表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラウン 20  作者: 稀音
1/1

#1 過去の走り屋




ー雨の日、1台の赤い車、RX-7は夜の濡れた車道を走っているー


ゴゴゴゴゴと轟音を響かせ、段々と加速していく。緩やかなカーブに差し掛かるとギャァァァァと音を立て後輪を滑らせドリフト走行を見せつけた。


しかし、運転している若い男は不思議そうな顔をしていた。男の視線は車のミラーへ注がれている。奥から「なにか」が来る。最初は眩しいヘッドライトの明かりしか見えなかったが、段々と鮮明になる。

RX-7の赤いリアライトに照らされ姿を現したのは、白いクラウンだった。そのクラウンはクラクションを2回鳴らしRX-7の運転手に勝負を挑んだ。

「200系クラウン…オートマが勝負を挑んでくるなんて…何がしたいんだ…?」男はそう呟きながら合図を返す。


急なカーブに差し掛かる。

男はハンドルを切りドリフトを決める。

(所詮はオートマ…俺の走り込んだドリフトには追いつけないだろう…)

頭の中でそう思っていると、後ろからギャァァァァという音とエンジン音が聞こえてくる。

(オートマ車のクラウンがドリフト…!?)

白いクラウンは男のRX-7の隣に並んだ。

(まさか…叩き(Nでエンジン回転数を上げ、一気にローに入れる)なのか…?)

クラウンはさらにスピードを上げる。

(この先は急カーブの連続…何を考えているんだ…)

クラウンはギャァァァァという音と共に急カーブへ突っ込んで行った。

(そんなスピードで突っ込んだら…事故るぞ…!)

しかし猛スピードで突っ込んで行ったクラウンはまるで滑るようにカーブを通過する。

(あの足回り…クラウンには有り得ない程の切り返し性能…まるで峠専用カスタムだ…)


連続急カーブをものともせずドリフトを決めるクラウンの運転手は、涼しい顔をして片手離しで運転している。歳は高校卒業間近と言った感じだ。

RX-7を追い越す。


(さらに加速しているが…命知らずな奴だな…)

急カーブの最後にはこの峠最大と言って良い特大ヘアピンがある。男はドリフトで侵入しようとする。しかしクラウンは曲がる仕草を見せない。

とうとう歩道に乗り上げ、クラウンは中に浮いた。

しかし男が曲がり切る頃にはクラウンは前方でドリフトしていた。

(もしや…空中ドリフト…?わざと歩道に乗り上げ高くジャンプして空中で叩き、ドリフトの形を保ったまま着地し俺の前に出たと言うのか…!?)


その後直ぐに、クラウンは真っ赤なテールランプを見せつけて夜の闇に消えていった。

リアには微かに走り屋が貼るチームのステッカーが見えた…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