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幕間:ミコトの場合―④

 

 待ちに待った金曜日の夜――


 ミコトはマチルダちゃんと他2人のメイドと、護衛騎士の2人と共に“金曜日の花園”初回公演を拝見した。



 控えめに言っても

 最高だった。



 胸の高まりが抑えきれない。足元もなんだかフワフワする。


「あぁ、私は明日からどうやって騎士団で過ごせばいいの! 」


 金髪かわいい系護衛騎士、ナターシャちゃんが胸を押さえて苦しそうにする。


「羨ましい悩みです……っ!! 」


 マチルダちゃんが切実な声をあげる。きっと舞台を見ていたすべての乙女がフワフワわたあめ状態となっていることだろう。今宵、新たな扉が開かれたのだ。

 気を引き締めていかなくてはいけない職場での、ナチュラルな男同士の絡み合い。1日見学に行っただけでも怪しい場面はたくさんあった。ミコトはサマンサちゃんとナターシャちゃんの立場に同情しながらも、マチルダちゃんと同じく羨ましかった。


(ん? てか、俺の旅も…… )


 やめとこう。想像しただけで止まらなくなる。ジーク×ニッキーとか絶対何か――




 このまま解散したくない。通常なら飲みに繰り出して思いのままに語り合いたいところだが、残念ながらまっすぐ帰るようにアルにかなり強めに言われている。


 よし、こうなったら――


「あの、よかったら俺の部屋で語りませんか?」



 ♢♢♢



 パジャマパーティー@王城!!


「初めは疑っていたんだ。男性同士のどこが面白いのかと……。あんなにせつなく心揺さぶるなんて――!! 」


「男女なら普通に結ばれるところを常識とか、倫理観とかの壁が邪魔しちゃうんですよね!! それを強引に壊したハインツ様(登場人物)の色気が――!!」


「あの場面が一番好きです~!! 」



 盛り上がりは止まることを知らない。


「ミコト様の世界では、同じ物語を様々な解釈でとらえていくんでしたっけ?」


「そうそう! 例えば今日はハインツ様がリードしてたけど、もしそれが逆だったら?って感じで、オリジナルの小説とか絵とか漫画とかで萌えを共有するんだよ! 」


「楽しそう――!! 」


 今日の劇の話だけでなく、ロザリー歌劇団過去の演劇のパンフレットなどを見ながら、部屋に大輪の薔薇が咲き誇る。


「ところで、先ほどからおっしゃってる“漫画”ってなんですの? 」


 紫に近い紺色の髪のクール系メイドさん、スカーレットちゃんがミコトに尋ねた。


「あ、そかそか。この世界には漫画がないんだよね。」


 大抵のことは不器用で残念なミコトは、意外なことにそこそこ絵が描ける。ウェブ上で好きな漫画やアニメの二次創作を描いてそれなりのいいね!がもらえるくらいには。


 さらっとおおざっぱに漫画を描いてみた。


「絵とセリフが一緒になってるんですね。新しい。」


「すごくわかりやすい。」


 漫画の概念を知った乙女たちは興味津々だ。

 中でもスカーレットちゃんは食い入るようにミコトが描いた漫画を見つめている。


「あぁ~久々に漫画が読みたくなってきた! ユキちゃんの叔父さんに頼んでシン☆ハイ読ませてもらうかなぁ。」


「ユキちゃん……エルモンテ宮廷魔導士様ですか? 」


「そうそう。叔父さんは確か……大司教?だっけな。昔の聖女様が持ち込んだ漫画を研究しているんだよね。」


 ガバッとスカーレットちゃんがいきなり立ち上がる。


「私、原本を見させてもらいますわ――っ!! 」


 そのまま脇目も振らず、大急ぎで部屋を出て行ってしまった。

 その勢いに声をかける暇さえなかった。どこか既視感のある去り際だったな――


「えっと……そんな簡単に見せてもらえるものなの? 」


「彼女は、エルモンテ大司教の娘ですから……頼めばきっと? 」


 なんと、ユキちゃんの従兄弟でしたか。世界は狭いんだなぁと思いながら、いい時間なので今日はお開きとなった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] いやぁいいね... 僕のジーク×ニッキーの原点ですよ... というかこの時ロザリー歌劇団に男が来てたら...グヘヘ... [一言] 前のコメントで折り紙の技量聞かれてたんでお教えしよう!!…
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