顔合わせに来ました
お…お久しぶりでゴザイマス皆様。
あれこれ理由をつけてはブッチしていましたが、久々にイェーガー更新いたしました。
まだ連続投稿は難しいかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
クリスティ視点
いきなり結論からすると、私、クリスティ・ツヴァイ・リンデンバーグは魔導騎士試験に合格した。
当然よね、団長倒しておきながら不合格になるなら、正直期待外れもいい所だったし、私としてもそんな組織に入りたくないもの。
試験が終わった一週間後に合格通知の封が侯爵家別邸に届き、イェーガーと共にハイタッチした後、すぐに別邸を後にしてジョナ達と共に飲み明かして騒いだ。
とはいえ、専ら騒いでいたのは私以外で、私はその様子を眺めて珍しく気分よく、楽しんで酒を飲んでいた。
そしてさらに三日後、私は魔導騎士団本部に来ていた。
合格通知の封にはもう一つ紙が入っており、三日後に魔導騎士団本部に来るようにと通達があったのよね。
本来ならばまず王と謁見して騎士の誓いをするのだが、この魔導騎士団にはそういった儀式関連の行事が殆どない。
王に謁見し騎士の誓いをしないという騎士団だが、忠誠心が無い訳ではない。
過去の魔導騎士団団長がこの誓いの儀式自体を廃止させたのだ。
これは”自由恋愛”を推奨した騎士団長ではなく全く別の者だが。
その騎士団長曰く、『騎士であるのなら既に王に誓いは立てている、よって誓いの儀式など時間の無駄』という滅茶苦茶な理由からである。
これを聞き入れた当時の王は他の王同様この願いを聞き入れた。
この魔導騎士団は変わった規則が多々あり、私が読んでいるのはその過去の騎士団長たちが作り上げてきたおかしな規則だ。
現在の魔導騎士団長、パトリック卿であれば規則を撤回、または廃止する事も出来るのだが、現状パトリック卿はこの規則を撤回する気も廃止する気もないらしい。
そして私はある規則に目を付けた。
「…あら、魔導騎士団にいれば恋愛結婚が出来るのね。
侯爵閣下と縁切りしても良かったんじゃない」
殺到する身の程知らずで面倒な婚約者たちを未然に潰してくれるといっていた侯爵の言葉であったのだが、この規則があるのならあのまま縁を切れば良かったのではと思い返した。
「イェーガー、この事知っていたの?」
「いんや、知らなかったぜ?
けど予想はしたっちゃよ、自由度の高い騎士団だにゃぁってなっ!!
あぁそうそうお嬢、一応ショボオヤジとは縁繋いでおいた方がいいぜよ?
それ自由恋愛を謳っちゃいるが、それって結局の所身の程知らずがお嬢に寄って来るってことだぜ?
侯爵家の人間なら、いくら自由でも寄って来るにしても数は間違いなく激減するしよ?」
言われてみればそうよね、いやだわもう、こういう政治的な思惑が絡む事って本当に考えるのが面倒、というか、基本考えたくないのよね、面倒だから。
「ふーん、そうね、それなら縁位は繋いでおこうかしら?
それよりも…いつまで待てばいいのかしら、かれこれ一時間は待っているんだけど」
規則の書かれた一覧を読み終えて辺りを見回した。
魔導騎士たちが忙しなく動き回っていて、それぞれが手に抱えた書類を抱えている。
私は観察していく内に、魔導騎士たちが仕事をしているというよりも、『誰かを探している』様に見えてきてきて、思わず近くにいた魔導騎士に尋ねた。
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
「あぁ?
今こっちは忙しいんだ、他の奴に…」
身長は私と同じくらい、髪はパトリック卿と似たような髪形、真似しているのかしら、気持ち悪いわね。
顔は見られないというわけでなく、少し険が強い程度、強気な犬みたい。
まぁ、逃がす気なんてサラサラないのだけど。
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
答えようとしない魔導騎士に、私は構わずにもう一度尋ねる。
私の視線に耐えられなくなって離れようとするのだが、行く先をイェーガーが塞いだ、よくやったわイェーガー。
さて、もう一度…、
「ねぇ、ちょっと…」
「あぁああああああああもう、わかったから!!
