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喧嘩も淑女の嗜み?

日嗣者をご存知な方はお久しぶりです、そうでない方はお初にお目にかかります。

ファンタジー小説大好きな、日嗣者と申します。

新作です、ファンタジーで、学園で、戦争がある、そんな世界を構築した、最新作!!

危ない主人公とか、ぶっ飛んだ従者とか、エルフとか、獣人とか、なんかいっぱい出ちゃいますよ!?

ではでは、日嗣者わーるど、はっじまりまーす♪


11/10黒桐 白桐にネーム変更しました。


 アスタ王立学院高等科闘技場ではいま、白熱した戦闘が始ろうとしていた。


 50セル(約1メートル)ほどの立方体のブロックが縦横で20マス分ある特設ステージの四方の柱には、最高Aクラスの攻撃にも耐えられるという強力な結界が張られている。


 高等科には、魔道騎士科、騎士科、貴族科、商業科、魔導師科、学術科と広くあり、今まさに戦おうとしているのは、その中でも花形といえる魔導騎士科であった。


 1人はケイロン・ドライ・ヘッセン。


 ヘッセン伯爵家継嗣であり魔導騎士科でも上位の成績に位置している青年である。


 貴族特有の金髪碧眼、それに加え自信ありげな表情がデフォルトという彼は、騎士服というよりは魔導師寄りなローブを着て、そこそこ端整な顔で対する者を睥睨している。


 肩に乗せている火龍は、彼の召喚獣でもあるライルだ。


「…へぇ、よくもまぁ召喚契約もしていないままでこの僕と相対したものだ。

 その勇気だけは褒めてやろう、学年最下位クリスティ・ツヴァイ・リンデンバーグ」


 高慢な言葉が向かって行く先には、キツイ目付きをしているが、銀髪碧眼の美少女が不遜な態度で腕を組んでいた。


 クリスティ・ツヴァイ・リンデンバーグ、リンデンバーグ侯爵家長女であり、ケイロンと同じく魔導騎士科に所属していた。


 ケイロンと同じく黒いローブを着てはいるが、その下には革製のパンツや頑丈なブーツなどを装備していた。


 ケイロンと違い、彼女の成績は実技において学院の者すべてが知っている。


 学年最下位。


 攻撃魔法が一切使えない彼女には、魔法を主体としたこの学院の評価は常に最下位とされていた。


 しかしそんな評価にも拘らず、彼女の表情には不安や怯えといった暗い感情はない。


 むしろ不遜といえる態度であり、知らない者からすれば開き直っているようにも見える。


「よくいうわ、ケイロン・ドライ・ヘッセン。

 高位貴族にありながら理由なく害意を撒き散らす粗忽者に、なぜこの私が相対するのに躊躇しなければならないのかしら?」


 舌端火を吐くとは正にこのことか、容赦ない言葉を返したクリスティは顔を赤くしたケイロンに、更に激烈な言葉を贈る。


 クリスティとケイロンの立場からすれば、侯爵と伯爵には爵位1つといえどかなりの隔たりがある。


 下位であるケイロンが、上位に当たるクリスティに害意のある視線や言葉を向けて無事なのは、単に彼女の、リンデンバーグ家での扱いについてであった。


 彼女の生来の障害『魔力放出不全症』という魔術師としては欠陥としか言いようのない障害が、彼女を魔術の大家にして名門侯爵家の当主である父親が疎んだ結果であった。


 侯爵家はクリスティに関して一切の干渉はしないが、それと同時に援助といった手を差し伸べる行為をほとんどしてこなかったのである。


 故に、彼女は侯爵家に属していながら、実質扱いは平民と同じかそれ以下の蔑まれた眼で見られながら生き続けていたのであった。


 侯爵家唯一の汚点といってもいい彼女は国中の貴族たちにも知れており、もちろんそれは子息子女たちにも伝播している。


 侯爵家の長女といえば、ともすれば王族の目に留まる可能性の高い地位であったが、彼女の生まれがそれを許さず、代わってクリスティの妹に婚約の話が良く出るほどであった。


 一切の援助がない彼女にとって、貴族の地位は邪魔でしかない。


 もうすぐ15歳になる彼女は、その日を以て貴族の名を捨てる気でいた。


 利用価値の無いモノは早々に捨てるに限る、という冷めた価値観を持つ彼女からすれば、貴族位というのはその程度の価値しかないのであった。


 故に、目の前で相対している伯爵家継嗣に一切の配慮はない。


 特権意識と差別意識の塊である彼に、慮る事など態度からしてしていなかった。


「…ああ、あなたの契約している竜モドキ頼りの戦い方を舐めている訳じゃないから、勘違いしないで。

 私があなたを公正に、順当に評価した結果なのだもの」


 帯剣している魔剣【ボルグ】を抜く―――そして左手には連射式機械弓【フール】を握っていた―――と、クリスティは自然体に構える。


 我流ではあるが、これまで生きてきた彼女の人生がいかに貴族とかけ離れた、身を切る思いで積み上げてきたものかを思わせる、そんな威圧感のある構えである。


「さあ、その肩に乗せている火を吹く羽トカゲを大きくなさい。

 大きくなるまで、待ってあげるから」


 どこまでも不遜な態度を見せている彼女は挑発するように機械弓を揺らしている。


「くっ、後悔するなよ!?

 汝本来の姿に顕現せよ ライル!」


 ケイロンが呪文を唱えると、肩に乗っていた全長25セル(約30センチ)のトカゲが巨大化していく。


「グアアアアアアアアアッ!!」


 最大10メル(約20メートル)となった火龍は長い鎌首を揺らしながら、口元に火の粉を吹かしている。


 赤銅色の鱗を持つ火龍は、威圧感とともにクリスティを睨み付ける。


『…娘よ、過ぎた言葉は暴言となる事は分かっていような?

 その身を以って己の短慮を恥じるが良い』


「あら、実に的を射ていた発言だったと思うのだけど…。

 まぁ、龍種は人間種とは価値観が違うのだし、今の言葉は聞き流すとするわ」


 火龍であるライルから念話が届きクリスティの瞳孔が少しだけ開くが、口角を少しだけ上げてやはり強気な発言を返すのだった。


 お互いの臨戦態勢が整ったところで、ステージから降りている審判が旗を挙げた。



「はじめっ!!」




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