表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/59

第五十五話「帰還」

遅くなりましたが五十五話です。今回はある人物が久しぶりに復帰です。


「時間だ、起きろ」


 時間はとっくに1時間を経過し、休憩は終わっていた。


「ふぇっ……おは、よう」


「クルゥ……」


「……おはよう」


「起きたみたいだね」


「ルシファー、お前は良いのか?」


「私は……不思議と眠気を感じませんね」


 ふむ、レプリカであることが原因……と言うより、そもそも彼に睡眠なる機能が必要かさえ疑える。


「―――――――この世界の住人であるせいだろ。 アイツ等も近くに存在を確認していない、悪運は良いみたいだな……」


 一行は身支度を整え、洞窟を後にする。そして、私は風邪を引いた。1時間の見張りとはいえ、洞窟の入り口近くに居過ぎたみたいだ……。


「鼻水凄いですね」


「うるさい」


 オペの背負うカバンからボックスティッシュを呼び出し、彼は鼻をかむ。


(ゴミどうする……)


 ルシファーへと視線を向ける。ルシファーは最初は気の迷いかと思ったが、その瞳が明らかに睨み付けゴミを執拗にこちらに振っていることから、捨てろと言いたいのか?と正解を叩きだす彼はどう処分するか、歩きながら考え始める。


「……では」


 オペの手を掴み、何やら念じ始まる。


「!?……ルシファーさん?」


「ハッケヨーイ……ハッケヨーイ……」


 え?……おふっ。気持ちが良い気分だ。よく分からない温かさを感じることが出来る、これは……。


 少年の身体から湧き上がる熱気、それはオペの掌にまるわかりな影響が出ていた。


「……炎が出てるな。 ルシファー、出来るなら何故今になって?」


「いえ、偶然ですよ。 時間が十分に経過しているせいでしょうか、徐々にですが感覚的に自身を理解できるようになってきました」


 さて、それはそれは真に喜びべき事であるがマール・ボルカトフは改めて振り返る。このルシファーは以前の我々の知るルシファーではない、一応。振る舞いこそ本人のそれであるが、それは彼の本質的なものであるのは間違いない。だが、今は記憶が欠落し我々との記憶がなく、遭遇する前に謎の人物に接触したという……欺くための演技である可能性も高い。油断をここで見せてはいけない。


「手を貸して」


「うん」


 マール・ボルカトフはとにかく手に持っているティッシュが鬱陶しいので、その炎へと投下。見事に燃え盛っている。


「オペ、大丈夫なの?」


「うん……なんでだろ」


「答えは簡単さ、本物ではないから……だったような」


 ――――――――ああ、そうだったな。ここは文字通りの夢のような世界だ、現実でもあるが同時に非現実的現象も可能である。その辺の細かい法則はごまかしているという事か。


 分野は違えど学者の一人として、そんな事は見過ごせないが今は調べている場合ではない。安全を確認できたのなら先に進もう。







 とそれから1時間を経過するも、やはり雪山だ。険しい、そして体温を徐々に奪われていく。一応、防寒着を着てはいるが気休め程度だ。あのカバンもカバン以上の大きさの物は取り出せない。


「……オペとハロルドの限界が近いようですね」


 ―――――――!?……その言葉を聞いた瞬間に心が揺らいだ。理由は分からないが、身体の奥底から何かが突き破ろうとしているような感じ……いや、これは……。


「?……どうされたのですか?」


 クソッ……時間が経過し、準備も整ったという事か。だが、まさか二人の安全が揺らいだだけで目覚めようとするとは……!


「マール……さん?」


「こわい……顔です」


「あ、ああ……済まない。 後すまん、ルシファー。 後の事は頼んだ」


「……え? どういうことで―――――――」


「いや、二人同時は無理なんだよ」


 と同時に彼は一度地面に膝を着くもすぐに立ち上がった。


「……マール・ボルカトフ?」


 しばらくしたのち、彼はこう言った……






「大゛丈゛夫゛か゛い゛み゛ん゛な゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」


 そこにはとても懐かしい声が響いていた。












「………」


 ヴァーザーはただ一人で彼等を眺めていた。しかし……。


(これ、無事に解決できるのか……?)


 そんな不安が彼を襲った。無理もないだろう。何故ならまともな奴があの中に一人もいないからだ。メンバーのみんながどこかおかしいのだ。マール・ボルカトフを除けば、皆大人にも満たない連中だ。ルシファーも大人に見えるが誕生してまだ1日過ぎただけだ……。


 嗚呼、これは私が直接的に介入しなくてはいけないような気がしなくもないが……この物語は貴重だ。過去、現在、未来。あらゆる媒体において確認されていない記録。新たに作り出されている物だ、まさしく“想定外”という言葉を彼等は実行してしまったのだ。


 そんな大事なものにおいそれとは介入できない。私に出来るのは詰まった彼等を刺激させるだけ。


「……私がすべきはあちらですか」


 彼は蜥蜴の怪人に道化師、賀霧雅哉という能力者が暴れる戦闘への介入を始めた。

















 残り15話……今年中に終わりそうで良かったです。この作品は外伝Ⅰですが、外伝Ⅱはしばらく先です。黒絶草本編に合わせているので、ご了承を。

 外伝シリーズは基本的に黒絶草とは別の舞台で話を作っています。外伝Ⅱもこの作品のと間接的ですが、関わりを持ち執筆します。

 次回ですが、彼が大暴れするかも……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