手短に言ってくれよ本当に忙しいんだよこっちは!!」
「逆ギレしよった!!」
「ちょっと黙っていなさいトンチキ英霊。
私はクリスティというものだけど、魔導騎士団試験の今期合格者なの。
今日呼ばれている筈なのだけど、何か知らない?」
イェーガーが笑っているところを黙っていろと命じてみると、思いの外簡単に黙った、今日は天気がいいから気分がいいのかしら?
魔導騎士に尋ねてみると、私の名前に反応して固まってしまっている。
それもそうよね、魔導騎士団最強の騎士であるパトリック卿を倒した相手の名前だったのだから。
「今走り回っている連中もそうなんだが…団長が行方不明でな。
決裁が迫っていて署名して宰相府に出さないといけない書類が溜まっているんだ。
新人の説明係は確か副団長が担当しているが、副団長も俺たちと一緒で団長を探し回っている。
さっき赤髪の騎士が走って行っただろう、あの人だ」
魔導騎士の指差す方を見てみると、文官服を着た細身の男が周りの魔導騎士達に対して指示をしていた。
赤髪、珍しいわね、どこかの異民族系の血を受け継いだのかしら。
赤髪といえば南部によく見られる髪の色で、この国にも極少数だけど冒険者で見かけることがあったわね。
環境の厳しい地域でもある南部出身者とあってか、魔獣討伐が得意な冒険者が多くて有名だわ。
そういえば、何年か前に異民族の血を継いでいる人間が魔導騎士団に入団したとか言う話が上がっていた気が、あの時はジョナがはしゃいでいた気がするわ、きっとこの赤髪の事だったのね。
「失礼、今よろしいかしら?」
「……しまった、もう来ていたのか。
すまないな、クリスティ・ツヴァイ・リンデンバーグ嬢。
今取り込み中でな、もう30分ほど待ってもらいたい。
上司がいつもの病気を発症させてな、現在行方不明なのだ」
グルカと名乗った赤髪の彼は疲れた様に溜息をついた、私の前で何溜息ついているのよ、失礼ね。
とはいえ、上司ということはこの前戦ったあのパトリック卿か、部下に馬鹿扱いされるなんて、可哀相…と言いたいけど、自業自得ね。
でも、何でこの人は文官の服を着ているのかしら?
騎士団の人間よね?
「では、私も手伝います。
幸い、手駒が増えましたので」
私はちょうどよく入り口にやってきた3人を眺めるとグルカにそう進言した。
時間通りきっちり来たようね、いや、私が早く来すぎたからか。
「…クリスティ、今俺たちを見て手駒といったか?」
「来て早々、何かさせられるの僕たち?」
「…はぁ、ついていないな」
ヴォルフガング・ドライ・テスタロッサ、ルーディー・フィーア・リスデン、そしてケイロン・ドライ・ヘッセン。
私の同期に当たる3人がそれぞれ嫌そうな顔をした。
会って早々嫌な顔をするなんて、どいつもこいつも失礼な奴ばかりね。
「…リンデンバーグ嬢、手駒というのは彼らか?
随分と豪華な手駒だが…別に待っていてくれても―――」
「―――貴方たち、来て早々悪いんだけど、パトリック卿を探してきてちょうだい。
どうやら仕事をほったらかしてどこかに潜んでいるみたいなの。
見つけられたら、イェーガーがご褒美をあげるわよ」
「いきなり振られたぜよ!?
