一番の敵
本日はオーバンブル米
ここら辺で戦闘したい欲を解放しておこう!
これはかなりまずいやつでは?
周りを見渡しても見える範囲が狭まり、二十メートル程離れると霧によりその先がまったく見えなくなっている。周りに気配は感じない。それでも杖を構えながら辺りを見回す。
「やっぱりもう周りに人はいないと考えた方がいいよね。こういうときには何をすれば……とりあえず少しずつ行動範囲を広げていってこのイベント?をクリアしないと!」
少し周りを歩いていると少し違和感を覚える。
ここ、さっきまでいた草原とまったく違う。足の感覚でわかるけど何よりも焦げ臭い。なんていうか、焼肉の忘れ去られたカルビのような……
目の前に茶色のダンプカーが来る。間一髪で突進を避け、杖を浮かせる。右手に氷のブレスレットを作り、両手に剣を一本ずつ持つ。
「なんだ高級ステーキか」
言葉を漏らしながらダルウェンに突っ込もうとした瞬間もう一つの影が迫る。
「二匹いるのッ!?」
左手で持っていた剣を投げ、右手の剣で守る構えをしながら視線を影に向ける。
そこにいたのはダルウェンに向かう人型の影があった。その影は投げた剣に反応もせずにダルウェンをバラバラ
にした。その両手には自販機程の大剣を持っている。
「ふふっ、でた。ラスボス」
影がニヤついた気がした。やっぱりこれフビー島に移動してるよね。内容的には過去の再生?だとしたら少し内容が違うか。けどダルウェン倒したしこれで戻れる。
「…………戻んないんですけど?不可避レ聞いてる?そっちもここに移動されて来たの?」
反応がない。
「聞いてる?昔担任の先生に……ぁっぶな!!」
人型の影が突然動き出した。明らかに首を狙った一撃には確実に仕留めるという意思が込められていた。
「これ本物?見分けがつかないんですけど、」
動きとかはいつもより大人しいから模倣AIかと思ったけど「小学三年生の担任の先生に公開告白した」件を止めようとしたところは本物すぎる。
けど、
「影でもなんでも『不可避レを倒した』という事実で半年は擦れる!」
右手の剣で不可避レの体を狙う。全て弾かれ距離を離す。ボロボロになった剣を投げ新品の剣を作る。人型の影から緑色のエフェクトが出ていることに気づきすぐに投げて阻止───
風を切り裂き、氷の剣が地面に落とされる。大剣が彼女の首元に迫る。すると空から降ってきた杖がそれを相殺する。が、もう片方の大剣が既に逆方向から首を狙っていた。
「一か八か、こんなとこで運ゲーさせられるのいやだなぁ!」
彼女の左手が氷に包まれていく。
「私のできる最硬のグローブを喰らわせてやる!」
その拳は影の顔面を避け、大剣に向かって繰り出す。現在両者共にだせる最高火力で力勝負と……
「ばーか」
影から力が抜けていく。その腹部に氷の剣が貫通していた。
「そっちが弾いた剣を当てることに集中しすぎてちょっと雑だけど作戦成功!大勝利!」
影がだんだんと消えていく。
「あっ!まって!」
影が顔を上げる。
「ゲームのステータスで勝っててもリアルステータスでは負けてるね!」
影の顔が少し引き攣ったように見えたけど気のせいだと思いたい。もしかしてあれ本物だった?まぁ別に私の勝利に変わりはない!
ニヤニヤしながらその場をくるくると周る彼女は元の場所に帰る方法が結局わからないことを思い出すのは数分後のお話……
影の状態でも罵られる不可避レくん羨ましい。
ここのストーリー割と後半に書く予定だったのに……ルーレットは空気の読み方を勉強してこい




