私が成長する話、それか幼少期 パート④
キリヤが少しはっちゃけます。
何故かテンションが高い。
お気に入り登録がついに二桁に!!
ありがとうございます!!
キリヤのテンションがはっちゃけたのは私のせいですね、きっと。
私はお父さんの工房に来ていた。
ハルトはお昼寝してるし、お母さんは村に行って色々教わってるらしい。
お父さんはハルトを工房に入れることはないが、私は許されている。
私だって3歳のときは入れなかったけどね。
私が危険なことをしないと分かっているらしく、私が見学していいかと聞くと無言で頷いた。
「お父さん、今は何作ってるの?」
「…ナイフだ」
「売り物?」
「…キリヤに」
「くれるの!?ほんとに!?」
「…」
無言で頷くお父さんは一生懸命金属を打っている。
うーん、話しかけないほうがいいな。
私が見たところ、お父さんは鍛冶師として超一流だ。
私の予想では、お父さんとお母さんは駆け落ちか何かをしてきたんだと思う。
お父さんはこの村の出身で、村総出で二人を隠してるんじゃないかなー?
何てドラマですか。
お母さんの所作を見ている感じでは、そこそこのマナーを身につけているようなので、男爵家の次女とか…
「…俺とリリアは駆け落ちじゃないぞ」
…お父さん、何故私の考えてることが分かった!?
「駆け落ちじゃないの?」
「…あぁ。俺はこの村の出身で王都で鍛冶師として働いていた。リリアは王都で研究者として働いていた」
…今回は長く喋ったね!
こんなに長く喋れるんだ!
初めて見たよ、そんな喋るの。
「…キリヤは魔力がないが、それは普通の人間じゃありえない」
「…私、人間じゃないってこと?」
「…そうじゃない。リリアはキリヤみたいな魔盲と呼ばれる存在の研究をしていたんだ。魔力がなければ人は生きられない。だから封印されているのではと考えた」
「…じゃあ私も封印されてるのかな?」
「…キリヤは賢いからな」
…意味深で怖い!!
お父さん絶対私のこと気づいてるよね。それであえて内緒にしてやるよ、みたいな!?
「…俺たちはキリヤの味方だからな。苦しかったら苦しいと言うんだぞ」
…お父さん…
格好いいね!相変わらず!
そして照れて赤くなってるとこホント可愛いな!!
「うん、ありがとう!私もお父さんとお母さんとハルトの味方だよ!」
帰ってきたお母さんは夕食の用意を始めた。
私は手伝うためにキッチンに向かう。
「手伝うよ!」
「あら、ありがとう!ハルトは?」
「まだ寝てる。多分いっぱい遊んだから」
「ふふ。寝る子は育つって言うものね。ハルトはきっとお父さんより大きくなるわね」
お父さんは180センチはあるから、それよりデカくなるのか。
ハルト…せっかく可愛いのに。
「キリヤ、ハルトに変わったことはない?」
「へ?」
「…精霊の跡が残ってるの。それも強い精霊の」
「…精霊って…」
「キリヤには見えてないかしら?キラキラ光ってる小さなの」
見えてるよ、見えてるけど…
お母さんにも見えてるのか。
人間は本来見えない。何故なら必要がないからだ。精霊術を使うわけではないから、見える必要なんてない。
例外で、ハルトのように魔術に秀でる人間や精霊に愛される人間は見えることもあるが…
んー…お母さん何者だ?
「…村でね、領主様がいらっしゃるって聞いたの。…強い魔力を持つ子供がここにいるって…」
「そ、れは…ハルト、のこと…」
「…えぇ。領主様はとても良い方々なの。でも、お子様はいらっしゃらなくて…」
「じゃあ、養子にするってこと!?」
「その可能性は高いわ。隠すことは出来ない…」
お母さんの話では、領主様はとても力の強い魔術師を従えていて、その魔術師は素養のある子供を見つけることができるらしい。
それに、見事にハルトがヒットしたようだ。
「…領主様が来るのは、いつ?」
「二週間後って聞いたわ。逃げるわけにはいかないし…」
…そうか。
ハルトのことを考えれば、領主様の養子になることは悪いことではない。
何ならこの家を出て、家族皆で領主様のお膝元で暮らせばいい。
でも、そうするとシルフィとルーチェはどうするんだろう。
向こうじゃ遊べる場所なんて少ないだろうし。
…二人に相談するか。