てかお嬢、そんなプレゼントオレ様用意してないっちゃよ!?」
グルカの言葉をあえてサエギリ、3人にお願いした。
同期である以上上下なんてある訳ないし、命令なんてすると後々面倒だから。
イェーガーは黙りなさい、あとお座り。
「…なるほど、噂は本当だったのか、パトリック卿の書類嫌いは」
「王都をおいかけっこしたっていうのもあったよね、決裁も近いから仕事がたくさんあるんだろうね」
「…本気で隠行をされると、見つけられる気がしないのだが?」
納得し、同情し、諦観している3人には悪いけど、これが終わらないと入団式が始まらないのよ。
文句を言っても仕方ないって、分かっていてもしたくなるわ、私もそうだもの。
―――この後、1時間かけて探し回って見つけたのはご褒美をあげる筈のイェーガーという、なんとも呆れた結果になったのだった。
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魔導騎士団本部にある団兆室には、部屋のある字であるパトリックが端整な顔立ちでいながらぶさくれていた。ふてくされた表情ともいう、とにかく拗ねているのだ。
決裁のせいで試験の敗北を思い出さなくても済んだと思ったのも束の間、クリスティとの再会を果たしてしまうことに気付いたからだ。
「…くそ、このイカレ英霊め、見逃してくれっていったのに…」
「あんな縋る様な目で見られたらさぁ、落としたいって気持ちがオレ様の本心だったんだにゃぁ!!」
恨み言もげらげらとイェーガーには笑われるパトリックは、舌打ちするしかなく、目の前にいる新規の4人に眼を向けた。
ヴォルフガング、ルーディー、ケイロンはそんなパトリックが噂されていた以上の『ダメ人間』と分かってか、複雑な表情をしていた。
クリスティは再会したパトリックに対して何も言おうとしない。
むしろ時間を取らされた所為で不機嫌なのか、腕を組んで何度か舌打ちしている始末である。
グルカはそんな様子を無視して自分の事務作業を黙々とこなしている、体格に似合わぬ文官服を着ている姿はちぐはぐで違和感しか覚えないだろう。
「それで、叙任式もないのに、どういった理由で呼ばれたんでしょうか、私たちは?」
「ああ、顔合わせだ、顔合わせ。
決裁の時期になるとな、各地方に置いている魔導騎士団の団員が一斉にこの王都に戻って来るんだ。
その日を狙って、叙任式じゃないが入団式のようなものを開く予定になっている」
ようなもの、と言うのは名目で実際は歓迎会のようなものだとパトリックは説明した。
今期は一度に4人もの新人が合格した、これは過去見てもそう多くない数だというパトリックに、『今年は豊作ですね』とまるで野菜の出来を確かめるように語るグルカは薄く笑っていた。
「ということは…今、もう?」
「ああ、王都で副業している連中も、他の領地を任している連中も全部来ている。
そして、その殆どが平民の集団という訳だ。
しかも困った事に、今年の合格者は全員が貴族という事態でな?
元々俺達は貴族派の連中とソリの合う組織じゃない、かといってこの魔導騎士団に貴族が1人もいないという訳じゃない」
魔導騎士団に所属している貴族とはつまり、貴族の三男以下の継承権などあって無きが如しの、自力で生活していかなくてはならない類の者たちだった。
そういった者たちは死に物狂いで修練を重ね近衛騎士、あるいは魔導騎士団に入り、貴族のあり方に嫌気がさした者に至っては貴族籍を抜いて冒険者となり野に出るのだ。
特に生粋の貴族という存在には拒否反応が出るほど嫌っている者が数多く所属している魔導騎士団ではヴォルフガングやルーディー、そしてケイロンといった3人は同じ王を戴く騎士団でありながら、不倶戴天の大敵扱いされる存在なのだ。
「…が、生粋の貴族でありながらこの魔導騎士団に入団したという事は、それなりの覚悟があるからだと俺は思っている。
強さを求め為、研究の為、誰かを認めさせる為、そして…色々だな。
だが、それもまずは実力を示したらの話だ……グルカ、例の物を」
「はい」
グルカが席から立つと4枚の紙をクリスティ達に渡した。
内容を確認すると、それぞれの所属先が記載されていて、そこで半年間の実習期間を設けるのだという。
それに耐える事が出来れば、魔導騎士団の一員として認められるのだというのだ。
だが、クリスティは1人目を細めた。
「…パトリック卿、私の所属はどこなのですか?
