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部下を集めます

何度も繰り返している内に連続投稿がダメになっていました、スイマセン。

今日は連続投稿します。

 



 王国全土に志願者を募って1ヶ月、辺境のギルドにまで募集をかけていたクリスティは拠点の家具を揃えたり魔導騎士団本部での雑務まで頼まれたりと忙しい毎日を送っていた。


 取り分けパトリックの捜索に借り出される事が多く、1週間でクリスティはパトリック専門の捜索者(シーカー)となってしまっていた。


 そしてクリスティの募集に応募した志願者達を試験する日がやってきた。


 イェーガーが優雅に紅茶を飲みながらクリスティに集まっている志願者達がたくさん来ていると報告していた。


「にしてもお嬢、本当に志願者達に金を配るのけ?

 合格した奴らに一時支度金を渡すのならともかく、落ちた連中にまで金をばら撒くとかもったいなくね?」


「あたしも同感だねクリスティ、落ちた連中は実力が…あんたのお眼鏡に適わなかった連中っていう事でしょ?

 そんな連中にワザワザ交通費を渡すなんて…意味なんてあるの?」


 ジョナも朝食を食べながらイェーガーの意見に同調した。


 魔導騎士になったとはいえ、クリスティは給金の殆どを拠点の改築と生活費に充てていて、いくら冒険者をしていた頃の貯金があるとはいえ、散財する事に対して反対しているのである。


「意味ならあるわよ」


 自信満々に返したクリスティはイェーガーとジョナの反応を楽しそうに笑っていた。


「こういってはなんだけど、一次試験の不合格になる連中の殆どは身の程知らずのゴロツキでしょう。

 そういう連中にはさすがの私も交通費を渡す気はないわ。不愉快だしね。

 渡すのは辺境から来た志願者達ね、気概のある連中は嫌いじゃないわ。

 そういった連中は間違いなく一次試験には受かるわ、交通費に関しては二次試験から渡しましょうか。

 それでも一次試験に落ちた辺境からの志願者には後でこっそりと渡せばいいわ、ついでとばかりに私の人となりを教えて私の印象を改善してもらう手伝いもしてもらえばいいのよ」


 バルトリム王国において、クリスティ・ツヴァイ・リンデンバーグという少女は恐怖の対象だ。


 内戦において英霊に命じて何万もの命を奪わせた張本人として名の馳せてしまったクリスティの印象はもはや悪鬼(イェーガー)と同列に扱われている始末だ。


鴉の木(ルフト)】に命じてイメージアップを図ってみてはいるが、あまり芳しくない成果しか上がってきていない。


 そこでクリスティはこの志願者達を利用しようと考えたのだ。


 王都周辺は貴族勢力が強くその印象を改善するのには時間が掛かってしまうだろうが、辺境ならばさしたる妨害もなく改善する方向になると予測したのである。


 もちろん希望的観測が多分に含まれているが、それでもクリスティはこの予測が外れているようには考えていなかった。


 中央貴族達と辺境貴族達は互いに反目しあっているのである。


 同じ貴族派と呼ばれる彼らも一枚岩ではないという事がクリスティの笑いを誘うのだが、いがみ合っている派閥内抗争の隙に辺境の自分に対する印象を改善しようとしたのである。


「…まぁダメで元々な作戦だし、いまさらイメージ戦略したところで遅すぎるんだけど。

 いいのよ別に、金は天下の回り物、王国経済の活性化に寄与してあげるんだから、どっちに転んでもいいのよ」


 貴族派の中でも2大公爵家といわれたラフティル公爵家の権威が落ちた今、クリスティの悩みの種はもう一つの公爵家、ヴィマーニ公爵家だ。


 実の妹セルディアとヴィマーニ公爵家の長男アーデントは恋仲だという事で警戒していたのだが、その権力を利用してクリスティに何らかの行動を起こすのではないかと考えたのだ。


 しかし、一向に尻尾も見せない為逆に諜報組織を使い情報を探ってみたのだが、クリスティに対して一定の興味はあるものの必要以上に関わろうという気がまるでなかったのである。


