表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

1+0のイニシアチブ

[2+√-1個のトラップ]

にて、駄目を修正した時に、後書きの修正を忘れていたので修正しました。

定例会は、非常に堅実な物だった。


ふむ、これでは盛大にミスをすることもないだろうし、逆に何処かで逆転することも無いだろう。この党は、徐々に徐々に沈んでゆく浸水した客船だ。


そんなことを考えていた矢先、ついにメディアが王手を打ちやがった。それを受けて開かれた緊急会議では、幹部を始め総裁までもが明らかに同様、判断力の低下を見せていた。


訂正しよう。この党は、今まさに沈みゆくオリンピック号らしい。

やはり、見切りをつけるべきだ。


そんな事を考え、日本自由党へメールを送ろうとした瞬間、ノックの音が部屋に響く。


「私です、入っても良いでしょうか。」


びっくりした、私の秘書だ。急いでソフトを終了し、入るように促す。


「失礼します。」


「どうした」


「先生に会わせてほしいと言う方がロビーに。」


誰だ、、、?まぁ、喫緊の業務は今の所無いし普段ならあっている所だが、、、


「どんな奴だ。」


今は少し、警戒しなければいけない。


「それが、例の核融合案件で吊るし上げられている官僚のようです。」


、、、無視できなくなってしまった。


========================


『入れ』


「失礼します。」


消極的ではあるが、なんとか多摩の協力の元同僚の中数名に、協力してもらうことが出来た。無論、転生については伝えていない。これは諸刃の剣となってしまうだろうが、今は活用するしかない。


そこから得た情報によると、私はどうやら東京都知事担当の官僚に教育されていたらしく、何度か顔を合わせた事があったそうだ。


「、、、なんだ、君だったのか。」


ついでに、”こっちの日向隼人”が多摩の言うよう、本当に純真無垢な人間であった事も分かった。これは武器としては弱いが、おそらく永続的に使える。うまく活用していかなければ。


「ご無沙汰しております。」


「いろいろ大変だろう、まぁ座れ。」


「はい、では失礼して。」


あの後、多摩の調べていた俺の情報を元に霞が関へ行き、俺のデスクを物色してみた。すると、政治家の好みを表にした分厚い本が見つかる。


全く、ゴマを擦るというのは個人が各々の努力でするグレーな行為ではなかったのか。組織レベル、いや業界レベルで”これを行うのがセオリー”となっている。さながらインフレのようだ、衆愚政治極まりない。


だが、今の俺には都合が良かった。こいつの趣味は、、、


「実は、多摩も神崎伊予のファンでして。」


「おお、わかるのか!アレの良さが。」


「彼女にみっちり叩き込まれましたよ。」


========================

ー数時間前ー


「なぁ」


「、、、はい」


「これから都知事に会おうと思うんだが、彼は神崎伊予のファンらしい。」


「、、、知ってます。都知事のことについてはファンの間で、結構有名ですから。」


は、ファンの間で、、、?


「私が今聞いているこの曲、神崎伊予の曲ですよ。」


そういうと、おもむろにコードを抜き取る。すると、その板から旋律。そして、電子音で構成される、俺の世代には少々耳障りとも感じられるような、しかし美しい歌声が溢れてきた。


壮大で、雄大なのに儚く切なさすら感じる。歌詞は暗く、何処と無く病的なものだったが、何故か安心する。


大海の真ん中に佇んで、行く先と来た道を。どこまでも見通すような曲。


「この人が作っているのは曲だけではありませんよ。これを見てください。」


そういって突きつけられた画面には、水彩画のようで、しかし整った線やグラデーションの一枚絵が映し出されている。そして、字幕が曲と連動し、浮かんでは消える。動きが少なく、しかし魅了される動画。その質素さ、空白の美はまさしく日本的だが。絵自体には全く隙が無く、自然の草木や人物などで埋め尽くされている。この風景は、、


「沖縄、、、?」


========================


多摩、、、例の研究員の事か。


「私などは世間に疎い人間でしたから、ボーカロイドなるジャンルについてあまり知らなかったのですが、面白い分野ですね。我々と違って世渡りの才能がない人間でも、その持てる創作の才能を全面に押し出すことができる。」


わかっているじゃないか、理解力に優れた人間のようだ。


「我々と違って、、ね。」


我々政治家や官僚によって、憧れの的でもあるのだ。世渡りの才能がないとのし上がれない、そんな人種にとっては。少なくとも、私にとってはそうだった。


「なんと言うか、前にあった時にはもっと弱々しいと言うか、まだまだ駆け出しというような感じの見習い、と言う印象だった。この数カ月で、ずいぶん成長したな。」


「お褒めに預かり光栄です。」


「今回の騒動の影響か?」


、、黙りこけてしまった。


「、、、”彼女”とはどういった関係なんだ。」


さて、本題はそこなのだ。


「、、妻です。」


、、、想定し得る中で、二番目ほどに深刻な回答だ。


「、、その関係については、詳しく聞かないでやった方がいいかな?」


「助かります。」


「さて、それならここからどうするか、と言う話だな。そのためにここに来たのか?」


「はい。」


“はい”だけか。イニシアチブを取ってこない、やはり騒動で成長したとはいえ、そこまで警戒しなくても良さそうだな。


「事故の原因は、何だと聞かされている。」


「、、上層部の無理解と。」


なるほど。表情を見るに真実らしい。



「報道については?」


「過剰な社会的制裁である、と。」


なるほど?同じく嘘はついていない。疲れるから表情をみるのはよそう。



「では今後については。」


「、、、断固抵抗する、と言っています。」


なるほど、、、


「、、、正直どうなんだ、彼女の言い分は。」


「抵抗したとして、、火に油を注ぐだけのように思います。」


「そうだなぁ、、、正直、じっとしておいて欲しいのが現実だな。」


「はい、、、それに、既に様々な探りの手が私たちに入っていまして。」


まだ吸い取るか。流石は、、、いや、やめておこう。”正義”への悪態は。


「息子がいる事も、もう時期バレるでしょう。そしてー」



「私が葉桜新党御付きの官僚だと言う事も。」



ん?


、、、いや、まだ分からん。


「そ、、、うだな。非常にまずい事だ。」


「ええ。もう私には、どうしたらいいのか。」


脅している?いやまさか。イニシアチブを相手に取らせた上での脅迫なんて芸当、こいつに出来るはずが。


「お願いです!なんとか先生のお力で、少しだけで良いんです!少しだけでも、メディアを静かにしては頂けませんでしょうか!?」


私が頭の中で自己正当化をしている最中、彼はテーブルから身を乗り出して私に詰め寄り、思考を停止してくる。


「そうしないと私にも、ーそして貴方にもー、不利益だと憂うのです。」


その表情は、必死さに満ちていた。


ーーいや、笑っている、、、?

オリンピック号


タイタニック号沈没事件


1912年4月14日夜から翌日朝にかけて。イギリスーアメリカ間処女航海中であったとされる、当時世界最大の客船タイタニック号が、氷山に衝突し沈没した事件。


対して姉妹艦のオリンピック号は、第一次世界大戦においてUボートと一騎打ちを演じ見事返り討ちにするなどの活躍から「Old Reliable(頼もしいおばあちゃん)」の愛称を持つ船であるが、実はタイタニック号とのすり替え説がある。


非常に難しいすり替えであるため都市伝説の一種とされるが、しかしこの噂はSNSの普及前から世間一般に浸透し、保険金先を目的にしたものだ、と言うもっともらしい説明で定着している。


Wikipediaより引用

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