ダッシュ!奪取!だっ死ぬッ!
『赫い流星』不可避レビュー☆☆
手と足の速度をとんでもなく上げる魔法。超スピードで繰り出される攻撃はダメージを与えられない代わりにノックバックと技の相殺に優れている。地面を蹴り、高速で飛び掛かるなど汎用性の高い技。
不可避レ「見た目と名前はかっこいいよね」
フカヒレくんのために貯めた魔法を晒します
「っぶな!そんなにキレんなよ。こっちもかなり消耗してきてんだわ。早めにその剣を返して欲しいんだが」
不可避レを狙い、数多の黒いモヤが飛んでくる。全て避けながらチャンスを伺う。すでに両手に大剣を構えた彼の背中に大量の黒いモヤが出現する。
チクチクうっざ。剣で弾いても耐久力削れるしここは早めに───
彼の両足に緑色のオーラが纏われ、巨大な鎧に迫る。両手剣をフルスピードで振る。それを簡単に受け流し鎧の左手が彼の首を掴む。
その瞬間に後ろで止まっていたロボットの右腕から高速の弾丸が発射され、左手を突き放す。
「あっぶねぇー、絶対今の当たってたら即アウトだったよな。やっぱり前の行動パターンと全く違う、前の記憶は全てないものとして戦うか」
体勢を立て直し、時間を確認する。
───残り一分。どうやって耐え凌ぐかだな。この際アレが効かなかった場合は考えないでおこう。もしアレが効果なしだとしたら勝ち筋のほとんどが水の泡だしな。その時は潔く自爆してやるよ。
「それじゃ、また一分後に会おうか」
天井に飛び乗る。まるで重力が反転したように、当たり前の景色のように、その男は天井から落ちてこない。
こういう場面の時にアイツがする行動は黒いモヤを飛ばすくらい……ってなんでまた前の戦いを参考にしてんだ、いつ何が来ても対応できるように……
直後、彼の周りにヒビが入る。そのヒビは空気さえも破るような威圧感と圧倒的なレベルの差を思い知らせる。
ヒビが彼の目の前に来ると同時に消え去った。
「……ぶちかませ」
『モード:「Bm-83」を展開、射撃を開始します。』
無機質な声と共に眩い光がロボットの右手から放たれる。七色に輝く右手から放たれる真っ白の光が傷さえもつけられなかった鎧の右手を宙に浮かせる。
瞬時に天井から飛び出し、呪剣を掴む。
「よっしゃ!呪剣ゲットォ!あいつが避けなければ直撃してたが、目的は達成した!ざツナスープもう戻っていいぞ!」
その声と同時にロボットは雪のように散り散りになり、消えていく。すると彼の右手が腐ったように生気を吸い取り、体を蝕んでゆく。
「は?……そうか、まだ調伏できてないのか、」
『状態異常:「呪奪状態」が付与されました。』
いらねぇよ、返品しろ返品。ここからはハードモードがスーパーハードモードになったってことだよな。どう足掻いても死しかないんだが?
「呪奪状態」
ネメシスの呪いにより全てを奪われる状態。十秒毎に判定が下される。HP、MP、STRが最大値の10%を奪われる。(この効果でHPが0になることはない)奪われたものは生きるものを捧げると回復する。
あいつは今右腕がない状態だ。実質まだこっちが有利、落ち着いて行動していけ。あいつの呪剣はこっちが奪い、右手がない満身創痍だ。そして第二形態に入ったことで通常の攻撃ではダメージを与えられない。クソ、ここで今の「Bm-83」を決めたら勝敗はすぐに決まったのに。
鎧がこちらを睨む。それに彼は明るい笑顔で返すが、心の中までは変えられなかった。
今ならやれる。
すでに奪われた10%はあいつを倒さないと帰ってこない。その気持ちと焦りによって呪剣を手に入れたアドバンテージを維持することができないことに彼は気づけない。
アイツに呪奪状態は効かなかったはずだ。それがゲームの仕様だからとかはこの際どうでもいい。早めに決着をつけないとMPとSTRご0になって泥試合確定だ。
あと50秒。俺があいつにSTRでゴリ押せるであろう残り時間だ。それ以上減るとおそらくだが物理攻撃はほぼ意味がないようなもの。
鎧にゆっくりと次近づき呪剣を振り回す。その一撃一撃はお互いにかなりのダメージを与えている。彼の方は立っていることもままならないダメージが入っている。
「普通に剣がなくても攻撃はできるんだな……今一番警戒するのは左手。掴まれたら確定で死ぬ。次にヒビ割れ、あたったら確定で死ぬ。最後に黒いモヤ、二個当たったら死ぬ」
クソゲーじゃねぇか。
「Bm-83」不可避レビュー☆☆☆☆
ざツナスープの右腕に搭載されている銃の一つ。この銃は時間経過で特性が変わる。耐久性がなく、すぐに破壊されることが弱点。そして、五分後に本当の姿が現れ虹色に輝く。
不可避レ「虹色状態の火力が気持ちいい!これで耐久性があったら……」




