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003夜 あずきあらい♀
豆が違う、音が違う、うるさくて。
え? 親がです。
両親が、『小豆洗い』は、小豆を洗ってこそだとか、ショキショキって音を出してこそだとか、うるさいんですよ。
私は小豆じゃなくて、大豆でいきたいんです。
なんでって、イソフラボンだからです。女子力上げたいんです。
洗ってたら手がきれいになりそうじゃないですか? 洗ったあと食べたら、さらにきれいになれますよね?
え? それは……、好きな妖怪がいるからですけど。きれいになって、振り向かせたいじゃないですか。
あ~、本当、親って頭かたい。小豆洗いが大豆洗ったっていいじゃないですか。どうせ小豆洗いは小豆洗いなんですから。
大豆洗いになっちゃうっていうなら、考えちゃいますけど。
え? ま、まあ。私は小豆洗いの両親の子で、小豆洗いであることを誇りに思ってますから。小豆が嫌いなわけじゃないですし。音だって、小豆が一番って思ってます。
……こ、こんな話はいいんですよ!
とにかく私は、大豆を洗いたいんです。大豆パワーできれいになりたいんです。
彼を振り向かせるまでは!