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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
プロローグ
1/80

転生前は現実の味

初投稿で処女作です。

色々と不備などが出るでしょうが、生暖かい目で見守っていてください。

 どうしてこうなったのだろうか。


 そんなことを考えながら町を浮浪者のように徘徊しているこの青年の名前は水無月和馬みなづきかずま。職業は現在進行形でニートだ。


 高校の時にそこそこ仲の良かった友人に裏切られていじめに遭い、人間不信に。大学では友人ができるはずもなく、便所飯に耐えられなくなりサボり始める。サボりに味を占めてしまい、必修単位を落としまくり、留年が面倒臭いのでそのまま中退。一応職を探すも、二件目の面接で「君は使えなさそうだから不採用」と、初対面の人間に言われてしまい、職を探すのを断念。そしてニートになった。ニートになってからはネットサーフィンの日々だ。両親は俺が社会に出ていくのを辛抱強く待っていてくれ、ニートになっても普通に小遣いをくれた。そんな両親に水無月は甘えるだけ甘えた。


 だが、そんな生活は突然終わりを告げた。


 両親が死去したのだ。


 特に遺産などもなかったので、水無月の元にお金が入ることはなかった。それどころか兄弟の仲の悪さが災いし、家を追い出される始末だ。そこからも不幸は続き、家を追い出されてから数分でDQNに絡まれ服をボロボロにされ、雀の涙ほどの有り金を持って行かれた。そのあとは重い足取りを水たまりに取られ、頭から泥の中へとダイブ。そうして完成したのが、浮浪者よろしくな今の格好である。



(現実ってやつはつらいなぁ…)



 これでも小中学校では良い成績を取っていたのだ。部活でも活躍した。可愛い幼馴染も居た。勉強が出来て、運動神経も良く、できた幼馴染が居たので、「お前はラノベの主人公か!」と友人によく言われたものだ。世界は自分を中心に回っている、と痛い妄想までした。


 だが、現実は甘くなかった。高校に入ってからは少しずつ友人に成績を離され、部活でも周りはどんどん上達するのに対して水無月の成長はイマイチだった。幼馴染とは仲は良かったが、可愛くてよく出来た彼女に彼氏がいないはずもなく、普通に彼氏がいることを知った水無月は、幼馴染とは何にもしなくてもいずれ結婚するという偏見を持っていたため、彼女にキツくあたってしまい、そのまま音信不通。


 そこで嫌というほど現実を思い知り、社会に出るとこんな目にばかり会うのか、と感じてニートになったのは記憶に新しい。


 だが、今思えばもう少し努力をするべきだった。大学を中退してからは親のすねをかじりっぱなしで、親孝行も全然できなかった。後悔がまったくない、と言えば嘘になる。やり直せるチャンスを貰えば、そのチャンスを水無月は喜んで使うだろう。



「あー、人生やり直したいなぁ」



 そう呟いた直後。


 周りが少し騒がしいのを感じた。ふと横を見てみると、おっさんが声を張り上げているのが目につく。叫んでいる内容に耳を傾けると──────


「危ねーぞ!!」



 そう言われて、前を向く。


 目の前には大型トラックが迫っていた。


 考え事をしている内に、車道へ出てしまっていたようだ。だが、トラックも避けようとしていたので思いっ切り横に飛べば避けられそうだった。

 だが、水無月は動けなかった。いや、動かなかった。このまま生きていてもしかたがない、と思ったからだ。


 ここでもし、トラックを避けて生き延びるのはいいが、そのあとは?

 金もなければ、家も職もないのだ。空き巣や強盗をすれば、なんとか食いつないでいくことは出来そうだが、そんな勇気は水無月にはなかった。となれば、ここで生きてもたどり着く先は餓死だ。日本で餓死は間抜けすぎる。だったら事故死のほうがいい。


 そう思い始めると、それが正解のような気がしてきた。このトラックはきっと神様が自分に「これなら恥ずかしくないっしょ」、とくれた最後のチャンスだ。貰ったチャンスは使うべきである。


 そう考えた水無月は、トラックが目の前に迫ってきてもアクションを起こさず───────


 そのまま轢かれ、水無月の意識はブラックアウトした。

書くだけで一苦労…

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