 別段クリスティはこの作戦でどう転んでも大損をしないので気にも止めていないが、遠目からじっと見つめられていていい気はしていなかった。


 ヴィマーニ公爵家が何らかの行動を起こしてクリスティに何らかの被害が及べば間違いなく戦争となるだろう。


 それを密かに狙っているクリスティだが、隙を衝こうにもまず相手が動こうとしないのだから手の出し様がなかった。


「……この話はこれで終わりよ。

 下で志願者達が待っているし、行くとするわ。

 イェーガー、ジョナ、行くわよ」


「アイアイサー!!」


「分かったわ」


 席を立ったクリスティは志願者達の待つ拠点前にイェーガーが作り出した異空間に向かっていくのだった。




 ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■



 クリスティの募集に志願した物は貴族平民問わず計780人に及んだ。


 当然だが合格する者はこの中から400名までとなっているが、何もこの一度で全てを決める訳ではない。


 780人の内380人を落として400人を採用する、という訳ではないのだ。


 落とす者はとことん落とす、例え定員の400人を切ろうとも、不要な者は不要なのだ。


 500人落とすかもしれないし、600人、もしかすれば1人も採用される事は無いかもしれないのだ。


 辺境から王都に来て一旗上げようと夢をみている者がいるかもしれないが、気概の無い者にクリスティはその夢を容赦なく粉砕するだろう。


 異空間に集められた志願者達はレーヴェとバーレンから既に志願者バッチを付けていて、1から780まで全員が揃っていた。


 屈強な戦士から繊細そうな魔導師、戦闘経験の殆ど無い若者、そして各種族が犇いていた。


 中には貴族派からの諜報員(スパイ)が紛れ込んでいる可能性もあるが、それも踏まえてクリスティは試験をすると決めていたのである。


 中には魔導騎士試験に落ちた者もいるようで、本戦にまで上り詰めた志望者がいれば間違いなく合格するだろうが、明らかに相応しくないゴロツキの様な者が目立つのも確かだ。


 一次試験はこういったゴロツキや身の程知らずを篩い落とす物なのだ。


「全員注目っ!!」


 クリスティが全員に聞こえるほどの大声を上げて志願者達に声をかける。


「おい、あれが…?」


「ああ、あれがクリスティ・ツヴァイ・リンデンバーグ。

 剣聖を倒したリンデンバーグ侯爵家の長女だ」


「貴族の…しかも女だ…本当に強いのか?」


 ひそひそと話し込む志願者達だが、何せ500人を超す大人数だ、小声で話そうと人数が膨らめば膨らむほどその音量も大きくなっていき、クリスティが来るまでの喧騒になるのに然程時間は掛からなかった。


 侮られていると思ったクリスティはすぐさま魔剣を抜いて再度大声を上げる。


「騒がしいわね、今すぐ黙らないと全員不合格にして終わらせるわよ!!」


 今度こそ志願者達の声は鳴りを潜めた、赤い英霊がニヤついてはいるがクリスティは一々相手にはしない。


「まずは志願してくれた事に感謝を、私が今回お前達に参集を呼びかけた魔導騎士クリスティ・ツヴァイ・リンデンバーグよ。

 知っている者はいると思うけど、今年の魔導騎士入団試験でトップの成績で合格して、訓練期間を省略して正式な騎士となったわ。

 これから募集をするのは私の部下になる者達よ。

 この部隊に必要な者は2種類よ、上を目指す者、そして強者よ、気概も覚悟も無い無駄飯喰らいを部下にする気はないわ。

 だから、これからお前達を試験する。

 試験は全部で3つあるわ、心配しなくても筆記試験をしたりはないわ、加点対象にはなるけどね。

 それを全て合格した者が私の部下になるのよ」


 ―――どう、嬉しいでしょう?


 そう笑ったクリスティの笑顔にやられた者がいたが、半数以上の志願者達はその一瞬で顔を引き攣らせた。


 クリスティが笑った瞬間、クリスティが志願者達に殺気を向けたのである。


 既に試験が始まっているのだと気付いた者達は気を引き締め、気付いていない者達はクリスティの笑顔にやられて一次試験を脱落する事が殆ど決定したのだった。


「…ふぅん?」


 イェーガーが目を細めてある志願者を見つめたが、すぐに目をそらした。


 クリスティはイェーガーの様子に気付き視線の先を見たが、何も言わずに試験を続ける事にした。


「まずは第一試験よ!!

 これから剣を渡すから各自素振りをしなさい。

 回数は100本よ、やる気のない者はすぐに落とすわ、目の前に憎い敵がいると思いながら剣を振るいなさい!!

 魔導兵志願者は指定した的を10個破壊しなさい、以上よ。

 はじめっ!!」


 長い一日が始まった。




 ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■




「75番不合格…82番不合格……122番は合格よ、100本終わらせたら休んでいいわ」


 クリスティは志願者達の前を歩きながら不合格の志願者達のバッチを問答無用に外していく。


 バッチがない以上、二次試験を受ける資格のない者達はここで終了である。


 納得のいかない者が多く出ているが、そこはクリスティが物理的に諦めさせていた。


 試験官はクリスティとイェーガーの2人で、他の3人は志願者達の退出作業に従事している。


 等間隔に配置された場所で素振りをする志願者達をクリスティは淡々と篩い落としていく。


 イェーガーは魔導兵志望者達を担当していて、そちらも順調に篩い落としていた。


 とはいえ、大半が泣き叫んで退出している辺り、よほど酷い言葉を浴びせられているのだろう事は間違いない。


「177番不合格……190番もっと気合を込めなさい……201番不合格よ、帰りなさい」


「どうしてあいつが落ちずに俺が落ちるんだ、説明しろ!!」


 貴族の男子が喚いていたが、クリスティは冷ややかな目を向けて淡々と脱落理由を告げた。


「気概の無い者は必要ないのよ、さっさと失せなさい」


「―――っ!!」


 殺意の籠もった眼差しを至近距離で当てられれば実戦経験などまるで無い者は小さく悲鳴を上げると異空間から逃げ出した。


「…はぁ、身の程知らずはこれだから困るのよ。

 ……210番もっと気合を込めて、腹から声を出しなさい、次来た時軟弱な声を上げたら不合格よ」


「はっ、はい!!」


 辺境から来た志願者はこの試験ではかなり不利なのは間違いないだろう。


 王都に来るまで1ヶ月近く旅をしてギリギリに辿り着く者もいるのだ、体力が満足に回復せずに気合を入れた剣の素振り100本は少ないようで体力と精神を蝕んでいくだろう。


「……240番合格よ、100本終えたら休んでいいわ………255番256番257番不合格よ」


 殺気を向けた際に何も感じずにクリスティの笑顔にやられていた者も即不合格にし、クリスティは志願者を次々と落としていく。


 魔導兵志願者は100人前後いるのだが、既に半数が不合格となっていて、定員としていた25人を大きく下回る勢いで脱落者が続出していった。


 1時間後、一次試験に合格したのは588人となった。



読んで頂き、ありがとうございました。

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