ダンジョン攻略前日
俺は早速契約に成功したカードを確認してみた。
カードを見てみると目の前にステータスリングと同じ半透明のウィンドウが出現し、そこにはこう記されていた。
フレアウルフ ランクA Lv2 メス
称号:契約獣・義理堅い
体力:100
筋力:150
敏捷:200
耐性:150
魔力:90
魔耐:50
魔力属性:火
ユニークスキル:創炎
スキル:獣の眼・炎の爪・炎の牙
どうやら先ほどの魔物の名前はフレアウルフと言うらしい、王国にあった魔物の図鑑は森に生息する魔物の殆んどが記されているのだが、この魔物の名前は書かれていなかった。
もしかしたら特殊な状況の中、生まれたのかもしれない。
しかもこの魔物のランクはAだったみたいだ。
話によると魔物にはランクがあり、ランクが高いほど強い魔物らしい。
そして俺は自分のステータスにも何か変化があるのかもしれないと思いステータスを見てみると少し変化していた。
天野空 Lv1
称号:カードマスター・異世界人
契約:フレアウルフ
体力:50
筋力:50
敏捷:40
耐性:30
魔力:200
魔耐:90
魔力属性:無・火
ユニークスキル:カードマジック・創炎
スキル:言語理解・魔物言語理解・魔物使役・獣の眼
このように変化していた。
どうやら契約した魔物のスキルの一部を自分のスキルにする事ができるらしい。
「これが俺の力って事か・・・。」
俺はそんな事を思っているとカードから声が聞こえてきた。
「観賞に浸っているのは良いが、我はずっとこのままなのか?」
「おお、そうだったな。」
俺は魔物と契約したときからある事を思っていた。
(もしこのカードが『モンスターバスター』と一緒なら・・・。)
俺はフレアウルフを契約したカードを目の前に出しいつもゲームをしている時に使っていたある言葉を言った。
「召喚!現れよ!フレアウルフ!」
すると、カードから勢い良く炎が飛び出した。飛び出した炎は徐々に姿を変えていき、獣の姿になった。
でもその姿は出会った時よりも綺麗になっていて前足の傷も無くなっていた。
「できた!」
俺は召喚できた事に喜んでいると、召喚された魔物がこちらに近づいて来た。
「うむ、これが主のスキルの力という訳かさすがの我も驚いた。」
「そうだろ?それにしてもその主ってどういう意味だ?」
「む?決まっているだろ。我はお主と契約したのだからお主を主と呼ぶのは当然だと思うが?」
(当然なのか?)と俺はふとそう思ってしまった。
「それじゃあ俺もお前の事をフレイアって読んでも言いか?」
「フレイアと言うのは我の事か?」
「ああ、さすがに戦いの中でフレアウルフって言うのは長すぎると思ってな、イヤだったか?」
「主が決めたのなら我はそれに従うまでだ。」
「そっか、ありがとフレイア。」
「気にするな。」
フレイアはそう言いながらも体は正直でフレイアの尻尾は横に勢い良く揺れていた。
どうやら名前を貰えたのが嬉しかったみたいだ。
こうして俺は始めて契約したフレアウルフを改めフレイアと仲を深めていった。
そしてもうじき日が沈みかけた為、城に戻ることにした。
「さてとそろそろ城に戻るか。」
「主が先ほど言っていた、主が世話になっている者達の所か?」
「ああ、そうさ。でも悪いがフレイアはカードに戻ってくれないか?さすがにそのままだと他の皆がびっくりするからな。」
「うむ・・・、仕方ない主を困らせたくないからな。」
「ありがと。」
こうして俺はフレイアをカードに戻して、城に戻った。
そして城に着き一度自分の部屋に戻る道中でシルヴィア王女とシリカさんに会った。
「あ、アマノ様ここにいらしたのですね。」
「ん?シリカさんにシルヴィア王女様どうされたのですか?」
俺の質問にシリカさんが答えてくれた。
「実はですね。夕食の準備ができたので皆様を呼んでいたのですが、アマノ様が見当たらなかったのでシルヴィア様と一緒に探していたのです。」
「ああ、すいません。少し森の中で鍛えていました。」
「そうでしたか、それはすばらしい事ですが森の中は危険ですので余り一人では行かないようにしてくださいね。」
シリカさんは鋭い目つきでそう言った。
「は、はい。気お付けます。」
俺は背筋を伸ばしながら言った。
すると今まで喋らなかった王女が俺に語りかけてきた。
「あの、アマノ様少しお聞きしたいことがあるのですが宜しいでしょうか?」
「はい。何ですか?」
「なぜ、シリカを名前で呼んでいるのですか?」
「え?なぜと言われましても・・・。」
「な・ぜ・で・す・か!」
王女は目を吊り上げながらそう言って来た。
(王女様!眼が怖すぎです!)
俺はシリカさんに助けを求めだが、肝心のシリカさんは笑いを堪えながらこちらを見ているだけだったが、
シリカさんは俺の視線に気付いたのか王女様にある提案をしてきた。
「それでしたらお嬢様がアマノ様を名前で呼んであげたら良いのではないでしょうか?そうすればアマノ様もお嬢様を名前で呼んでいただけるかもしれないですよ?ですよねアマノ様?」
「え!?」
「ですよね?」
「は、はい。そうですね。」
(シリカさん笑顔が怖いです。)
そんな事をふと思ってしまったが口には出さないようにした。
そしてシリカさんの提案を聞いた王女様は
「そうですよね。私がしっかりとしないといけませんよね・・・。」
と何やら小言で呟いていた。
そして王女様は深く深呼吸をして何かを決意した顔で俺を見てきた。
「そ、それでは、ソラ様と呼んでも構わないでしょうか?」
俺は一瞬どう応えればいいか分からなかったが王女の顔を見てしまったら俺もとうとう折れてしまった。
「ああ、構わないよシルヴィア。」
俺がシルヴィアの名前を呼ぶと彼女は満面の笑みで「はい!」と答えた。
「そういば二人は俺を夕食に誘うために探していたのですよね?時間は大丈夫ですか?」
「あ!そうでしたね。もう皆さん待っていると思いますので行きましょう。」
シルヴィアはそう言うとシリカさんを連れて歩きだして行った。
そして俺も二人の後を追っていくと、フレイアが俺の頭の中に直接話しかけてきた。
「なかなか面白い子であるな主よ。」
「おいフレイア、お前なんか楽しんでいないか?」
「うむ、楽しんでおるぞ。まさか人間がこんなに面白いものとは思わなかったからな。」
「人間が面白い?」
「ああ、我ら魔物は本能の赴くままに行動するが人間は色んな感情があるのだと思ってな。」
「なるほどな。ならこれから色んな面白いものを見させてやるよ。」
「ほう、それは楽しみだ。」
そんな事を俺とフレイアと話していると皆が待つ食堂に着くと姉さん達に色々質問されたが、翌日のダンジョン攻略の時に見せると約束して俺は用意された夕食を食べて寝た。
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