私が死ぬ話、あるいは宇宙 パート②
主人公、こんな性格じゃなかったはず…
おかしいなー…?
で、当然私は死んだわけだ。
だって、刺されたのは一回だけではなかったから。
呆然とする少女を抱きしめ、背中を三度ほど刺された。
誰かが通報したのか、四度目でやっと警察がきた。
私は駆け寄ってくる警察の一人に少女を突き飛ばし、五度目が刺されたのを感じ、そのまま振り返った。
包丁は私の背中に刺さったままである。
返り血でベタベタしている男は何故かポカンとしていた。
私にとっては好都合だったので、男に掴みかかり、背負い投げを喰らわせた。
受け身を取れなかった男は気絶し、その男に警察が折り重なるように殺到した。
そして、私の意識はシャットアウトした。
気付けばお花畑に立っていて、目の前には川。
所謂、三途の川とやらである。
あー、向こうで死んだ曾々おばあちゃんが手招きしてるわー。
あ、橋がある。
え、なに?それで渡れって?
はーい。
素直に私はその橋を渡り、無事黄泉の国へ旅立った…
というのが、私の最後の記憶である。
あれー?おかしいな?
回想してみたら血塗れの女が殺人犯背負い投げって恐ろしいな!
うーむ、私的にはカッコ良く決めたはずなんだけど…
「…神様、人の子が暴走しております。どうにかしたほうが良いのでは?」
「あぁ、大丈夫だ。彼女はあれが平常運転だから」
…おかしい。聞いたことある声がする。
「…彼女は頭がおかしいのでは?」
「いや、それはない。それなら俺が選ぶと思うか?」
「魂の問題だったのでは」
「魂ももちろんだが、頭がおかしいやつに別の世界に行けなんて頼むか?なぁ、桐耶」
「うんそうだね神様!自称神(笑)よりは頭大丈夫だと思う」
振り返ったら、宙に浮く光の球と羽の生えた天使っぽい人がいた。