プロローグ
初めての投稿なのでお手柔らかに。
「起きろぉぉ!」そんな言葉が聞こえた。
それは右下から聞こえた、ブリアナ・ブラックという名の少女の言葉だった。俺はアナと呼んでいる。
彼女とは長い付き合いになる。長いというか、生まれた数日後にはこいつに会ってた。俺らの家柄はどちらもこの王家に仕えていて、生まれたときからほとんど同じ人生を送ってきた。
「はい、はい。今起きまーす。」と言いながら二段ベッドから無理矢理体を押し出す。
「お前、ちゃんと自分で起きられるようになれよな。」と、相変わらずこいつは口の利き方はひどい。
とても少女の言葉とは思えないが、見た目はちゃんとした少女だ。長い茶髪に紫色の瞳、一見優しそうに見える顔をしている。この顔は無数の人を騙してきた。
このスペンサー・スカイと比べれば美形だろう。ボサボサの茶髪に常に半眼の空色の瞳。いつも掃除してばっかだし、特に男らしいところはない。まぁ、必要ないし、そんなのはどうでもいいが。
適当に髪を直し、朝食を食べに食堂へ行く。
「何か面白いことないかなぁ。」アナが言う。こいつはこの安定した日常に不満でもあるのだろうか。
俺は平和で単純なこの生活を結構気に入っているのだが。というか幸せなのだが。
朝食の後は仕事の時間、今日も掃除を始める。
俺の生成する氷の箒はとても良くホコリを取れるということで評価されていて、人のよく通る廊下などを任される。だからといって良い事はないのだが少し誇りに思っている。
人が通ると、生成した闇の雑巾で窓を拭いていたアナは、
「おはようございます!」と見違えるほどの笑顔で挨拶をする。
そう、こいつは俺に対してだけ態度が驚くほど変わる。これは決して特別な扱いではない。
どんな人でもある程度仲良くなると、こいつは態度がひどく変わる。しかし、大抵の人はそうなってからはこいつと縁を切ってしまう。
まぁ、仕方ない事だろう。
だが、俺はずっとこいつのそばにいてやるつもりだ。
少なくともこいつが心を許せる人が俺しかいない間は・・・
とまぁ、そんなこんなで昼になった。
昼食を食べていると、王の従者が食堂に入って来た。
「スペンサー・スカイ、ブリアナ・ブラック、王がお呼びです。直ちに王の間へ来なさい。」
へ?聞き間違いだろうか、王が自分をお呼びになったと聞こえた気がするのだが。
隣を見ると、興奮で爆発しそうなアナが立ち上がろうとしていた。
「なにボケっとしてんだペン、早く行くぞ!」
「なっ・・・」俺はアナに引っ張られ、食堂から連れ出された。
は?なに?王とか会った事ないし、敬語とかどうすればいいんだっけ?
学校で習ったはずだが、頭が混乱しているせいか、全く思い出せない。
なぜアナは待っていたかのように対応できているんだ?
そのまま俺は引っ張られて行く。
王の間へ。アナの言っていた面白いことへ。
第1話も投稿してあるので是非読んでください。