自分達の力
翌朝俺達は朝食を食べ終わった後に、王女に準備があるので部屋にはメイドが迎えに来るとの事で俺達はそれぞれの部屋でメイドが来るのを待っていた。
「それにしてもステータスリングってどんな物なんだろうな?」
俺はそんな事を思っていると、部屋のドアをコンコンコンとノックする音が聞こえその後、部屋の外から女性の声が聞こえてきた。
「アマノ様、いらっしゃいますでしょうか?準備が出来ましたのでお迎えに上がりました。」
「あ、はい。分かりました。すぐ出ます!」
俺は急いで上着を着て部屋の外に出るとそこには召喚された日に王女に話しかけていたメイドだった。
「貴女は確かシルヴィア王女の隣にいた。」
「はい。ご挨拶が遅れました。わたしはお嬢様の専属のメイドでこの城でメイド長を務めているシリカと申します。」
シリカと名乗ったその女性は俺と同じ位の身長で腰まで長く少しウェーブがかっている白髪の髪を揺らしながら俺に挨拶をしたきた。
「あ、自分は天野空と言います。宜しくお願いします。」
「そんなに堅くならなくても大丈夫ですよ。アマノ様。」
「すいません。まだ慣れていないものですから少し戸惑ってしまいました。」
「ふふ、ではそうゆう事にしておきましょう。それでは、アマノ様会場に案内致しますのでどうぞ着いて来てください。」
「はい。お願いします。」
俺はシリカさんにそう言われて彼女の後を着いて行った。
そんな中、俺は彼女の身のこなしから只者ではない感じがした。
(この人って絶対俺達よりも強そうだよな・・・。)
俺がそんな事を思っているとシリカさんは俺の視線に気づいていたのか歩きながらも話し掛けてきた。
「アマノ様はわたしに何か言いたいことでもあるのでしょうか?」
「いえ、ただシリカさんって何か武術とかをやっていたのかと思いまして・・・。」
「なぜ、そう思われたのです?」
「ああ、実はですね。自分は元の世界で剣道と言ってこちらの世界で言うと剣術を叩き込まれたせいでしょうか、シリカさんのような人を感じられる様になってしまったんですよね。」
「そうでしたか。確かにわたしはアマノ様の思っている通りでわたしは暗殺の術を学んできました。」
「それは王女様を守るためですか?」
「そうですね。確かにわたしは国王様やお嬢様を守るためにこの手を汚す覚悟はあります。ですので・・・。」
不意にシリカさんは立ち止まって俺に顔を近づけながら言った。
「もし、貴方達が国王様やお嬢様を悲しませるのなら容赦はしません。」
「は、はい。気おつけます。」
「ふふ、大丈夫ですよ。アマノ様はお嬢様に気に入られておりますので、もしわたしがアマノ様を傷つけてしまったらわたしがお嬢様に嫌われてしまいますからね。」
「そ、そうですか。でもなんで自分は王女様に気に入られているのでしょうか?」
「わたしにも分かりませんがお嬢様はきっとアマノ様に特別な何かを感じたのだと思いますよ。」
「特別な何かですか・・・。」
(俺にそんなのがあるのか?)
俺はシリカさんとそんな話をしていたら他の生徒達が待つ会場に着いたようだった。
「ではアマノ様。わたしは一度ここで失礼しますが後ほどお会いしましょう。」
「はい。あけがとうごさいます。シリカさん。」
俺はシリカさんと別れると一息つけて会場に続くドアを開けると会場内ではほとんどの生徒が集まっているようだった。
俺は学校の体育館ほどの会場内を見渡すと姉さんと秀達を見つけてそっちに向って行くと姉さん達も俺に気付いたのか手を振っていた。
俺は皆の所に着くと姉さんに話しかけた。
「姉さん遅くなってごめん。」
「大丈夫だよ空。私達も今さっき来た所さ。」
「そうだったんだ。ならタイミングよかったのかな?」
「そうみたいよ。」
俺が姉さんと話していると姉さんと一緒にいた鈴が話しかけてきた。
「お兄ちゃん。シルヴィアさん達が来たみたいだよ。」
俺は鈴が指さした方を見るとシルヴィア王女が数人のメイドを連れて来ていた。
その中には俺を会場まで案内してくれたシリカさんもいた。
そんな中シルヴィア王女が話し始めた。
「それではこれから勇者の皆様にはステータスリングを作っていただきます。シリカ、お願いします。」
「はい。かしこまりましたお嬢様。」
王女の近くにいたシリカさんはそう言うと何人か他のメイドさんに指示をすると何やら大きな煌びやかなケースを持ってきた。その中には中央に宝石のような物が付いている腕輪の様な物が入っていた。
ちなみにステータスリングとは、この世界で身分証の他にお金を貯めれたりする事できるらしい。
そんな中、俺達はシリカさんの説明を聞きながら特に順番を決めずにそれぞれ腕輪を手に取り自分の腕に付けて中央の宝石に触れると一瞬電気が走った感覚がした後に突如俺の目の前に半透明のウィンドウが現れた。よく見ると俺のステータスが載っていてそれを確認しようとしていると何所からか歓声が聞こえてきた。
歓声が上がっていた方に目を向けると有馬がドヤ顔でこっちを見ていた。
有馬優輝 Lv1
称号:光の勇者・異世界人
体力:150
筋力:150
敏捷:150
耐性:150
魔力:150
魔耐:150
魔力属性:光
ユニークスキル:光魔法
スキル:言語理解・全属性適性・全属性耐性・体力自動回復・魔力自動回復・魔力感知・気配感知・先読・縮地・剛力
話を聞くとどうやら有馬のステータスはこんな感じだったらしい。
(まあ、シルヴィア王女から勇者になる可能性があるって言ってたしな。)
すると有馬が、俺にステータスを見せつけて来た。
「俺に色々言ってきた、君のステータスはどうだった?俺よりも上だったかい?」
有馬はドヤ顔でそう言ってきた。
「まだ、見てないけど多分そこまでは無いと思う。」
「そうかまあ君も皆の役に立てるよう頑張れよ。」
有馬は笑いながらそう言うと去って行った。
(昨日と比べるとだいぶ落ち着いているな。栗原が頑張ったのかな?)
