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本領発揮する皇太子殿下

 「君が手紙をくれたのだね」

デボラが部屋に閉じこもって出てこないからフラヴィウス殿下は護衛数人を連れただけで、俺の所に来た。輝くような金色の髪の毛と目をしている。

「……。こうたいしでんか、おかあさまはかわいそうです」

最高の教育を受け、実際にとても優秀で、挫折や鬱屈を知らないで育った由緒正しい皇女だったのに、結婚相手を間違えた所為で、今や己の子供に虐待しているんだぜ。


 「おとうさまはおかあさまをだいじにしたこと、いちどもありません」

夫から蔑ろにされ浮気されて、じゃあせめて家政や領地経営を行おうとしたら『女の癖に賢しくてみっともない』って何もさせて貰えなくて、舅と姑からも『浮気されるようなみすぼらしい女』って女としてのプライドも皇族の気位もグチャグチャに踏みにじられてさ。

それでカインの教育に異常なまでの情熱を傾けるようになって、カインが少しでも失敗をするのを許せなくなってしまったんだ。


 たったの2歳児が失敗しないなんてバカがあるか。

 クソガキだった頃の俺からすれば幼少期のカインはお人形と同じだ。


「おじいさまも、おばあさまも、おかあさまをいじめるんです。おねがいします、おねがいします、おかあさまをたすけてください!」

「……そうか。君はどうして……」

俺の後ろで控えていたサリナがその瞬間、声を上げた。

「皇太子殿下、発言することをどうかお許し下さい!」

「許そう。サリナ、この子は……まさか」

「殿下、殿下、デボラ様はこのままでは自ら儚くなってしまわれます!」サリナは俺のズボンを脱がしやがった。ぎゃああああああああああ、俺の尻!シュッと布がすれただけでいてええええええええええええええええ!!!「もうデボラ様は限界なのです……!お助け下さい、どうか、どうか!」

フラヴィウス殿下の顔が変わった。

「……辛かったな」

俺の尻から痛みが消えた。振り向けば殿下が光魔法を使って治してくれていた!

「記録は取ったか」

護衛に殿下が話しかけると、護衛は頷いた。

「はっ、全て」

フラヴィウス殿下はあえて大きな声で言った。


 「レーフ公爵家では跡取りを適切に養育できていない。このままではこの少年の命の危険がある。更に陛下が危惧されていた以上に皇女デボラはレーフ公爵家から身分に相応しい待遇を受けていなかった。――よってこの少年カインと皇女デボラは直ちに帝国城で身柄を預かり、保護する!」


 ドタドタと俺の祖父母に当たる先代レーフ公爵夫妻が召使いを連れて走ってきたところに、フラヴィウス殿下はそう告げたのだった。

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