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第五十七話「感惑」

かなり遅れましたが更新です。風邪やら引いてたから、ちょいと寝込んでました。すいません。

「おほぉー」


 さて、神はオペたちに自身に何があったのかを包み隠さずに話した。


「この世界の真実?」


「うん、なんかねー。 どうも、ある程度は計画されたものらしいね~」


 整理しよう。彼が表から消えてマール・ボルカトフが表立った頃、神くんは我々の行動をそれからの出来事をうっすらとではあるが記憶している。そして、同時に彼の精神は別のところに飛んでいた。


 最初はオペとマール・ボルカトフの過去を転々としていたらしい。だが、次第にあの男の“記憶”、か怪しいが辿ったらしい……そして、現実世界も見たと。


「……現実世界はどうなってます?」


「んー、異常な吹雪に見舞われて捜索出来てないみたい。 オペの親の人? が凄い心配してたよ」


「ぼくの……おや……」


「……それとね、オペとその……マールおじさんの過去だけどね。 オペは知ってる通りだよ。 でもね……でもね……」


「……? どうしたのです、何か問題でも?」


「――――――――正直に言うよ。 マールおじさんは信用しない方が良い」


「と言うと?」


「だって……あのおじさんの目的は……こんな世界を創ろうとした理由は……もう消えたから」


 消えた……どういうことだ。マール・ボルカトフの過去を知らないとはいえ、あまりにも心当たりがない。彼しか知らない真実を神くんは見たのか?


「……その理由も話してくれると助かる」


「マールおじさんはね、ある人と一緒に住んでたの。 その人と自分たちだけの世界を創って、そこで暮らす筈だったらしいよ」


「ある人って……あの、守さんのこと?」


「――――――――うん。 まずね、オペと守と僕の秘密を言うね」


 私は軽く衝撃を受けた。正直に言おう。


「なんだ君達は……」


 ああ、なんてことだ。ややこしい、ややこしすぎる。オペはあの赤ん坊であること。まずこれは間違いない。

 

 問題はここからだ。この世界では、右も左も分からなかったオペが流れるままに行った簡易儀式で神くんと守が誕生した。その瞬間からその二人がいた……のが私も覚えのある話だ。


 だが……オペから分離したはずの二人はオペから誕生したわけではない。元はマール・ボルカトフ本人とその息子の人格だ。


 ――――――――私は最初その話を聞いた時には頭痛が痛いレベルで理解に苦しんだ。オペのその儀式により、マール・ボルカトフの過去から10歳のマール・ボルカトフと16歳の息子が直接出てきてしまったのだ。


 しかし、姿は違った。その姿はどちらかと言えばオペに似ている。


「うん、だってオペが将来成長してそうな姿とその二人の姿を合わせた……? らしいよ」


 ああ、頭が痛い。話を続けると、神と守はまさしくマール・ボルカトフとその息子本人だ。けれど、それは現在では少しばかり違う。オペから誕生した時点で二人はその人でありながら、その世界の全く違う意識として生まれた故に別人でもあると……何とも認識に困る真実だ。


「つまり……なにかな?」


「えとねぇ……もう別の人生を歩んでいる……みたいな?」


 なるほど……今の彼等は完全に道を違えた、と言えば良いのだろうか。彼等の持っている全ては元の二人と変わらない。決定的に違うのは、“今歩んでいる道”だ。


 恐らく、仮に本来の二人と会ったとしたも僅かな間の時間で培った記憶は大きな溝を生み出す。まぁ、この世界の出来事はあまりに全てが濃すぎる気がするが……。


「……納得した。 して、何故二人の正体がマール・ボルカトフに繋がるんだい?」


「――――――――そのマールおじさんの息子がね、もう五十年も前に死んでるんだよ」


「……え?」


 どういうことだ……マール・ボルカトフの息子はとっくの昔に死亡している?


 ありえない。ありえないはずだ。いくら、何でもありの世界とはいえ五十年も前の他人の精神をそのまま再現する……そんな非常識が何故今成り立っている?


「……頂上に着いたね」


 なんというべきか。そこにぽつんと一軒家が建っていた。外見上は何ら変哲もないただの民家だ。


「うぇ……うぇ……」


「オペ……?」


 少年は泣きかけていた。その懐かしい光景に。その温かさに。


「―――――――来ましたか」


「……!?」


 ルシファーはその一軒家から出てくる男に警戒をした。


(……!?!? この感じ……どこかで)


 異様なほどの威圧に襲われ、身体は震えあがる。フェンリルも同様であった。


「ク、クゥ……」


「さてね……手短に話をしよう。 私は君たちと会話をしに来た」


 突然の来訪者に震えあがった。しかもこの感じはフェンリルは覚えがあった。この世界へと誘った、あののっぺらぼうの顔をした存在と同じ……。


 彼等の物語は終わりを迎えていた。それがどんな結末かは“誰も知らない”。だからこそ、混沌がオペたちを待ち受けることになる――――――――――。


 















 残り13話。60話以降から怒涛の展開の連続になると思います。締めに入るので今までやってきたことの全てを清算する勢いです。

 正直に言いますと、黒絶草自体は設定練ってますが外伝であるこの作品に関しては異世界! 転生! 赤子!の三点を考え付いての見切り発車ですので、とても方針が固まってませんでした。

 今はギャグで覆いかぶさったシリアスと考えてますが、とりあえず完結できそうでなによりです。

 結末はまだ迷ってます。ビターかハッピーの二択ですが……そこら辺は最終回を読んでみてという事で。

 

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