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銀閃VS天才剣士

今日は時間をズラしての投稿という事で一つ!!

…すいません、予約投稿さらっと忘れていました。

久々にクリスティ視点です!!

 

 クリスティ視点




「………はぁ」


 私は思わずため息をついてしまった、しかも盛大に。


 イヤ、するでしょ普通?


 目の前には武の大家とも言われているテスタロッサ家の次期当主様(ヴォルフガング)が転がっている。


 天才剣士だとか学院主席様だとか言われているから、サゾお強いんだろうと思っていたのに。


 ナニ、このザマは?


「剣閃が直線的だわ、緩急も無いし避けるの楽勝過ぎ。

 スキルに頼りすぎ、切り替えの動作(パターン)に気付いたら対応が楽勝過ぎ。

 何より魔法に頼りすぎ、組み合わせが簡単過ぎて先読みが楽勝なのよ。

 魔法を使った攻撃ならもっと詠唱を複雑化させて最後の最後の瞬間まで分からない魔法にした方が良いわね。

 あ、そうそう、見た目に反して体力が無いのが残念だわ。

 そんだけごついんなら、後30分くらいは全力で動いたって軽く息切れする程度くらいに鍛えておきなさいよ、見掛け倒し」


 ちょっと本気出してみたらこれよ、つまらなさ過ぎ、こんなのならまだルーディーの巨大ゴーレムと遊んでいたほうが面白かったわよ。


 まぁ、ヴォルフガングも弱いわけじゃないんだけど…型通りに嵌っている剣技とか魔法だから、先読みが楽なのよね。


 まさかここまで先読みが全部当たっているとまでは思っていなかったけど…まぁ、運もあったと思えばいいのかしら?


 まぁ傍から見たら、私はヴォルフガングの攻撃をただの一撃も貰わずにボコボコにした理不尽な存在に見えるんだろうけど、私からしたら逆に予想外よ。


 予選で圧倒的な強さを見せたヴォルフガングがロクに手も足も出せずに敗北?


 下手をしたら八百長しているんじゃないかと逆に疑われそうよ、ったく忌々しい。


「…ほら、立ちなさいよヴォルフガング。

 勝負がしたかったのでしょう?

 正真正銘、殺し以外の私の本気をお見舞いしてあげたのよ?

『ありがとうございました』って礼の言葉一つ言えないの?」


 審判にはギリギリ聞こえるけど観客には聞こえない声量で発しているから、まぁ心配はしていない。


 呻いているから気絶はしていないし、しっかりと聞こえるだろう。


 その調子で立ち上がってお礼の言葉を言って欲しい。


 それが終わったら今度こそ気持ちよく気絶させてあげるから。


 ―――ヴォルフガングが立ち上がるまで、私は今日の夕食を何にしようかと、心底どうでもいい事を考えながら、双刃剣(ダブルセイバー)をくるくるゆらゆらと回していた。


 蹲っているヴォルフガングを顔面から蹴り飛ばしたくなった衝動に駆られていたのは、秘密である。



 ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■



 ヴォルフガング視点



 ヴォルフガングは地面に蹲りながらも、現状把握に努めていた。


 とはいえロクな考察も出来ずにいる所為か、一体どこで打つ手を間違えたのか、それが頭を駆け巡っていた。


 最初は魔剣一本を相手にしていた…はずである。


 そう、最初から全力全開で、スキルも初手から使っていた。


 切り札を切るまもなく、いつの間にか双刃剣になっていたクリスティの獲物で怒涛の―――クリスティの本気かは分からないが―――連続攻撃を仕掛けられ、叩き伏せられた次第だ。


 ―――いや、たとえ切り札を切っていたとしても、クリスティの攻撃をどうにかするのは不可能だろう。


 これほど圧倒的で、悔しさすら浮かんでこない敗北なんて…父と戦った時以来だ。


 何をしても防がれ、避けられ、妨害され、叩き伏せられる圧倒的な力。


 クリスティと父はその頂にいる存在である。


 同格、とも思えない。


 おそらくは全盛期の父ですら今のクリスティを倒すのは至難の業だろう。


 その父の全盛期すらまだ及んでいない自分が、一体どうやってクリスティに勝つ?


