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クソオヤジ、クソオヤジ、クソクソクソオヤジ!!!

 「どうせマグヌスをたぶらかした貴様の差し金だろうと思っていたが……」

違う!

俺だ、俺が言い出したんだ。

サリナが悲鳴を上げようとした瞬間、闇魔法がサリナと俺を襲った。

闇の呪縛に拘束されたサリナが俺だけでも逃がそうともがく。

「貴様の所為で俺の人生は潰えたも同然だ……!」

誰かいないのか!?

誰か、衛兵!

いや、駄目だ!

コイツは強大な闇魔法が使えるから、貴族出身の近衛騎士じゃないと!


 サリナの必死の働きで自由になった俺は、息を吸ってから大きな悲鳴を上げた。

「――きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!だれかー!!!たすけてー!!!!」

「黙れや、クソガキ!」

俺の顔に凄まじい衝撃が走って、意識が遠のく。

「いやああああああああああああああああああああああ――!坊ちゃま!!!坊ちゃま!!!」

黒く塗りつぶされていく視界の中で、リヴィウスに組み伏せられたサリナの姿が見えた。

俺に向かって手を伸ばしながら、服を破かれて――嘘だ、嘘だ!


 嘘だろ……回避したはずだろ、こうなるのは!?

こんなの……嫌……だ……、

「さ、り、……あ……」


 俺はそのまま意識を失った。


 目が覚めた時には俺の手を握って泣きじゃくるデボラはいたけれど、サリナはいなかった。

「おかあ……さ……ま……」

喋ったら顔が痛いやら熱いやらで涙が出てきた。

「カイン、カイン……!」

デボラがすぐに呼んだ、宮廷医師が俺に光魔法で鎮痛作用をかけてくれた。

「カインの傷痕は治せないの!?」

「……命をお助けするだけで精一杯なのです。ご存じでしょうが、闇魔法で負わされた傷はその魂をも蝕むのです……今は魂への汚染を食い止めることを優先しております」

知っている。闇魔法は魂に傷を付けることも出来るのだ。そして魂に傷を付けてそこから汚染すれば、相手を支配することだって……。

「……うう、ううっ……ごめんね、ごめんね、カイン……」

「……おかあ、さ……」


 サリナはどうなったんだ。まさか、まさか……。

だが駄目だった。俺は引きずり込まれるようにまた意識を失っていた。

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