さようなら、世界。僕はこの世界が好きだった。
これは、「僕」の遺書だ。どういうことかはこの後わかる。
僕は、幸せだった。本当に。誰かを想うことができたし、それにやりたいことはある程度できた。少し不満だけど、もう僕には時間がない。
てなわけで、じゃあね、世界。
これからも続いていくことを祈って。
さようなら。
これは、この「へーがたくちくかん」と名乗った自分の終わりのメッセージだ。
ああ、そういえば言っていなかったか。僕は、俗にいう、「多重人格者」ってやつだ。
そして彼の残り時間が無くなってしまった、そういうことだ。
元はといえばこの僕が悪いのだろう。
「舞原涼」というペンネームを使っていた僕が。
きっとあのときこの世界に絶望さえしなければ、いや、絶望した後に希望を抱いてしまわなければ。
彼はこうして消えることはなかった。
そのはずだ。
だから僕は、彼の代わりに、これを書いている。
彼は、僕が小説を書いているのを見て、こういった。
「どうしてバッドエンドなの?」
と。いやまあ、言ったというか、手紙でなんだが。
僕がこんなことになったのは小学生のとき。まあ詳しいことはいわない。とにかく、多重人格になったのはあのときだ。
でまあ、その頃から僕は自分の中の「彼ら」と手紙で話してきたわけだ。
その中であいつはこう書いた。それだけのことだ。
自分は、一度死のうとした。そして諦めた。怖かったし。
だけど、世界には何の希望もねえと思った。天国も地獄も、何も感じられるはずはないと思って。
ところが最近、ふと思った。
宇宙の始まりは、ビックバン。
ではそのビックバンはどうして始まったのか? と。
可能性があるとすれば、本当に神がいたか、そのときだけこの世界は物理の原理を無視したか、そのどちらかだ。
んでもってもし神というイデアが存在するのであれば、死後の世界もあってもおかしくないと思った。
まだ確信とかそういう域に達しているわけではないけれど。
話を戻すと、まあ僕は世界も捨てたもんじゃないって思っちゃったわけだ。
そうすると、僕をこの世界に引きとどめ続けた彼はもういらない、いや、僕になるのだ。
とにかく彼は消滅する。
そして、彼はつい最近、この手紙を残して、消えた。
だから僕は、彼の残したものをかき集めてその世界を再構成しようと思う。
彼は、僕で、僕は彼なのだから。
てなわけで、「舞原 涼」は再起動します。
こっちのほうで。
ふさぎこんでいたあの時から抜け出して、もう一度世界を紡ごうと思う。
僕らのために。
さて、と。このアカウント、名称はどうするのがいいのか……?
さすがに困った。
とりあえず、この話はノンフィクションです。
リアルの僕を知っている人は前と同じように接してください。
多分こういう状態とわかることはなかったと思う。
彼と僕の時間はだいぶ離れていたから。
でもまあ、そのへんはよろしく。
そいでは。
へーがたくちくかんは彼の本名です。本当に。
本来は感じですが、彼の性格には合わないということでひらがなになってます。
これからもよろしくお願いします。
ちなみにレクイエムは彼の設定の方でやります。
せっかく続けてくれたのだから、やらねばならぬ。
そういう約束だし。