悪ガキ3人組
「きみ!まりょくのそくていじっけんにきょうりょくしてくれたまえ!」
初等部のガキでこんな台詞を言うヤツなんて確定している。あのヴァロ・セウェルスだ。青色の髪と眼鏡の奥の目がギラギラと輝いている。
本当にコイツ6歳の子供……?
「べつに、いいけど。まりょくのそくていじっけんってなんだよ?」
顔に大きな傷痕がある所為で『こわい』『けんかうられそう』『ぜったいあぶないやつ』とぼっち確定しかけていた俺は、ちょっとだけ話しかけて貰えて嬉しかった。ちょっとだけな。
「フハハハハハハハハァ!よくぞきいてくれた!これはワガハイのたてたかせつをしょうめいするためのじっけんである!」
「かせつ?」
「へいみんはまほうをあつかえない。だがきぞくはまほうをあつかえる。このちがいはどうしてうまれたのか?ワガハイはけんきゅうのけっか、ひとつのかせつをうちたてた!」
「で?」
「まりょくのほじきょようりょうのいでんてきなぜったいさである!」
「なにいっているかわからない」
「まりょくのほじきょようりょう、つまりMP(魔力)はけっとうてきにいでんするのだ!」
「だから?」
「MPがいっていのあたいをこえないとまほうをつかうにあたってさいていげんのしょうひMPをこえられない、ゆえにへいみんはまほうがあつかえないのだ!」
「へー」
「このかせつをしょうめいするためにワガハイはMPをそくていしまくっているのである!」
「ぐたいてきにぼくはなにをやるのさ」
「このそくていきにてをあててくれたまえ!すうびょうでそくていがかんりょうする」
自慢そうにヴァロが差し出したのはゴルフボールくらいの大きさの水晶玉だった。
「それだけでいいの?」
「である!」
「わかった」
俺は水晶玉に手を当てた。
「……?」
何も反応がない。
「うむむむぅ!?」
ヴァロが不審そうに水晶玉をいじりだした。
「おかしいぞ!?このばあいはくろくひかるはずなのだが……?」
「どこか、こわれているとか?」
「そんなはずは……」
「おい!」
レクスがやって来た。
「なにをやっているんだ、カイン?」
「まりょくのそくていなんだけど……これがこわれているみたいだ」
「うむむむぅ、おかしいぞ!?ワガハイがさわったらはんのうするぞ!?」
「じゃあおれがやってやる!」
レクスが触ったら、真っ赤に光った。
「うーむむむむむぅ……せいじょうなはんのうだ……」
でも俺は闇魔法を扱えるので、魔力が無いなんてことはあり得ないし。
「きめた!ワガハイはこのなぞをつきとめるまで、きみをけんきゅうたいしょうとする!」
「「はあ!?」」
レクスと俺は同時に叫んでいた。
「なんだ、もんくでもあるのか!」
「めんどうなのにからまれたな、カイン……」
「レクス、にげるならいましかないよ」
「ばかいえ!ともだちをおいてにげるのはいやだぜ」
そこに先に大講堂で説明を受けていたデボラ達がやって来た。
「あらカイン、新しいお友達が出来たの?」
「……たぶん」
俺はこの時には、一ヶ月後に俺達3人が『悪ガキ3人組』と学園中に恐れられる対象になるなんて思ってもいなかった。




