えへっ!人質を盾にしちゃった!
「貴様ら……貴様らぁあああああああああああああああああああああっ!!!!」
次の拠点には正々堂々と真正面から近付いた。
抵抗したら人質を殺すつもりだとは、我ながらとてつもなく邪悪な作戦である。
奴隷が逃げられないように、この拠点は真正面にしか出入り口を作らせていない事は調査済みだったから、逃げられる心配は無い。
エヴィアーナ公爵令息、ガラテアの双子の兄であるバイロンや他の元・貴族達が人質を盾に押し寄せる俺達に、顔を真っ赤にして罵声を飛ばしてきた。
「人でなし!」
「悪魔め!」
「地獄に堕ちろ!」
どうも自己紹介ありがとうございまーす。
「10秒で決めて下さいねー。無条件降伏するか戦うか。早速……10・9・8・7・6・」
「かくなる上は!」
――バイロンは懐から取り出した魔幸薬のまだ乾いていない塊を貪り始めた。バイロンが貪り始めたのをきっかけに、他の貴族も目を血走らせて同じモノを喰らい始めたのだった。
「アイツら、何をやって――」
ギョッとした顔をするストラトスに、俺は告げた。
「少しだけ、下がっていて」
「う、うむ」
と下がろうとしたストラトスが掲げていたガラテアの磔が、風刃によって真っ二つにされた。
断末魔も上げられずに、ガラテアが絶命した。体内の内容物(意訳)が辺りに派手に飛び散る。
『あっ!まだ拷問のフルコースを御馳走していないのに何をしやがる!』
『全くだ。味方を平然と殺すなんて酷い連中だな』
「!?」
ストラトス達が驚く。
そりゃそうだ。ここは通常なら、魔法がこの威力では届かない距離からだ。
「下がって、早く!」
俺は語気を強めて言った。
「だが」
「僕は大丈夫だから」
そう言うよりも早く、俺の影が俺の体にまとわりついた。
【魔剣ドゥームブリンガー――展開】
【鎧形態へ変更……装着完了】
「……了解した」
下がっていくオーガ族と同時に、バイロンが凄まじい叫びを上げた。
とてもとても幸せそうに。とてもとても楽しそうに。双子の妹を手に掛けておいて。
「ギャハハハハハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!幸せだ!幸せだああああああああああああああああああああああああっ!幸せなんだああああああああああああああああああああああああっ!」
誰もが目の色を変えて、顔をゆがめ、泣きながら幸せだと口を揃えて叫んでいる。
なあ、『幸せ』って本当にそんなものなのか?
『「とても幸せになれるし一時的に魔力が増大する代わりに使用すればするほどに人間として終わる」……だっけ』
『終わったな……コイツらも』
【刀に闇属性を付与してくれ】
【承知いたしました】
魔剣ドゥームブリンガーが刀と一体化していく。捕食した対象を支配して様々な効能を付与するのだ。刀に闇属性の高等技術である『大壊』が加わった所で――。
「『もう、終われ』」
手始めにバイロンの首を刎ねた。
「あはは……っ!」
首だけになってもバイロン達はまだ生きていた。
こりゃ闇魔法で完全にミンチにしなきゃいけないかと俺が思った瞬間、
「俺は妹を殺した、だが貴様も父親を殺すんだ!」
「呪われろ、父親殺し!」
「地獄で待っているぞ……」
呪詛を吐いて、バイロン達はついに動かなくなった。




