警察詐欺に引っかかる警察詐欺
僕はビックリしていた。
知り合いのN田さんから、SNSのリツイートが回って来たのだけど、それがどう考えてもありがちな詐欺宣伝だったからだ。
『先着100名様に高級スイーツを無料でプレゼント!』
“こんなの信じる人がいるのか?”というような怪しい広告を信じる人が知り合いにいたという訳だ。N田さんとは最近になって仕事関係で知り合ったのだけど、それで少々不安になってしまった。
「これ、多分、詐欺だと思いますよ。こんなの広めちゃ駄目ですよ」
それでそう忠告をしてみたのだけど、N田さんはとても呑気に「え? そうなの? これまでに何度も似たようなのを皆にお薦めしちゃってたよ」などと返して来た。常習犯であるらしい。多分、昔からの知り合いは毎度の事だと思って何も言わないのだと思う。
“――この人は大丈夫なのだろうか?”
そして、そんな心配を抱えていたある日だった。N田さんからこんな相談を受けてしまった。もっとも、仕事をしながらの雑談といった感じだったから、本人にそれほどの真剣味はなかったのだけど。
「……警察から連絡を受けたのだけど、突然、通話が切れちゃってさ。それ以降、何にも連絡が来ないんだよ。これってどうすれば良いと思う?」
僕はそれを聞いて慌てて言った。
「それ、絶対に詐欺ですよ!」
典型的な警察詐欺だと思ったからだ。が、彼は首を傾げるのだった。
「いや、でも、詐欺だったらもっと連絡をして来るでしょう?」
そう言われてみればそうかもしれない。
「一体、どんな連絡だったのですか?」
それで詳しく聞いてみない事には何とも言えないと思ってそう尋ねてみた。すると彼は、
「僕の口座が犯罪組織に狙われているから、護ってくれるとかって話だったね」
などと述べて来る。益々、警察詐欺にしか思えない。
「やっぱり、それ、詐欺じゃないですかね?」
「そう? でも、それから別の人からも連絡があったんだよ」
「別の人?」
「うん。他の警察の人。やっぱり犯罪組織に狙われているって話だった。一致したんだから、本当なんじゃないかな?」
それを聞いて僕は少し考える。“まさか”と思ってこう尋ねた。
「――もしかして、それを互いの警察に話したりしましたか?」
「うん。したよ」
――なるほど。
と、それで僕は思った。
つまりは警察詐欺がかち合ったのだろう。そして詐欺師達は、お互いを本物の警察だと勘違いし、それ以降はN田さんに連絡をして来なくなったのだ。
“それにしても、凄い偶然だ。複数の警察詐欺が同じ人を同時に狙うだなんて……”
そう僕は思いかけたのだけど、その時にこの人が詐欺広告に引っかかる常連だという事を思い出した。
詐欺広告は、それ自体は詐欺ではなく、騙され易い人のリストを作る手段として用いられている場合も多いらしい。プレゼントに応募する為に電話番号を入力するようにしてあるのなら、詐欺師達がN田さんの電話番号を知っているのも当然だろう。
「――ねぇ、どうすれば良いと思う?」
と、それからN田さんが尋ねて来たので僕は「とりあえず、本物の警察に通報しておいた方が良いのじゃないですかね?」とアドバイスをしておいた。
……この手の詐欺広告が、最近増えているらしいので、皆さんも気を付けてくださいね。




