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短編(日常・恋愛)

冷蔵庫の小さな怪

作者: 鞠目

 ロールケーキが消えた。

 冷蔵庫に入れていた、コンビニのロールケーキ。1カット分のやつ。昨日仕事帰りに自分へのご褒美に買って取っておいたのに。


「なんで消えるのよ」

 ため息とともに独り言がこぼれでた。

 1DKの一人暮らし。彼氏とは先週喧嘩別れしたところ。もちろん合鍵は返してもらった。


「マジで信じられない」

 本日ふたつ目の独り言をこぼしながら、曇り空のような気分で家を出た。ドアを閉める時、学生時代から使っている冷蔵庫が妙に低い音を出した気がした。


 昨日は珍しく仕事で褒められたから、プチ贅沢で買ったのに。食べた記憶はないのに。一日中モヤモヤしながら働き、帰りにもう一度ロールケーキを買って帰ることにした。


「ただいま」

 誰もいない部屋に向かって呟きながら入った時、視界の端で何かが揺れた。揺れた方向を見ると、冷蔵庫に見覚えのないメモが貼ってあった。


「ごめんなさい」


 それはまるで習いたてのひらがなを丁寧に書いたこどもの手紙のようだった。想定外な出来事に思わず吹き出してしまった。


 何故だか怖いとは思わなかった。それどころか手紙が可愛らしく思えた。


「次食べたらネットオークションで売り飛ばしてやる」

 呆れながら呟くと、冷蔵庫が低く唸った気がした。


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― 新着の感想 ―
[一言] イチオシレビューから来ました。 ロールケーキ美味しそう。 食べたくなりました^_^
2023/08/01 21:37 退会済み
管理
[良い点] 冷蔵庫、最後はガクブルかしら♪ 可愛いかったです。 冷蔵庫にこびとが住んでいるのか、冷蔵庫本体なのか、可愛い不思議、可愛いホラー♪ 怖くない、可愛いとの触れ込みでしたが、やっぱり状況とし…
[良い点] 家から知らない間にものがなくなっていた……。間違いなく怖い状況のはずなのに、なんだか和みました。ほっこりホラーですね。現れたのは、座敷わらしみたいな存在だったのかなと思いました。
感想一覧
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