法で裁けぬ悪
友達の名前はかなりお気に入り
声の主は所謂リア友、そう分かってても振り返るのを少し躊躇った。理由?分かってるけどちょっと分かりたくない。
「一時間近く待たせた人への態度を教えてあげようか?」
「ポテチとコーラ1L」
「謝る前に賄賂渡して逃げようとするのは評価してあげるよ。で?足りないんじゃないの?誠意」
私とこいつは幼馴染だ、こう言う時の対処法は熟知している。
「やっぱ不可避レスープ?さんはかっこいいなー」
頭の上に表示された文字はユーザーネーム。つまりこの世界の小匙透久里は、「不可避レスープ」という名前なんだろう。やっぱセンスねーな。
「ていうかなんで武器屋集合にしたの?」
「まだ始めたばっかなら地図持ってないでしょ?武器と一緒に買ったら安いよ」
「お金ない」
「「………」」
「二万貸してあげる」
「……金利は?」
「一時間で五割」
「……パッ(杖を構える)」
「スッ(デコピンの構え)」
うーん、勝てる気がしない。始めたばっかの私が半年近くやってるやつに勝てるわけがないか。
「参りました。その条件を呑みます」
「フレンド申請送ったから承認しといて」
金だけもらって逃げるのもありか?
「ちなみにフレンド同士でしか金の貸し借りできないよ」
承認。
「まいどあり〜」
この後りゅーがフレンド以外でも金の貸し借りができることを知るのはそう遠くない、
「武器じゃなくてポーション買ったんだ」
「杖はまだ変えなくていいかな、見た目好きだし。元々HP少ないから回復のポーション買って損ないでしょ」
尚、「まほうつかいはレベル4になったら回復魔法使えるよ」と言う言葉を出さずに一人で笑いを堪えていた不可避レ氏。
地図とポーションで三千、そして不可避レに二万の借金がある彼女は普通だったら焦る状況でも落ち着いていた。理由?そんなの…
「またちょろまかせばいっか」そう思いながら地図を眺める。思ったより道だけはわかりやすい形をしているなぁ。
「お金はどうやって稼ぐの?門から出てモンスターとかを倒せばいい?」
「まぁそれでも稼げるけど一時間以内に返したいなら街の人のクエストをするとかかな。あとギャンブル」
ギャンブル?そんなものは地図に載っていないと思い探してみる。
「そこの馬小屋あるじゃん?そこのNPCと仲良くなると馬を借りたり競馬的なのできるんだよ」
「それは最終手段ね。コツコツクエストしてお金を稼ぐのが私にあってる。はず」
「三十分後に馬券を握りしめてる姿が想像できて滑稽だn…」
「ブンッ!」
この日初めてりゅーは殺意を持って人を殴った。
不可避レスープを男にするか女にするかめっちゃ迷った結果、幼馴染系性悪男に決まりました




