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3x4のファウニーウォー

この小説の需要がスマートフォンに偏っていることが判明したため、今までPC規格で線を引いていた部分をスマホ規格に修正いたしました。

「失礼しました」


そう言って官僚は部屋から出て行く。ドアが閉められたことを確認すると、隣の準備室へ続くドアがノックの音も立てずおもむろに開いた。


「、、油断したな。」


「そ、、総裁。」


「私を呼ぶときは名前でと言っただろう、三垂だ。」


最悪のタイミングだ、、、まぁ、もう降りると決めた船だ。船長にいくら嫌われようと構わんが。


「イニシアチブを取ってこないからって、警戒心を解くんじゃない。お前が相手にしているのは子供か?違うだろう。」


「は、申し訳ありません。」


「これだからゆとり世代は、、、あのなぁ。この世界は食うか食われるか。蹴落とすか蹴落とされるかの弱肉強食の世界なんだ。常に相手を社会的に殺すこと、自分は殺されないことを考えるべきと思え。策を練るのはそこからだ。」


政治は、艦隊決戦なんかじゃなかったはずなんだがな、、、


「全く。つくづくお前を都知事にするため斡旋したのが失敗だったとわかるよ。一連のスキャンダルを鑑みて。」


何故皆がこの老人について来るのかわからない、、、私にはわからない魅力というものが、確かにあるのだろう。だが少なくとも、私には分からない。


「まぁいい、、、で、どうするつもりなんだ。お前の見解を聞かせてみろ。」


相手が去ってから今までの一瞬で考えていることが前提か!無論、まだ考えも付いていない。あの後は話をなんとか丸く収めて帰らせるのに必死だったのだ。


「、、、三垂総裁の方が、良い案が考えついているかと。」


彼はドアの向こうから聞いていただけなのだから。


「、、、まず、相手が困窮している要因を考えてみろ。相手の内情を読むのは交渉事の基本だ。」


「メディアに吊るし上げられていることでしょうか?」


「無論それもそうだ。だが、今行われている報道を鑑みてみろ。官僚Aと名前を伏せているだろう。」


「ネットでは、上級国民だから伏せられているだなんだと騒がれていますね。」


それも葉桜新党への攻撃材料になってしまっているのだ。まだなんの圧も掛けていないのに。


「、、、ひょっとして、メディアの目的はそこですか?」


我々に罪をなすりつけている?


「ああ。だが、それだけじゃぁないな。」


何だろうか。情報を小出しにすることで、商材の消費期間を長くしているのか、、、?


「、、、つまり、『俺たちはいつでもお前を潰せるぞ』という、あの官僚への脅しとなっているのだ。圧を掛けただろうと追及された時に、我々は『圧力など掛けてはいない』と否定しなければならない。世間はそれに納得しないだろうが、当の本人は深読みに深読みを重ねるからな。そうやって、反抗する気力をなくすのだ。」


「な、、、なるほど。」


「我々も同じ事をする!メディアへ働きかけてやろう。『例の官僚の本名を出さぬように』と。そして、その事を包み隠さずあの若造に報告する。これで、我々も奴の手綱を握れる。」


この老人は、、、どう考えても、理想的な政治家ではない。そんな才能をしていない、はずだ。なのに、この社会では彼のような才能を持った人間が政治家として成功しやすい。


「わ、、わかりました。では私から。」


「いや、俺の持っているパイプからやろう。お前はとにかく、失敗しない事だ!いいな。」


「は、、」


総裁が部屋からさってゆく。ドアの直前で立ち止まり、振り返った。


「奴との会話は、きちんと録音しているな?」


「、、あっ。」


ただ無言で、出て行った。


========================


帰りの車の中、部下と共に帰路に就く。ある程度の社会的地位を手に入れ、自分で運転する必要も無くなった訳だ。こういう時は車に電話を備えつけるのが洒落ているのだろうが。あいにく昨今は、正にいま手に取っているスマートフォンのおかげで無駄にしか思えなかった。


「はい、はい、、分かりました。」


圧を掛けているつもり、、、なんだろうか?


「どうかしましたか?先生。」


「いや、今私が持っているワイドショーのスポンサーになっている会社の方が『個人名を晒しあげることは我が社への印象悪化につながる』と、実名公開を控えるように言ってきたんだ。」


無論建前だ。企業の判断としては、政治からの圧力。もしくは、天下りルートへの影響の懸念、、、か?


しかし、ディレクターではなく私に直接連絡するというのが、何ともいやらしい。


「なんですかそれは、、、?訳が分からないですね。」


「まぁまぁ。元から個人名を晒すつもりは無かったんだ。今更どうにかする話じゃないさ。」


餌は保持できたが、手綱は横取りされてしまった。だが、ここで反抗しても、、、だろう。


「、、権力の圧力に屈するんですか?」


車窓を流れる夜景は、一つ一つが自由に。しかし、非情なまでに合理的に動いている。矛盾することもなく、ただ、社会の歯車は噛み合う。


「、、、それも、私の仕事だ。世界は、要するに折り合いだよ。」


父は、それが出来なくて失敗した。


========================


「構成作家は飛鳥部か、、」


偶然か?いや、珍しい名前だ。それに、職業的にも。おそらく偶然では無いだろう。


もう何十年前の話だ?少なくとも30、、、いや40は行くだろうか。俺、三垂相模は、飛鳥部という一人の記者を静かにした事がある。まだ、俺が官僚だった頃だ。



官僚


一般に、国家の政策決定に大きな影響力を持つ公務員をいう。日本におけるそれは広義では、国家公務員試験に合格して中央官庁に採用された国家公務員全般を指すものとされている。


日常会話において、「官僚」という場合、霞が関の中央官庁で制作に携わる国家公務員、中でも「国家公務員Ⅰ種試験」や総合職試験等に合格して任官したキャリア公務員を漠然と指す事が多い。


Wikipediaより引用

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