ちなみに有馬とよくいるメンバーはこんな感じらしい。
栗原凜音:氷の侍 篠崎竜馬:炎の格闘家 星野雫:光の聖女 千林寧音:魔術師
(称号の上に属性があると、能力が上がるらしいが侍とかあるのが意外だった。)
俺はそんな事を思いながら自分のステータスを見始めた。
天野空 Lv1
称号:カードマスター・異世界人
体力:50
筋力:50
敏捷:40
耐性:30
魔力:200
魔耐:90
魔力属性:無
ユニークスキル:カードマジック
スキル:言語理解・魔物言語理解・魔物使役
(うーん魔力だけ他のと比べると高いな、つかこの称号のカードマスターってなんだろう?まあカードは好きだから特に気にしないが・・・。)
俺がステータスを見ていると柱真達が絡んできた。
「おいおい天野!なんだよこの低いステータスは!あんだけ大口をたたいた割には大したことないな!」
「本当だぜ!それに属性が無とか、こんなんじゃ誰かを守ることなんて無理だな!」
「お前はこれ以上出しゃばるなよな!星野さんは俺達が守るからよ!」
(大口をたたいた事はないんだが、まあ役に立ちそうにはないみたいだけどな。)
ちなみに柱真達の称号は、柱真が剣士で武山が戦士、五島が僧侶らしい。
俺のは最弱とまでは行かないけれど、下から数えた方が早いみたいだった。
シルヴィア王女が残念な顔をしてたけれど勝手に期待していたのはそっちですからね!
シリカさんの説明によると、カードマスターと言う称号はなかなか出る物ではないみたいだった。
文献にも情報がないらしい。
それと属性が無なのは本人の努力次第で全属性が使えるらしい。
まあ簡単に言えばただの器用貧乏と言ったところだ。
(本当よく分からない状況になったな。)
俺はステータスを見てそう考えていると鈴達がやって来た。
「お兄ちゃんどうだった?」
「俺か?俺はこんな感じだったよ。」
俺はステータスを鈴達に見せた。
「なんかお兄ちゃんらしいね。」
「鈴のはどうだったんだ?」
「鈴はこんな感じだったよ。」
天野鈴 Lv1
称号:忍・異世界人
体力:40
筋力:30
敏捷:60
耐性:30
魔力:50
魔耐:50
魔力属性:風・火
ユニークスキル:忍術
スキル:言語理解・瞬足・風遁の術・火遁の術・投刃・不意打ち
「能力値は俺と変わらないがスキルがすごいな。」
「そうだね。でも何で鈴が忍者なんだろう?」
「それは分からないが、多分だが鈴は元の世界で陸上やってたからだと思うぞ。属性も風だしな。」
「そんな簡単で良いのかな?」
「いいと思うぞ。そう言えば秀やエリナはどうだった?」
「僕のはこんな感じだよ。」
俺は秀のステータスを聞いた。
本間秀 Lv1
称号:魔導師・異世界人
体力:50
筋力:40
敏捷:60
耐性:80
魔力:100
魔耐:100
魔力属性:火・水・土・風
ユニークスキル:魔道書召喚
スキル:言語理解・記憶力向上・魔導書理解・魔導書閲覧
(魔導書ってどんな風に使うんだ?)
「秀のステータスなんか凄そうだな。」
「うん。私よりも凄そうだね。」
「エリナちゃんはどうだったの?」
「私のはこんな感じだよ。」
俺達はエリナのステータスも見てみた。
高橋エリナ Lv1
称号:料理人・異世界人
体力:60
筋力:40
敏捷:70
耐性:90
魔力:100
魔適:60
魔力属性:火・水
ユニークスキル:料理魔法
スキル:言語理解・料理・肉と魚料理の知識・卵と野菜料理の知識
(さすが料理好きなだけあってステータスが全部料理向けだな。)
「なんかエリナちゃんらしいステータスだね。」
「だな。」
「だね。」
「ちょっとみんな!他に言うことないの!?」
俺達はその言葉に一緒に「ない!」と言うとエリナは肩を落とした。
全員がステータスを確認すると、勇者チームと戦闘系、非戦闘系に分かれて訓練をするみたいだ。
一通り訓練を終えた後は王国の敷地内にあるダンジョンに潜りレベル上げやアイテム集めをする事になるらしい。
そのダンジョンは上層が初心者向けで段々と難易度が上がっていくらしいく、色々な武器やアイテムのドロップなどを回収する事になるらしい。
ダンジョンで得た武器は、王国で用意してくれる武器よりも性能がいいらしく能力の底上げには必要みたいだ。
「お兄ちゃん一緒に頑張ろうね!」
「ああ、俺達家族が一緒なら乗り越えられるさ。それとちゃんと姉さんの言う事を聞けよ。」
「分かってるよ。お兄ちゃんはどうするの?」
「俺は一応この城の図書室で調べものしてから森に行ってみようかと思う。」
「そっか、一緒に居られないのは残念だけど一緒に頑張ろうね。」
こうしてステータスリングを作った俺達はそれぞれの訓練先に向った。
ちなみにだが姉さんの称号はやはり教師で、スキルで相手に教えると覚えやすくなるらしいので勇者と戦闘系のチームで色々と教えるらしい。
アドバイスや感想など待っています。