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2+√-1個のトラップ

えゑと、、、


「息子、、、?」


「可愛いでしょう〜。6歳で、今年から一年生。今日から、あなたの息子でもありますよ。」


あー、、、

あーー、、、、


「、、、、あ”あ”あ”あ”!?」


「ほら、あっちいっておいで。」


今後の展開を想像したのか、息子を別室へ避難させているようだ。


クソ、そういう事か。ハメられた!子供を育てなければならないとなると、半年でも収入が無くなれば生活がキツくなる!だからあの程度の社会的制裁でもなんとか切り抜ける必要があったのか。

なんだよ、実家にでも縋り付けよ!、、、いや、プライドが許さなかったのか?俺の生きていた時代とは価値観も違うようだが、、、


「いくら考えたところで、結局あなたは、この子の扶養義務から逃れられませんよ。」


「ぐぬぬ、、、」


何か、おそらく抜け出す方法はある!だが情報が圧倒的に足りない。おそらく俺が義務から逃げようとすれば、なんらかの形で争わなければならないだろう、おそらく言論によって。言論は俺の得意分野だが、この情報が圧倒的に限られた世界、ましてこの行動力化け物相手だ。勝てる見込みもない、、、!


「、、、ハァ、、、もういいさ。俺は官僚という、”こっちの日向”の就いた職に今の所ありつけてる。子供一人育てるくらいの教育費なら出せない事も、、、」


「いや、実のところそれでもかなりキツイんですよね。」


半ば諦めに似た覚悟を、多摩が容赦無く否定しにかかった。


「収入に余裕があったので私立校に、、、あ、そっか。戦前と比べて教育制度は大きく変わってるからええと、、、まぁ簡単にいえば、通常よりも学費のかかる学校に通っているんです。」


「官僚職だって他の職業と比べればそれなりに給料は。」


「それだけじゃなく、東京オリンピックの影響で景気が悪くなってまして、、、」


========================


不味い、非常に不味い。

私が都知事選に立候補した段階では、確かに葉桜新党が将来有望だったはずなのに、どうしてこうなった。

度重なる第三者たちの失敗で、都庁までバッシングを受けている。


社会共産党員襲撃事件以降、世論は社会共産党陣営と葉桜新党陣営に、民意か、あるいはメディアによって勝手に分けられた。発言する人々はどうしようもなくその流れに飲まれて、多くの人はそもそも口を塞いでしまった。


そして、葉桜新党陣営とされる人は、襲撃者の仲間、と言うことに勝手にされている。


それに加えて、例の核融合炉暴走事件が葉桜新党側へのバッシングを決定打にした。奴ら研究チームには再三釘を刺してこってり絞っていたハズだ。なぜ我々まで責任を追及されなきゃならないんだ。全く、、、


おかげで今メディアは葉桜新党を落選させる決定打になるようなネタを躍起になって探している。我々は常に気を張り詰めなきゃならなくなった。これでは、逆に都政に支障をきたしてしまうぞ、、、


しかし、本当に余計な事をしてくれた。例の襲撃者は。大いなる余計なお世話だ。暴力的手段に訴えるなんて、数十年前の社会共産党かのようではないか。まして殺すなんて、彼らだってやらなかった。


むしろ、極左過激派勢力の自作、、、


ーーいや、流石に考えすぎか。


「半田都知事、定例会まであと10分です。そろそろ出発しましょう。」


「、、、ああ、分かった。」


この定例会で、党の将来性を見定めてやる。もし、泥船なら、、、


対岸まで泳いで渡るまで。


========================


「、、、と言うわけです。」


、、、最悪だ。


「そんな額の給料を、この世界でどうやって安定受給しろと、、、」


「だ・か・ら、私がいるんです。貴方が生きるためには、私のサポートが必要。私にとっては佐渡のために、貴方の収入が必要。我々は、すでに共依存体制に移行しているんですよ。」


やはり衆愚政治はダメだ、ここに実例がある!やはり俺が壊さなきゃいけないらしい。

しかし、、、現実として、そんな芸当が果たして出来るのか?いや、やるしかないと言えばそうなのだが、、、


「、、、良い加減に腹を括ってください!貴方はもう、引き返せないところまで来たんです。」


黙りこけている俺を見かね、語気を強くして迫ってくる。


「私はもうとっくに括ったんですよ!衆愚政治を壊すんでしょう?愚かな民衆に復讐するんでしょう!?だったら、こんなところでくじけている訳にいかないでしょうが。」


前から思っていた事だが、この女子、心にもない事を言う時に全身をこわばらせる癖がある。単に腹を括っているだけなのかも知れないが。実際の所、俺がその野望を実行に移した時に役に立ってくれるのか、、、?


、、、だが、喫緊の課題のためには、、、


ぐぬぬ、、、


「、、、分かった、腹をくくろう。さて、そうと決まればー」


そう言いかけた時、付けっ放しにしていたテレビから、どうしたって会話を中断しなければならないような内容の放送が流れ出してくる。


『次です。昨日、日刊誌が、件の核融合炉暴発事件の幹部研究員の政府関係者に対する癒着があった、と報じました。』


ボードには、新聞を劣化させたような扇動的な書き手でこう書かれていた。


[JAIVA核部門女性研究員、男性の官僚と深夜の密会]

[ー苦し紛れのハニートラップ?ー]

[事故の裏に政府との癒着か。]


ご丁寧に、俺の家から出てくる多摩の写真付きで。


多摩の全身から、力が抜けたようだった。

扶養義務


様々な理由により独立して生計を営めない者(要扶助者)を、特定の人物が扶養する義務のこと。


親子における扶養義務の法的根拠については様々な説があり、民法としては877条を根拠とする見解が通例・裁判例となっている。しかし、これらの法令が施行された戦後日本から社会は変化しており、今もなお議論が交わされる。


Wikipediaより引用


=====追記=====


一瞬で敵陣営の謎を明かすと言うとんでもない悪手を打った結果ブックマークが一つ減ってしまって反省したので該当部分を差し替えました。

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