表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
1章 幼少期=理想
8/80

人生は幸福の味

 筋トレやら何やらで一週間が過ぎようとしている。


 まだ筋肉はあまり付いていないが、それでも鍛えられている、という実感はある。物置にあった斧を持てるようになったのだ。筋トレをする前は浮かせることはなんとか出来たのだが、持ち上げることが出来なかった。こうやって実感すると嫌になることもないし、なにより楽しい。

 日本で暮らしていた時の知識も役に立った。短期間でそこそこの成果が得られたのは、『超回復』と呼ばれる現象を使ったからだ。理論は正確には覚えてないのだが、筋トレで傷んだ筋肉を休ませることで、一時的には前よりも筋肉の量が減ってしまうのだが、反動で結果的には大きく筋力が上昇する、というものだったはずだ。最近では嘘だと言われていたみたいだが、個人的には信じている。おそらく個人差があるのではないだろうか。


 それと、少し前に誕生日があった。形だけは盛大だったが、中身は酷いものだった。心の籠っていないメイド達からの祝いの言葉、見栄を張ってなけなしの金を使ってまでの食事、夫婦仲が悪いせいで雰囲気も良くなかった。そして特に屈辱的だったのが、今だに俺のことをガキだと思っている屑父上からのプレゼントだ。なにせ貰ったものは『おままごとセット』。これはもう色々と酷い。まあ、精神年齢については今回は目をつぶろう。分からないようにしてきたんだし、子ども扱いもまだ許せる。だがおままごとセットは許さん。せめて男の子っぽい、ロボットの人形とかにしろよ。歳とって元々空っぽの頭に穴でも開いてしまったのだろうか。


 しかし、良い事もあった。まず一つは母上からのプレゼントだ。最近俺がトレーニングしていることに気を使ってくれたのか、小型のナイフを貰った。しかも自作してくれたようで、少し弱めだが妖精の加護もついている。母上は魔法の才能は無かったが、妖精とは仲が良く、たまに武器や防具に加護を付けてもらっていたらしい。その加護を、俺のプレゼントに付けてほしいと妖精に頼んで付けてもらったのだ。このナイフは大事にとっておくことにしよう。


 さらに嬉しいことがもう一つ。なんと、ナイフを使っての戦闘法を教えてもらえることになったのだ。お相手は、もうそろそろ六十歳になる執事の爺や。呼ぶ人によって名前が変わるという少し不気味な爺さんだが、現役の時は少々名の知れた冒険者だったようで、魔法、体術ともに上位クラスだったらしい。使える武器も多彩で、基本的な武器はもちろんのこと、トンファーやチャクラムなんてのも使えるようだ。

 なぜ教えてもらえるようになったかというと、誕生日の時のプレゼントが頼みごとを一つ聞く、というものだったからだ。ナイフでの戦闘法を教えて、と言った時は大層驚かれた。確かに、つい最近までメイドの尻を追っかけてたマセガキに、いきなり戦い方を教えて、なんて言われたら驚くか。


 当たり前だが、今は尻を追っかけてたりはしない。が、メイドさん達の評価は変わらない。何でだろうか。


 そんなこんなでナイフの使い方を教えてもらえるのはいいのだが、筋力の方をどうにかしなければいけなくなってしまった。斧やら大剣なんかだと、扱っているだけで筋トレになるが、何せ獲物はナイフ。筋力アップは望めない。だからといって筋肉痛の状態でナイフの使い方を教わっても、あまり効果があるとは思えない。超回復を待ってから教わってたら効率が悪くなるだろうう。



(しばらくは筋力維持だけやって、ナイフの方に専念するか。ここでチャンスを逃したらもう二度と教わる機会が無くなっちゃうかもしれないし)



 そう結論付けると、軽く汗を流して寝ることにした。何せ明日から爺やとのトレーニングが始まるのだ。疲労は残したくないし折角教わるのだ、楽しくやりたい。


 そうやって明日の事を考えていると、一つの事に気が付いた。



「人生って楽しいじゃん」

お気に入り、感想、レビューがあるとモチベがグーンと上がりますよ。一度試してみてください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