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NGC 1952 ― 漂白前の観測記録 ―  作者: くろーばー
第一章、『泥濘に咲く火、天を欺く星』
5/7

『聖人之不快(アウグストゥス・アウト)』

神都の中心、聖なる結界と魔泥マデイ、快音が入り乱れる。スバルはアマキの左頬に思いっきり拳を叩きつけていた、全てを乗せた打撃はアマキを2〜3m吹き飛ばすのに足る威力を誇っていた、正に会心の一撃。


「観たか!お前が散々馬鹿にしてた奴の正義の鉄拳を‼」


「ッチ」


直後、魔泥マデイが全て無に帰したあまりの静寂に、自分の心臓の音さえ聞こえなくなるほどに。これが『冥優之聖王モート』の本当の能力、全てを無に帰す事で救う歪んだ力。スバルの荒い息づかいも、跳ね上がった心拍数さえも、アマキの強大な『無』に、世界のすべてが嚥下えんげされた。

ーーーそこにあったのは、もはや救いですらない、純粋な『無』だけだった。

「………、不愉快だ、不快で不快でたまらない君が私の頬に泥をつけたことも君のその『泥』そのものも、私の世界を汚すその『意志』さえも。」

直後、スバルは魔力が練れなくなったことに気づく

(…魔力を練ったそばから無に還されている)

次の一手を出そうにも魔力が練っても聖なる結界で無に還る以上何もできないのだ。

次にアマキが眼を開いた時、その輝く碧眼その光を失い「平和を願い人々を救済する聖人」ではなく「邪魔者を排除する魔王」へと変貌していた。アマキが指を鳴らした瞬間、香油の甘い香りが消え辺り一面の砂景色に変わっていた。


「は?」


そうスバルは美しき「神都」ではなく魔物すら近寄らない「不毛の大地」に飛ばされていたのだ。

その事実が、スバルをある一つの仮説へと導いた、それはこの瞬間移動は『冥優之聖王モート』ではない別のスキルを使ったものであるという仮説、確かに統合すれば一つの神権(アルカナ)でも様々な特殊能力が得られるが、これはあまりに毛色が違いすぎた。

つまり、本気で戦われていなかったのだ。そればかりか、殺されることすらなかった。

それに気づいたとき、スバルは膝から崩れ落ち、砂に涙の後を綴り、残酷なまでに白い砂を握りしめる。自尊心は辺り一面の砂のように崩れ落ちた。

一応今作のダブル主人公でやらせてもらってます。スバルだけじゃなく、アマキ・モートもなんで

一旦退場、多分直ぐ出てくる。

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