 決まっている。


 出し惜しまずに、全力で、全てを投げ打つしかない。


 覚悟は決まっている、クリスティの性格上そう何度も真剣勝負などしてもらえないだろう。


 だからこそ、今回の勝負でも時間一杯、限界をも超えて相対しなくてはいけないのだ。


 ―――ああ、クリスティが待っている。


 礼を言わねば、機嫌が悪い令嬢を喜ばせる方法はあまり知らないが、武人を楽しませる方法なら心得ている。


 とことん、力尽きるまで勝負を続けよう。


 失望なんてさせない、この身はまだ全てを曝け出していないのだから。



 ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■



 クリスティ視点



 ヴォルフガングが立ち上がる。


 さっきとなにやら雰囲気が違っていた。


 どうやらさっきまでの浮ついていた気持ちが落ち着いたらしい。


 失望一歩手前といった所だったけど、訂正ね、失望することなんて無かったわ。


 礼の言葉も貰ったことだし、そろそろ片付けようかしら。


「それじゃあヴォルフガング、次戦える時が来るまで強くなっておくのねッ!!」


 双刃剣(ダブルセイバー)を振るうが、そこにヴォルフガングがいない。


 外すほど私の目は悪くない、という事はヴォルフガングが隠し持っていた何らかのスキル、または魔法?


「…【フレイ】、何か分かる?」

『現在解析中ですマスター。

 ですが解かっている事が1つ。

 どうやら魔法ではなくスキルを使用した痕跡があります』


 …どうやってその痕跡が解析出来たかはさっぱりだけど、まあいいわ。


 解析が出来るまでは情報収集といこう。


 私は【フェイト】をここでようやくホルスターから抜くとヴォルフガングにろくに照準もつけずに引き金を引いた。


 普通なら地面に当たるんだろうけど、私の【フェイト】は超高性能だから、自動照準となっている。


 つまり勝手にヴォルフガングを狙うから、全く問題ないわ。


 変則的な角度から魔法の弾丸がヴォルフガングを襲う形となった為、極めて効果的な奇襲になった、はずであったのだが。


「…あら、当たらないわね」

「中々突発的な攻撃だったが、俺には当たらんぞ!!」


 えらく自信満々な声が返ってきた、さっきとはまるで大違いね。


 ふーん、あの自信からして、攻撃回避には絶対の自信があるみたいね。


 絶対的な自信ねぇ…未来予知の類かしら?


 だとしたらあの自信も頷けるのだけど…まぁそれならそれで対処の仕様もあるし問題ないわね。


「【フェイト】とりあえず色々試したいことあるから、威力度外視で数を揃えてちょうだい。

 角度はヴォルフガングを周囲全部よ」

『了解しましたわッ!!』


【フェイト】の元気の良い声が返ってくるがヴォルフガングがさせまいと斬りかかって来る。


 さすがに剣閃は少しマシにはなっている。


 けどまだまだダメね、私レベルだとまだ堅く感じるわ。


 その隙間を縫う形で双刃剣(ダブルセイバー)を振るったのだけど、ヴォルフガングは読んでいたのかギリギリ間合いの外にいて空振りに終わった。


 幸い大振りでなかったからいいけど、ちょっと今のは恥ずかしかったわね、ムカつくわ。


 …けど、決まりかしら?


『マスター、解析が終了いたしました。

 ヴォルフガング・ドライ・テスタロッサの使用しているスキルは【智神の恩恵】です。

 高速演算による未来予知で高確率でマスターの攻撃を予知しています。

 ランクはAと思われ、常時発動は出来ず、発動は任意によるものと思われます。

 これと併用した【剣盾逆転(ルックラッツ)】を使用することで、攻撃を瞬時に防ぐことが可能なのだと思われます』


 私の優秀な魔剣(フレイ)から解析結果が届いた。


 さすがは私の魔剣ね。


剣盾逆転(ルックラッツ)】というのは序盤でヴォルフガングが私の魔剣を見事なまでに防ぎ切った時に使っていたスキルの事ね。


 攻守を逆転させる防御系のスキルだけど、私みたいにに早いと間に合わないから正直微妙なスキルだった。


 なるほど、このスキルと併用することである意味絶対防御とも言える防御力を誇っていたのね。


 へぇ、タダ(・・)の未来予知よりもかなり汎用性があって、便利そうなスキルじゃない。


 使い方によっては強力な武器になるわ。


 うーん、双刃剣(コレ)だと手数が足りないわね。


 修行中に手に入れたスキルで色々面白いから使っていたのだけど、回転しすぎるとたまに吐き気がするのは頂けないわ。


「【フレイ】形態変化、双剣(ツインセイバー)

