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第八話 「脱出」

 目の前が暗い、何も見えない暗闇の中でメイベーは自分がどういう状況に置かれているか把握しようとする。


 今はどこにいる? ヌパーはどこにいる? 


 早くこの暗闇から脱しなければ。必死に身体を動かしたが自由が利かなくなっていた。


 この束縛状態を何とかしなければならないが、生憎ホントに視界が見えないもので手段を完全に潰されたと言っていい危機的状況であった。


 ……仮にあの後、自身が意識を失ってオアシスに戻って来れて今ここに居るとしよう。だとしたら、不味いかもしれない。少なくともこの世界には人は確認されてはいないが、動物が居る事は分かっている。ここに来るまでに色々な動物に襲われた事がその証拠だ……もしこの状態で獰猛な動物に見つかったら身体に変な事をされるかもしれない。


 肉体を引き裂かれたり、食い殺されたりする可能性もある。


 それを想像してしまったメイベーはかなり気分が悪くなった。


 吐き気も少ししてきたが気分を切り替えようと、目の前の見えない状況を何とかしようとした。








 ここは砂漠。何もない砂の上でその「木」は目覚めた。


「――――――ヌパッ」


 ヌパーは目を覚まし、自身に今何が起こったのか確認する。


 あの湖で水を飲んだ。恐らくあの水が原因であるのは間違いなかった。そして、この砂漠で目を覚ました。


 だが、それ以上は分からない。ここにはホントに砂しかなかった。これ以上はヌパー自身が行動しなければならない……彼がメイベーを救うならの話だが。


「……ヌパ?」


 あの洞窟で一緒に居たメイベーの姿が見えず、辺りを見回す。


 だが見当たらない。どこへ行ったのだろうか?……色々気になるがヌパーはとりあえず水を求めて歩き出した。


 彼と仲良くできたのでメイベーも大事だが、今はそれ以上に自分が生きるために必要な水が大事であった。ヌパーは動物ではなくあくまで植物として生きているため、優先順位が違うのである。


 ―――――—近くにオアシスがあるのをヌパーは感じた。


「……ヌパッ!」


 その今に折れそうな腕のような枝を精一杯振り、根を力の限り前進させる。


 オアシスと同時にそのオアシスの近くに同類がたくさんいるのをヌパーは感じ取っていた。同類に会えば、もっと豊かな土地に行けるかもしれない。それに自分はまだ生まれて間もない、長生きしている同類ならばメイベーがどこに居るのかも分かるのかもしれないと思った。


 これでメイベーに会えたら凄く嬉しい。もっと遊べるし、あんな見た目をした生物に会うのは初めてだった。もっと彼を見てみたい。もっと彼を知りたい。そう思った。


 今はとりあえずあのオアシスを目指そう。まずはそこからだ。


 ………


 この距離からではオアシスに着くのに時間が掛かってしまう。何とかしなくては。


 だが、今出来る手段ではどう足掻こうと不可能だ。


「……ヌパ!」


 何とか、こちらから同類に交信できないだろうか。そうすれば、僕より大きな同類に来てもらって、その大きな巨体であっという間に連れて行ってくれるだろう。


 だが、身体が小さく、未熟なヌパーにはそこまで広域な交信をするには至難の業だった。限界までやれば出来なくはないだろうが、成長途中のヌパーにとってそれは自分の命を削るのと同等の事であった。


 なので、これをやるには慎重を期さなければならない。これは最後の手段として、他の方法を模索する。


 だが、砂漠のど真ん中、それ以外では何一つ良いアイデアは出てこなかった。


「ヌパァ……」


 ヌパーもこの炎天下の中、歩き続けたせいで水不足に陥っていて、体中、水を欲している。


 これでは徐々に体力が減っていき、まともなアイデアも出てこない。最悪、ヌパーはここで枯れ死んでしまう。今、メイベーを救えるのは彼だけなのだが、その彼もまた、救いを欲している状況であった。最悪だ。


 この二つの危機をヌパーは何としても打破しなければならない。何か、何かないか……。


「―――――ヌパ?」


 ふと目の前を見てみた。すると先ほどまでなかったはずの「模様」があった。それも狼の顔の模様だ。


 ……突然、現れてかなり怪しいが今はそんな事を言っている場合ではない。いきなり現れたという事は必ず何か起きるはずだ。出なければ、都合よくヌパーの目の前に現れないはずだ。


 だから、ヌパーは勢い付けて走り出し、模様に体当たりする形で接触した。そして。


 ウオオオオオオオオオオオオオン!!!


