2話
『フウキ!!』
私がそう叫ぶと少年はびっくりした顔で私を見た。
『お前なんでその言葉を、、。てか、何故俺を知ってる?』
あぁやっぱり。彼だ。
私は嬉しさで涙が溢れてきた。
私が急に泣き出したからかおじいさんと少年はびっくりした顔で私を見た。
「アズ!?お主何をしたんじゃ!?」
「なにもしてねぇよ。てか、、は?」
顔の整った少年は綺麗な顔を歪めとても困惑していた。
「と、とりあえず!アズ!お主はしばらく彼女に近づくの禁止じゃ!」
「なんでだよ!俺はまだそいつと話さなくちゃいけないことが、、。って!押すな!」
そうしておじいさんは少年を部屋から追い出した。
「よし。すまんのぅ。あやつが何をしたのかは知らんが許してやってくれ。あやつも悪い子じゃないんじゃ。」
そうだろうな。彼は不器用だけど人一倍優しい人だ。
「い、いえ。すみません。驚かせちゃって。」
「大丈夫じゃ。それよりさっきの続きなんじゃがなぜあんな所に倒れていたんじゃ?」
「あ、、。えっと、私捨てられて迷っていたらクマに見つかって、、、。」
「そうじゃったか。それは辛かったのう。」
おじいさんはそう言って私を気遣ってくれた。
こういう優しい親が欲しかったなぁ、、。
「うーーん。あ!そうじゃ!君もうちの子にならんか?」
私の願望が漏れ出たのではと一瞬思った。
「い、いいんですか?」
「もちろんじゃ!!よし!そうなると色々買わなくなってくるのぅ!準備しなければ!!」
そう言いおじいさんは部屋を飛び出していった。
急な行動にびっくりしたがふっと笑ってしまった。
しばらく笑ってなかった。
それは前世含めても笑える環境じゃなかった。
いつも無表情で過ごさなければいけなかったから。
楽しいなぁと考えているとさっきの少年が入ってきた。
少年は周りに人がいないことを確認して私に話しかけた。
『おい。お前、、何者だ?』
そう少年が問うと私はニコッと笑って答えた。
『久しぶり。私はレオナ。覚えてる?』
そう答えると少年はびっくりした顔で私を見た。
『、、、は?お前、、レオナなのか?』
『そうだって言ってんじゃん。久しぶりだからまぁ覚えてないのも当然か。』
少し寂しいなぁと思ってると少年は、いやフウキは私に抱きついてきた。
『あぁ。会いたかった。ずっと会いたかった。』
『うん。私もずっと会いたかった。』
フウキは珍しく泣いていた。
『ごめん。お前を守れなかった。一生守ると約束したのに。死なせてしまった。本当にごめん。』
『大丈夫。フウキは悪くない。悪かったのは全てあいつら。あ、そうだ。結局あの後あいつらは死んだの?』
そう私が問うと風紀は首を横に振った。
『分からない。あの後俺もすぐ殺されたからな、、。』
『そうか、、。レオンは生きれたかな、、、。』
『さぁ。でも、俺たちの分まで生きれてたらいいな。』
『うん。』
レオンとは私の前世での双子の兄だ。
私は前世では王族の生まれだったけど双子だったため私だけ差別されて生きてきた。
レオンは優しくしてくれたけど優しくしてくれればしてくれるほど私への当たりも強くなった。
今は憎しみしかないけど当時は愛されたくてずっとひとりで静かに泣いていた。
そんな時にあったのがフウキだった。
フウキは私の手当をしてくれた。
無口だったけど私はレオン以外の初めての優しさですごく嬉しかった。
まぁそれからなんやかんやあって私たちは恋人になった。
普段は無口で不器用だけど私とレオンの前だけで見せる笑顔が大好きだった。
『、、、てかさ。アズってだれ?』
『あーーー。それは今世の名前。俺親に捨てられてさ。で、じいちゃんが拾ってくれたんだけどその時に付けられたのがアーサーってこと。』
『ふぇーー。』
『自分で聞いてきたのに興味無いのやめろ。』
『エヘ』
『はぁ、、ホントお前変わってないな。』
フウキはそう呆れて言った。でも私はドヤ顔をした。
『褒められてもほんとに何も出ないよ?』
『褒めてねぇよw』
フウキは少し笑うと私をまたぎゅっと抱きしめた。
『あぁ、、。本当に、、また会えてよかった。』
『、、うん。』
久しぶりにそうやっていたから後ろの扉が開いていることに気づけなかった。
「、、、、何をしとるんじゃあ!!??アズゥ!?」
おじいさんはそう叫ぶとフウキを羽交い締めにした。
「いったたたたたたっ!!!何すんだよ!」
「それはこっちのセリフじゃぁ!!女の子を泣かせた挙句無理やり抱きしめて既成事実をつくろうなんてぇ!!!」
、、ん?なんか変な言葉が混ざってたような気するけど、、、まぁいっか!!
私はその面白い光景をにやにやしながら見ていた。
「、、、は!?き、既成事実!?ま、まぁそりゃぁ作れるものなら作りたいけど、、。って!!ちがう!!俺たちまだそんな年齢じゃねぇし!そもそも作ろうとしてねぇよ!!!」
「やっぱそういうことを考えてたのかァ!!!男として最低じゃぞ!!!」
「最低だぞー」
「お前ものるんじゃねぇ!!」
うん!これぞまさしくカオスかな!
ちなみに説得には結構な時間を催しました☆