とっても簡単な暗号
「何て事……!魔人族に大事な手紙を奪われるなんて……カイン様に死んでお詫びしなければ」
「姉様!駄目です、もう死んでは駄目です!お願いですからナイフを離して下さい!」
「離してバルトロマイオス!私はカイン様の信頼を裏切って汚してしまったのよ!」
「ああっ、姉様、姉様!落ち着いて下さい!」
「バルトロマイオス、離しなさい!」
「だから姉様、暴れては!――うわあっ!」
「い、嫌ぁあああああああああああああっ!カイン様手作りのお人形まで――!」
「姉様!どうか落ち着いて!
……あ、あれ?人形の中に……これは、棒ですか?変な棒ですね……まるで六角の柱のような形をしていて……」
「……どうしてカイン様はこの棒を……人形の中に忍ばせてまで……私に?」
「何事だ!オリンピア、今は何より冷静になりなさい!バルトロマイオスも貴族としての落ち着いた振る舞いを……む?その棒は何だね?」
「……父様。あの時、カイン様はこの人形を下さる前に……このリボンを……『真心の証』として……」
『どうかリボンと一緒に……大切に持っていて下さい』
『貴女を信じているからです。これに込められた僕の真実の気持ちを、貴女ならばきっと理解してくれると』
「まさか」
リボンに魔力を流すと、太陰文字がぼんやりと浮かび上がった。だが、解読も判別も出来ないただの文字列だ。だが、柱にリボンをグルグルと巻き付け、柱の面に従って上から解読しつつ読むと――。
『ドウカオクタバ州東方ノ、セレウシ大森林ノ奥地ノ、エルフ族タチノ隠レ里ヲ、腐敗セシ者達ヨリ奪還シ、奴隷エルフノ解放ヲ頼ム、アナタヲ慕ウカインヨリ』