 一際目立つ銀と黒の冬毛、爪は鋭く、ヌパーほどの木ならいとも簡単に切り裂いてしまうだろうその姿は間違いなくメイベーを助けた狼であった。


「……ヌパッ!?」


 すると狼はヌパーの頭に該当する部分の太い枝を牙で挟み、持ち上げて、そのままオアシスへと颯爽と走って行く。


 これはとてもありがたく都合の良い展開であった。まるで誰かの意思で動いてるように。


 だが今はそれよりこの状況を優先だ。これでオアシスに早く着ける……この狼は仲間と言う認識で良いのだろうか?……それより水が欲しくて仕方がない。この話は後にすることにした。


「――――――――ヌッパ!」


 ある程度、狼が距離を短縮してくれたおかげでヌパーでも比較的、安全な方法で同類たちと交信することに成功した。これで、水を補給できる。それにメイベーにも会えるかもしれない。


 ありがとう、名も知らぬ狼よ。これで僕も今日を生きられる。


 ―――――――—しばらく経ち、オアシスが視界に見えてくるまでには近付いていた。


「……ヌパ?」


 同類から連絡が来た。だが少し意味を理解できなかった。


『来るな』


 ―――――――—どういう事なのだろうか? 来るな、とは……。


 ……考えられるのはオアシスで何か起こっている、それも良いものではなくとても悪い方向にだ。


 だとしたら、同類たちは僕を助けるために来るなと言ってくれたのだろう……だけど、他に行くべき場所がないヌパーにはオアシスへ向かう事しか出来なかった。


「……!!」


 我々の交信を聞けたのか感じ取ったのか、狼は走る速度を少しずつ上げ始めてきた。


 ―――――――少なくとも、狼は今の状況を理解しているようだ。なら何故、狼はあちらの警告を無視して進むのだろう? 狼はあくまで僕の意思を優先しているのか? それともその警告の内容を分かっていて、オアシスにある何かを追うために僕を乗せて走ってくれているのだろうか?


 ……今はこの狼を信用しよう。それ以外に現在、今の状況を切り開く方法はない。


 すると、地面が揺れ始める。


「――――――!?」


「………」


 後方の砂がどんどん崩れ始め、下へと落ちて行き、徐々に巨大な穴へと変わっていく。


 ――――――—なるほど、少なからずこの狼が猛スピードで走る理由は分かった。


 砂の穴から鎌のような二本の角が出てくる。それはこちらに向かって来ている。


 ……蟻地獄ありじごくだ。それも通常のサイズではない。奴の巣である穴は大きくなっていく。


 そして、その巨体を外に晒す……100mはとうに超えているそれはそのデカさのせいか、異常発達しているのか、怪獣と言っても良い位の悍ましい姿だ。


「……!!!」


「……!?」


 突然、ありえない速度で走った狼にヌパーは驚いたが冷静さを取り戻し、同類に交信を行った。


 返事は直ぐに来た。どうやら同類たちにとってもこれは予想外の事態のようだ……同類たちが「来るな」と言った理由は後回しだ。


「……!」


 もしかしてこの狼は、オアシスにメイベーが居る事を分かっているのか?


 何故ここでメイベーなのかは自身が持っている情報で推測出来るのはこれしかなかった。


 ―――――――色々な出来事が今重なって起こっているが、今はこの狼に身を委ねて走り続けるしかない。

似たようなシーン、台詞が多いような気がしなくもないけど後の展開考えるとこれで合ってるかもしれない。

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