黒確定カラフルーレット
終わったなにもかも
「これニーナさんに画面共有してるけど大丈夫?」
「えっ?」
不可避レの顔が青白く染まる。と、思ったら次は真っ赤になった。
「ハハハ……おもしろいご冗談をおっしゃっいますね?」
「おほほほほ、真実しか喋ってないですわ。メールをご覧なさったら?」
大量のメールと不在着信が映し出された画面を見て顔がさらに赤くなる。履歴の名前が「ニーナ」で埋め尽くされた画面を閉じて前を向く。
「こっちを見ても過去は消えないよ」
「俺は疲れたから寝落ちした。それじゃ」
肩を掴む。なぜか下を向いてから一向に前を向かなくなっちゃった。
「まあ、私は何も言えないからあとはニーナさんに任せるとして、私はレベリングしながら「シトリン競売場」に行きたいんだけどどうすればいいの?」
「ここから北東に行ってそこからは動空船に乗ってあとは適当に進めば行けるだろ」
とてもあやふやな説明を受け、無言で頷き別れる。あいつはこれからニーナさんからのお話があるらしいから私は早めに別れとかないとね!
ズドォォオオン!
空から何か巨大なものが降りそそぐような轟音が響く中、砂煙から現れる華奢な影から声が聞こえてくる。
「ふぅ、なんとか間に合った。ということでこちらが現在ギルドメンバーナンパ罪の容疑をかけられている不可避レスープさんですぅ」
力の抜けたような聞き慣れた声に一人は満面の笑みを浮かべもう一人は目に光のない笑みを浮かべていた。
「ニーナさん!!」
「呼ばれて飛び出すニーナさんでぇす。そこの不届きものを逮捕しに来ましたぁ」
不可避レの足に緑色のオーラが纏われる。
「宴もたきなわですがここらでお暇させていただきます。おつかれさまっしたー」
顔に笑みを浮かべながらそそくさと逃げていく不可避レを先回りして止めるニーナの目線が何もない虚空を見つめながら話し始める。
「すぐ逃げようとしないよぉ。それにここまで来て逃すわけないじゃん」
肩を掴まれ身動きが取れない様子の不可避レに高速のパンチを入れて黙らせるニーナを見ていると疑問に思ったことを言う。
「そういえばどうやったらそんなに魔法を使えるんですか?」
「普通に戦いまくったら慣れるだろ。あとは気合いで覚えろ」
「そうじゃなくて色々な魔法使う方法!!」
「巻紙を買ったりしたら覚えられるよぉ?」
「そうじゃなくて……『生成解放』以外の魔法を使おうとしても選択できないんですよね」
二人の動きが止まり顔を合わせる。
「俺はそんな現象聞いたこと無いな……ニーナさん知ってる?」
「うーん、わからない。まぁ何かしら原因があるとは思うんだけどねぇ、例えば職業とか装備してるものとか」
インベントリを開き装備品や職業の説明を全て見直す。
「そんな一文どこにも書いていないんですけどどうすればいいですか?」
返す言葉が見つからずに気まずい間が流れる。それを終わらせるようにニーナが口を開ける。
「あ、今メールで『今やってるクエストが関係してるんじゃない?』って来たよぉ」
「今やってるクエストだと……」
「言わない方がいいよぉ、全国に配信されちゃったら色々とめんどくさくなるし」
「ゼンコクにハイシン?」
突然すぎて語彙力と知性を失うがすぐに取り戻す。
「今配信してるんだよぉ、最近はゲームの中で配信できる機能も追加されたからほんとにありがたいよぉ」
「つまり今までの会話も全てゼンコクハイシンされてたんですか?」
「まぁそうだねぇ」
耳が真っ赤になった白髪美少女が映ったところだけコメント欄の盛り上がりが過去一になることに気づくニーナ。
「なるほどぉ、不可避レ君もそうだけどやっぱり見た目イコール人気なのかぁ」
一人寂しく呟く彼女の目が遥か彼方を見ている。
「これって……」
「どうかしたのぉ?」
「前言ったSTRが200上がるアイテムなんですけど……説明の場所が変わっていて」
「そんなアイテム初めて聞いたよぉ。クエストの進行かそれとも職業なのかわからないけど何かしらの条件を達成したってことかなぁ」
条件かぁ、思い当たる節がありすぎてわからない……
「考えてもわかんないのでとりあえずいまはこのまま頑張ります!!」
「うん、がんばってねぇ。私は不可避レ君を追いかけに行かなきゃだから」
そう言うとすぐに目の前から姿を消すニーナを見て彼女は考える。
これからずっとこの魔法しか使えないのかぁ。一応それでも戦えないことはないと思うけどもっと自由度の高い戦闘をしたりとか憧れてたのになあ。
「────でも、今できることを全力で頑張るしかない!!」
霧が晴れ青い空の下で強く、決意を固めた。
「運鈍根」
黒く、丸い石。永い時を共に過ごし、何度その身が滅びても、諦めずに貯め続けよ。その経験は受け継がれる。(STR+200)




