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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
1章 幼少期=理想
7/80

鍛錬は汗の味

 結局、あの火事は大事にはならなかった。自室に入ったと同じ頃に消火できたようだ。何故そんなに早く消火できたかと言うと、実はあの広場で屑父上様が行為をしていたのだが、その行為の相手がたまたま水の魔法を使えたから、という理由だ。しかし屑父上様が下半身を丸出しにして屋敷に慌てて入ってきた話には大いに笑わせてもらった。真昼間から盛っているのがいけなかったのだ馬鹿め。だが、こんなに早く屑父上様に痛い目を見せることができるとは思わなかった。まあこれで少しは性欲も治まったことだろう。


 そんなことよりも重要なことがある。探検や魔法の試し撃ちに夢中で先送りにしていたが、まだ悪魔に関して何にも分かっていないのだ。転生については、不満はない。人生やり直したいとは思っていたし、何よりファンタジーの世界に来れたのは大きい。無双は出来なそうだが、退屈はしないだろう。

 問題はそのあとだ。悪魔は俺に何かを成し遂げて欲しかったみたいだが、肝心の内容がまったく説明されていない。これでは何をすればいいのか分からないのだが、後で説明するとか言っておいて説明にくる気配もない。一応、自分なりに考えてはみたのだが、合っている保証はないし、なによりも面倒臭いのだが、怠けていると能力やら何やらを剥奪されかねないので、自分なりに行動してみることにした。


 魔法を通じて分かった事がある。それは恐らく、悪魔は俺に誰かを倒して欲しいのだろう。一応全属性を扱うことが出来るとされている俺だが、やはり向き不向きがあったらしく、今専ら使えるのが、火と雷、この二つだ。この二つは所謂『攻撃』に向いている属性なのだ。性格からしても俺は攻撃的、というわけではないし、隠れサドというのも考え難い。となると、この属性の向き不向きは悪魔の操作によるものだろう。

 と、言うわけで鍛錬をすることにした。


 この国は現在戦争中だ。今はこう着しているが、いつまた始まるか分からない一触即発状態なので、武器は割と身近な存在である。物置に幾つもの武器や防具が転がっているのがその証拠だ。なので、その中で扱いやすそうだった大きめのナイフを二、三拝借して来た。ククリナイフ、というやつだろう。他にも片手剣や斧、槍なんかもあったが、日本ではあまり馴染みのないものだったので、最初は無難にナイフにしてみた。悪魔の願いでもあるっぽいし、自衛にもなりそうなので使い慣れておいて損はないだろう。


 そう意気込んでみたはいいのだが、鍛錬をしようにも何をしていいのか全く分からない。我流でも良いが強くなれるか、と言われたら間違いなくNoだ。

 なので、武器の訓練は一時保留で体を鍛えることにした。子供の体に加えて、運動も長い間やってなかったので少し不安だったが、やってみなければ始まらない。



「とりあえず腕立て五十回、腹筋七十五回、スクワット百回目指してやってみるか」



 次の日、酷い筋肉痛になった。


 腕はパンパンだし、脚はガクガク、腹筋は至っては起き上がろうとするのも間々ならない。鍛錬中には顔から出た汗が、口に入ってしまうこともあった。


 だが不思議と、気分は晴れ晴れしていた。

筋トレもツラいですけど、こっちもツラいです

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