私の欄だけ空白なんですが」
ヴォルフガングやルーディー、ケイロンの所属先は記載されていたが、クリスティの所属先は無記入となっていた、誤字どころの話ではなく、空白なのである。
「…クリスティ、君は既に実力を証明している。
俺と戦って勝っているんだぞ、貴族であろうと実力がある者を認めない訳にはいかない。
半年間の実習期間をするまでもなく、君は魔導騎士団の一員だ」
「素直に言っちまえよパトリック、お嬢を従えさせる奴がこの組織にいねえから宙ぶらりんにしておくんだろ?
最強とか言われていたパトリックをお嬢が倒しちまったからな」
過去形で語るイェーガーの言葉にパトリックは否定の声を上げなかった。
「まぁ、本音を言うとそれだな。
いくら上下関係に厳しい魔導騎士団でも、実力のあるクリスティに対して何かあれば間違いなく負けるのは相手だからな。
そんな事が何度も起こってみろ、あっという間に魔導騎士団が人員不足になるだろう。
そんな事をするよりも、ある程度自由に活動してもらった方がいいと俺は判断した。
よってクリスティの所属先は無し、むしろこれからクリスティには自分が指揮する部下集めを任務としてもらう」
「…確か、人員は400名まででしたっけ?」
魔導騎士団は500人弱の最精鋭でありながらその少なさを補う為、各魔導騎士が最高で400名までの人員を徴収する事が権利として与えられていた。
とはいえ、制約はある。
他の騎士団で徴収する場合、大隊長クラスの高級指揮官は徴収することは出来ないし、何より部隊丸ごと引き抜く事も厳禁とされる。
各領地からの人員徴収でもそれは同様で、無理強いしてまで引き抜く事は厳禁だ。
とはいえ、殆どが志願者を篩い落とす形で400名という人数はどの魔導騎士たちは揃えていた。
そしてクリスティは、2個中隊規模の人員を速やかに徴収、または志願者を取らなくてはならなくなったのである。
さすがにこれにはクリスティも予想外だったようだが、時間が短縮されたとすぐに満面の笑みを浮かべた。
「そうだ、心配しなくても君の部隊ならかなりの精鋭が集まるのは間違いない。
後は将来有望そうな者がいればそいつを育成して将来の魔導騎士候補にするという手もある。
後進を育てるというのも騎士の仕事だな」
「…自分の部下には、とりあえずどんな命令権だろうと行使しても構わないんですよね?」
とはいえ、足手纏いを育てる気はないクリスティだが、最初から最強の部隊を揃えよう等とは考えていない。
あくまでそれは最終目標であり、どうせなら『役立たず』を徹底的に調教し、自分好みの部隊へと作り変えようと考えていたのである。
さすがに含むところがあったのにパトリックとグルカは気付いたが、『死なない程度に』と短くいうとそれ以上は何もいわなかった。
「分かりました、では早速王都を含む各領地の都市へ志願者を募ろうかと思います。
まずは1ヶ月かけて人員を篩い、そこから2ヶ月で集団戦闘で使えるように『調教』しますので」
「……好きにしろ」
パトリックは『調教』という言葉を耳にしたが、何も言おうとせず、ただ黙認した。
これから集う400人の『生贄』に若干の冥福を祈ったが。
「それじゃあ、顔合わせをしようと思いますが、どちらに行けばいいんでしょうか?」
終わったとばかりに次の話題に移したクリスティは、パトリックにどこへ行けばいいのか尋ねた。
すぐ下の演習場というと、クリスティとイェーガーはそのまま退室して行った。
ヴォルフガングたちもそれぞれ何か考えながらではあるが退室して行く。
「……それで団長、クリスティ嬢はともかく、3人の所属はこれで良いのですか?
