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闘わない犬  作者: 嘉藤 静狗
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注意力散漫

 

 外界を歩くとき、私はよくキョロキョロしている。

 いっそ幼児か、と言うぐらい、あっちこっち目線が回る。端から見れば、確実に挙動不審だ。通報されないのは、運が良いからか、人通りが少ないからか。


 しかし、弁明させてもらうと、私なりに理由があるのだ。しかも、2つほど。



 1つは、視力の問題。

 両目を合わせれば、A判定間違いなしだが、実は左右の視力差が酷い。どちらとは言わないが、片目の視界はたぶんほとんど機能してない。

 ……いや、見えないわけではないので、「機能してない」と言うのは半分嘘だ。ただ、視力の悪い目の方は、意識が行き届きにくい気がする。テニスボールがぶつかったこともある。2年間で3回、直撃で。


 たぶん、この視力差を補うために、キョロキョロしてしまうのだろう。尤も、推測でしかないが。



 もう1つは、私の興味の問題だ。

 私は幼い頃から生き物が好きだった。

 それも、周囲が短冊に日曜朝の美少女戦士やレンジャーの名前を書く中で、犬の毛を刈る人になりたいと言った程だ。……実際には、別のことを書いていた気がする。

 その後も将来の夢は、ペットショップ店員やら、動物園の飼育員やらと言っていた。小学生までは。

 中学生で、その分野に進むには適性が足りない―理数が駄目だった―と言う現実を知り、加えて絶望的な運動能力―特に反射神経―の所為で、潰えてしまったのだ。


 しかし、相変わらず生き物好きは変わらなかった。

 猫が手を噛んで利き腕が腐りかけようとも、犬が顔面に屁をかけようとも、餌をあげたとき蜥蜴や亀が指を囓っても、鶏がお気に入りのサンダルに糞を落としても、生き物が好きだ。


 ……ただ、珍しく勉強していたときに限って、背後から(自主規制(頭文字G))が飛んでくるのだけは止めてほしい。

 アイツだけは無理。


 ついでに言えば、植物も好きだ。私の本名にも、植物が入っている。

 そんなわけで、やれ緑化運動やら、捨て犬猫やらで生き物だらけな世界を行けば、自然と私の視線がそちらに言うのは道理だろう。



 ―――あの植物はなんだろう?


 ―――あれは、ハシボソカラスかハシブトカラスか……。


 ―――あ、タチアオイが咲いた、もう夏だなぁ。


 ―――あそこの猫は愛想悪いんだよね、ミケ?サビ?


 大抵は、こんなこと考えてる。



 結局、何が言いたいかって?

 ……道端で、左右に首を振る赤べこを見かけても、引かないでやってねってだけ。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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