一口だけ貰おうかな?」
私はディグザムに近づき、目の前に座った。
ディグザムは持っていたグラスを私に差し出す。
「えー、新しいグラスがいい」
「一口しか飲まねぇなら無駄だろ?」
「じゃあ一杯飲む」
それを聞いたディグザムは部下にグラスを持ってこさせ、そのグラスに酒を注いだ。
「再会を祝って乾杯」
「馬鹿でしょ。乾杯とか」
それでもグラスを音を立てて合わせ、私は酒を飲んだ。
「うわ、まず!」
「あぁ?この安酒が旨ぇんだろぉ」
「慣れてるからでしょ。私は高級なお酒がいい」
「馬鹿言うな。俺の稼ぎじゃ無理だ」
和やかな会話が、より一層、周りの空気を凍らせた。
「…さて、と。それにしてもキリヤ、お前幾つになったよ?」
「来週で10」
「はー!早ぇなぁ。あれから3年かぁ?おい、もっと育ってから俺に会いに来いよ。抱いてやったのに」
「やだよ。それに10歳になると私が圧勝しちゃうから」
「そうかそうか。まぁ、その年なら抱いてやってもいいけどな」
「ぜってぇヤダ。てか私は配慮してあげたんだって。ディグザムが年取ったら私に勝てなくなるだろ?」
「もう酔ったのかぁ?これだからガキはよぉ」
私は持っていたグラスを振り上げ、酒を背後から襲い掛かってきた男にぶっかけた。
怯んだ男に回転しながら蹴りを入れ、ぶっ飛ばす。
「おいおい。酒が勿体ねぇ」
「あんたの部下に言って。さて、酒もなくなったし、殺ろうよ」
私の言葉に、ディグザムは残りの酒を一気に煽った。
「おい!テメェらぁ!全員で掛かってやれ!殺すなよぉ!こいつは俺が犯す!」
ディグザムの言葉で、宴が始まった。
こんなの、ミゼンに比べたら蟻のようなものだ。
私はゆったりと、だけど確実に1人1人潰していく。
中には怯えて逃げようとしたやつも居たが、逃がさずちゃんと潰した。
ここが森の中であるということも私にとって有利だ。
石も木も葉っぱですら、私にとっては武器になる。
精霊の気配を感じ、私は炎の側に跳んだ。
影から、影より濃い闇が這い出ていた。
「ランドさん!会いたかったんだ!お礼しないといけないと思ってさぁ」
森に隠れているだろうランドさんに私は声をかける。
私は燃える薪から一本だけ拝借し、森に投げつけた。
薪は枯れ葉に燃え移り、瞬く間に広がっていく。
ランドさんは慌てて森から出てきた。
「ランドさん、私の足と腕、治してくれたんだよね?ありがとう」
「…行け!」
上位精霊に命令したのだろう、周りにある全ての影から、闇が這い出てきた。
その闇が私に襲い掛かる前に、私はランドさんの前に移動する。
「ひっ…」
「じゃあね」
鳩尾を殴り、且つ頭を蹴った。
ランドさんは気絶し、精霊の気配も消える。
気づけば、私とディグザムだけだった。