 あと、解析ご苦労様」

『了解いたしました。

 お気になさらず』


【フレイ】は本当に謙虚だわ、どっかのイェーガー(バカ)に見習わせたいものね。


 双刃剣(ダブルセイバー)の中央を引き抜く(・・・・)と鎖がじゃらりと出てくる。


 鎖付きの双剣か、まあ良い出来だわ。


 単純に手数は2倍以上。


 十全に振るえればヴォルフガングの息の根を…おっと、殺しはマズかったわ。


 勝つのには十分ね。


「今度は双剣か…多芸なものだ、俺はこの剣一本だというのに」

「あら、ヴォルフガングの魔剣も結構な代物じゃないの?

 思い出したけど、昨日イェーガーがその魔剣を物珍しそうに見ていたわよ?

 あと双剣は剣術の派生だから意外と簡単に手に入ったわ」


 ついでにその魔剣の昨日もちゃっかり教わっているから対策は十分だわ。


 音を媒介にして人の感覚に以上を(もたら)す魔剣【ディーヴァ】。


 見た目の美麗さに反してイヤらしい能力だわ。


 あ、とりあえずヴォルフガングをボコらないといけなかった。


 まぁ剣で斬るからズタズタな気もするけど。


 イェーガーのいた世界では【二天一流】とか何とかあったみたいだけど、私の場合ちょっと(・・・・)ばかり攻撃に主眼を置いているからあんまり合わないのよね。


 普通剣を2本使うのなら手数が増えるんだから攻撃のレパートリーを増やすべきでしょ?


 同じ動きをするより、右腕左腕で違う動きをしないともったいないじゃない。


 まぁこんな要領で、ざっと189回ほど剣をブチ込めば、さすがにヴォルフガングも避けられないでしょ。


 避ける場所なんて作らせる訳無いじゃない。


 急所を除いて、真正面から圧倒し切って見せるわよ。


【フェイト】は念の為ね。


 まぁ結果は…言わなくても分かるけどヒドイものよ。


 急所は全部外していたけど、内86箇所も裂傷を作ったみたいね。


 魔法とかも併用して避けていたけど、全身を浅く広く切り刻まれてヴォルフガングはトマトみたいに真っ赤になっちゃった。


 やっぱり最近獲得したランクC+程度じゃあこの程度みたいね。


 双刃剣(ダブルセイバー)もそうだけど、やっぱりもう少し使い込まないと。


 あ、そういえば急所は全部外していたのはこの修行で一番欲しかったスキル【慈悲の刃(ガナード)】のおかげね。


 過剰な攻撃を未然に防ぐスキルだから、うっかり急所を狙った攻撃もご覧の通り外れてくれるのよ、これもまた便利なスキルよね。


「まぁまぁな勝負だったわよヴォルフガング。

 次はもう少し剣術と体力と魔法を練り上げておけば、今よりはいい勝負になるんじゃないかしら?」

「………」


 さすがに憎まれ口の一つも返ってこないか、まぁそれも当然よね。


 その後ヴォルフガングはその日は目を覚まさずに、計4回あった試合の内2回を棄権することになった。


 まぁ実質私の所為だけど、起き上がれなかったヴォルフガングが弱い所為もあるということで御相子でしょ?


 試合後、結局【フェイト】をトドメ(・・・)に使わなかったことで若干ながら拗ねられていたクリスティは機会があればそうすると約束するという三文芝居をする羽目になるのであった。




感想、レビュー、評価などなどくださると作者が悶え喜びます。

よろしくお願いします。

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