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第四十九話「再終」

今回もある意味酷い気がします。

「どこ……いくの?」


「分からん、そもそも具体的な位置が特定できていない。 あの特訓場にどうやって戻るかな……」


「――――――すまない、トイレはないか?」


「ない。 それともマグマか溶岩しかないここで垂れ流すか?」


「――――――いや、どっちも何だ……」


 マール・ボルカトフはそこで黙ってしまった。この男は確実にどこかで漏らす。そんな確信が身体中を駆け巡る。バカでも絶対と言って良いほどに、考え付く事だが。


「どうするの」


「……ハァ、考えるのめんどくさくなってきたな……まずルシファーが排便できる場所を探す。 こんなところでされたら、色んな意味で全滅する」


「う、うん……」


 さて、まずどうやって当たりを引くかが問題だが……ハッキリ言えば、そんな検討が付いている訳なかろう。


 突然、飛ばされて最初に便所の代わりを探せ? どんな危険な状態でもこんな理由で第一に行動する輩はごく少数だ。他に居たら私は是非、そいつに全て任せたい気分だ。


 真面目に考えなければ、余計な事に感傷し過ぎかもしれん。しかし、本当にどうしたものか。毎度、似た事態に陥っている現状としては思考放棄したくなる。慣れてはきたが、同じ事を繰り返してると飽きた感じになってくる。


「――――――ルシファー。 空は飛べるか?」


「ええ。 とりあえずは」


「私とオペを乗せて、飛んでくれ。 空から目星を付ける」


 理解したルシファーはマール・ボルカトフとオペを抱きかかえ、空へと飛びあがった。


「……疲労が蓄積されますので、出来るだけ短めにお願いします」


 至る所にマグマが噴出し、冷めた溶岩を頼りに進めるしかないが……。


「――――――アレ?」


「ああ、アレだ。 ルシファー、あの方向見えるか?」


「えーと、ですね……ああ、あの砂漠みたいなところですか。 距離的にかなり掛かりそうですね」


「……降りて、良い。 必要な時に飛んでくれると助かる」


 かくして一行はその砂漠と思われる方角へと歩いてゆく。それっぽい色が見えただけなので、実際の所は不明なのだが、それでも代わり映えのしないこの地獄を彷徨っているよりかはマシかもしれない。


「質問です。 敵が居た場合に、私たちはどう対処するのです?」


「簡単だ。 君がエクスカリバー持って、突撃。 出来れば、私とオペが支援に回る。 以上」


 ――――――まぁ、今はそれが一番に合理的だろう。問題と言う問題は、まともに戦えるのが私一人と言う事実だ。マール・ボルカトフとオペは明らかに戦えるだけの力がない。私みたいによく分からない存在が居る時点で、他にもよく分からない力を秘めてる者が居ても不思議ではないが。


「―――――――!?」


 突如として地面が揺れる。地震……にしては不自然な揺れだ。これは……。


「……マールさん、下に何か居ますね」


「ああ、すまないが飛ぶのは今だ……!」


 勢いよくルシファーに飛ぶつき、飛翔したところでその揺れの正体は姿を現した。


「ヒッ……」


 巨大なツタのようなものが地面のあちこちから突き破り、そこから全身にマグマが血管のように浮き通っている赤い花がそこには咲いていた。


「ッ……!? どうします?」


 ツタによる攻撃を現在進行で受けている彼等はとにかく対応方法を思考した。地中から出てきたと言う事は地中での移動が可能であると言っても良い。ので逃走と言う選択肢はまずない。


 であれば、アレを何とか倒すか撃退するかの二択に絞られる訳だが……対話は不可能だろう。会話する手段がまずない。そもそも、花と言う種の時点でコミュニケーションを重要とした生命ではないのでどう考えても却下だ。


 ならば、どうする。火炎系は通常なら有効そうだが、血管のように流れているマグマからして耐性はすこぶる高そうだ。現状では有効はない……か?


「オペ、魔法の中に水……いや、凍らせる魔法はないか?」


 オペは急いでカバンからリストを探すが、精神年齢7歳未満の0歳児には難解なワードの数々が待ち受けていた。


「あー、はい。 分かったから、貸して」


 リストからそれっぽい魔法をマール・ボルカトフは探した。なるべく強力な物を、これでもかと。そして……。


「―――――――はーい、見つけた。 終了、終了。 オペ、これを唱えてくれ」


「うん……ぜっ、たい。 れい……ど?」


 その言葉と同時にあの巨大な花はおろか、ここら一帯が凍り付き始めてしまった。


「……これ、不味いんじゃないですかね」


 実際にその通りである。だが急激に冷えて、固まる事が重要ではない。彼の唱えた絶対零度という状態が制御下を放れ、広がっていることが大問題なのだ。


「………」


 マール・ボルカトフは絶句した。オペに何度も止めるよう促したが効果がない。そう、止める手段がないのだ。今まさにこの世界はまた彼等の手に取ってささやかな終焉を迎えていた。




あと21話になってきました。正直、黒絶草の外伝と言う位置づけだけど世界観説明はこっちでしてる気がしてならない。

2週間感覚になってますが、このまま突っ走ります。次回で物語に動きがあるかな。

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