せめて貴族の団員に任せれば貴族派からうるさく言われないと思ったのですが」
気配が遠のいた後、グルカが口を開く、今回の人事には彼も関わっていて、判を押したパトリックに本当に良かったのかと尋ねたのだ。
「これ位で良いんだよグルカ、連中が何を言おうと、組織の長は俺だ。
横槍を入れられても、結果がついてくれば良いんだよ」
クリスティの実力は既に団長であるパトリック、そして副団長であるグルカも認めるところだ。
しかし、ヴォルフガング、ルーディー、ケイロンの3人は合格したものの最終試験では誰1人勝てずに終わったのだ。
基本負けても将来性を見込まれて合格するのが常だが、勝って合格した者と負けて合格した者が同時にいた場合、その年はどちらかが途中で脱落する確率が非常に高いのだ。
「…彼女は強過ぎますからね、あの3人は比較されるでしょう。
…ケイロン辺りが一番早く脱落しそうですが、どう思われますか?」
「いや、俺は今回は3人とも這い上がってくると見た。
今月の給料賭けてもいいな!!」
「そこまでですか、なら自分が負ければ昼食を奢りましょう」
「そこはお前も今月の給料賭けようぜ!?」
「いやですよ、仕送りが減るじゃないですか。
コツコツ貯め込んでいるのに、負けると分かって賭けなんてやってられますか。
むしろ勝っても奢ってほしい位です、どれだけ仕事溜め込めば気が済むんですか?
俺はあんたの代書屋じゃありませんよ」
グルカの机の上にある書類は本来パトリックがしなければならないものばかりで、普段から面倒をかけられている上司に対して含むものがあるのは当然と言えた。
罵倒しないだけまだマシといえるが、それでもパトリックは反省した様子もない。
実際、グルカではない誰かを代理に代筆させたいくらいに書類仕事は大量にあるのだから。
「まぁ、そこはまた宰相に言って使えそうな文官引っ張ってくるからさ、もう少し頑張ってくれよ、グルカ君?」
「仕事してください団長、手が動いていませんよ。
これが終われば自分が宰相府に行って宰相閣下に報告してきますから」
グルカが何故文官服を着ているのかという理由がこれである。
パトリックが決済を済ませた後、書類を宰相府に提出しなければならないのだが、宰相リィとパトリックは基本会いたがらないのだ。
仲が悪いという訳ではない、むしろ関係は良好といえる。
だが、それはプライベートな面であり、仕事となると話は別だ。
セイヴァールの危機に対して軍事力を上げようとするパトリックと、外交面から戦争にならないよう画策するリィとでは話が噛み合わないのだ。
しかし、お互いに分別があるおかげか、酷い嫌がらせなどといった事はない、『文官の大変さを知れ』と言わんばかりに文官を一向に寄越さない辺り、根は深かったが。
「さっさと和解してくださいよ団長、逃げるばかりじゃ解決しないんですよ?」
「あーあ、あの4人の中に文官の仕事も出来そうな優秀な奴いないかなぁ。
ルーディーとかどうよ、魔導師は頭良いから、文官の仕事も出来そうじゃないか?」
現実逃避するパトリックに悩ませながらグルカはぼんやりと空を見た。
まだ朝だというのに妙に日差しが強く感じたのだ。
それもその筈、グルカはこの4日間禄に寝ずに決裁の書類を延々と書き終えてきて、酷い眠気に襲われていたのである。
対してパトリックはといえば目元にクマも無い至って健康体で、殺意を覚えるほどにグルカは追い詰められていた。
(…リィ宰相閣下、お願いです。
どうか文官を2人、いや、1人でも送ってください。
でないと、自分はいつ上司に襲いかかっても当然だと開き直りそうです)
自分の職務の殆どが文官となってしまっているグルカの、切実な願いであった。
読了頂き、ありがとうございました。




