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第七話 遅い旅立ち

転移場所からようやく旅立ちます。


5/9 ステータスのスキル欄へ両手槍修練【I】、

    ptが一桁少なかったので修正しました。

 気が付くと一階に掘った穴の中で目覚めた。いけない、いつの間にか眠っていた様だ。しまった、火が消える迄と思い座って休憩していたのだが、まだ危険が去ったかどうか分からないのに寝てしまった。

 辺りは少し明るい。まだ太陽は出ていないが朝になった様だ。足元へ土を出し埋めながら穴の外へ出て周囲を確認する。辺りは一面焼け野原になっていて、拠点の外には黒焦げになった鎧や、ゾンビが焼けた後に残った墨や灰、骨が大量に残っていた。


「終わったのか?」


 辺りを念の為、見回してみたが敵の影は無い。今のところは大丈夫そうだ。危機はのり越えられた様だ、良かった。


 安心したところで腹が鳴った。昨夜は頑張ったからな、腹も減るだろう。手洗いうがいをして朝食を摂る事にした。


 メニューを決める前に効率よく筋肉をつける為、アミノ酸系プロテインを作成し水で流し込む。既に筋肉痛は始まっているが、これで緩和されるだろう。

 さて、いっぱい動いたからたんぱく質を摂りたいな。メニューはご飯に味噌汁、みじん切りしたキャベツやプチトマトを使ったサラダ、それに大盛にした豚肉の生姜焼きだ。勿論温かい緑茶も付ける。

 ヤードから出したら炊き立てのご飯、出来立ての味噌汁、擦りおろした生姜の匂いが混ざって空腹を更に増加させる。早速食べるとジューシーな肉汁の味がご飯で増幅されて、口いっぱいに広がる。美味い。久しぶりだな、こんな美味しい料理。


 ふと気づいたが、ここ二日程は死体のせいで食欲が無かったのに、今は問題無く料理を食べられている。これは昨日の襲撃で吹っ切れたという事だろうか。何にせよ、良かった。あのまま食欲が無い状態を続けていたら、病気になっていたかもしれない。


 朝食を摂ったら、歯を磨きながら今後の事を考える。取りあえず、外に転がっている装備は回収したい。だが、昨夜の火で軍や近くにある集落から注目をされていないだろうか。

 もし中隊規模以上の軍が来たら、今の自分では太刀打ち出来ない。ガソリン撒いて火を点けようが、マシンガンぶっ放そうが、数十人規模で矢を射られればそれで終わりだ。


 出来れば直ぐにここを立ち去った方が良いだろう。


 クリエイトで周辺の詳しい地図とコンパスを作製する。現在地はヴァンデラー平原か。この国、ヘルシャフト王国のど真ん中だ。近くの町は…と、遠いな、二百kmもある。間に幾つか集落が有る様だから、そこで休みつつ向かうしかないか。面倒だな。


 今後の事をしっかり考えてみた結果、まず警戒や探知、鑑定のスキルが欲しいと思った。旅先で敵が襲ってくる事が考えられる為、戦闘を回避出来る様にならなければいけない。

 あと、スマホの充電器。今迄電源切ってだましだましやってきたけど、バッテリー残量が30%を切ってしまった。これも早急に何とかしたい。


 これってスキルポーションも作れるのかな、と思って試してみたのだが、難なく出来てしまった。ptさえあれば無双出来そうだ。


 クリエイトで少し不味いスキルポーションの、警戒【H】と探知【H】、鑑定【H】を一本ずつ作った。それぞれ40万ptかかったよ、H評価でこれは結構高いと思う。

 充電器は単三電池を四本入れて、マイクロUSBで接続するタイプの物にした。早速スマホに繋いでおく。

 スキルポーションを飲んだ後、周囲に集中してみたが特に危険は察知出来なかった。やはり敵はいないようだが、油断は禁物だ。用心しよう。


 メニューを開いているついでにステータスを確認してみた。


 名前:ケイジ・クロダ

 性別:男 年齢:23歳


 HP :H【H】

 MP :G【H】

 STR:F【G】

 AGI:G【G】

 VIT:H【H】

 INT:F【H】

 DEX:F【H】

 LUK:H

 APR:D


 スキル:クリエイトオーダー【H】

     リセイプト【E】

     ディメンジョンヤード【E】

     ポイントイクスチェンジ【H】

     アナザーランゲージ【G】

     両手槍修練【I】

     探知サーチ【H】

     警戒ヴィジランス【H】

     鑑定エクスパートオピニオン【H】


 称号:創造神の使徒 死体収集家コープスコレクター


 クリエイトpt:241,010,000pt


 うん、能力が幾つか上がってるな。F評価だと実力のある騎士クラスらしい。あとは両手槍修練というスキルも得ている。


 ところでこの世界では能力値はどうやって上昇するのだろうか。いまいちわからない。STR、DEXはF迄上がっているのにAGIは上がっていない。AGIは成長力Gだから上がっても良さそうだが。更に言うと、INTがF迄上がってる。魔法は使ってないから原因が分からない。

 あ、もしかして最後に火を放ったからか?これが魔法を使ったと同じとみなされたのだろうか。もし火でゾンビ千体を倒していた場合、経験値ポーションの効果で1,000体×5倍という事になり、五千体倒したのと同じとなるのかな。


 ――と、いう事は、敵を倒したらステータスの能力が一定の割合で上がるのではなく、敵を倒した時に、戦闘中使っていた能力が成長し易いという事なのかもしれない。

 つまり、武器を使って倒したらSTR、DEXが上昇し易く、ナイフ等で連続攻撃をしたり、回避を多めに行ったらAGIが。魔法を使ったらINT、DEXが上昇し易いという事ではないだろうか?

 その証拠にHPやVITは上がってない。今回は一回も攻撃を食らってないし、極限まで疲れる事何度も行ってないからだと思われる。


 うーん、これならHP等も成長力を上げておけば良かったか。まあ、後の祭りだ。


 さて、外の物資を回収するとしよう。鉄格子外に積み重なった鎧や骨を強引にどけて外に出る。出来れば早くこの地を去らねばならないので、効率よく回収したい。幸いゾンビの死骸は拠点の周辺に集まっている為、回収自体はし易い。

 俺は拠点を一旦ヤードへ仕舞った。今更だけど、こんな大きな物でも入るんだな。どれだけ容量あるんだろ。助かっているから良いけど。

 次に拠点から離れ、地面に手を付き、拠点を中心に半径200mのすり鉢状の穴になる様、地面の土を収納した。土が無くなった途端、鎧等が坂を転がり中心へ集まる。集まった物の近くまで行き、灰や墨に手を触れ収納した。灰や墨は収納によって突然無くなるので、鎧等が宙に浮いた状態になり、重力で落下し、坂を転がってまた中心に集まる。その後で鎧やパイクを回収した。


 すると、穴の中に鈍い光を放つ紫色をした、宝石の様な物が多数落ちていた。


「なんだこれ?」


 手にとってみると視界にウィンドウが出た。


ゾンビの魔石:売却値 200クロム pt換算値 20,000pt


 おお、鑑定出来た。これが魔石ってやつか、初めて見た。売却値って事は店売りした場合の値段だろうか。クロムが通貨単位らしい。pt換算値はそのままの意味だろう。どちらがお得かはまだ分からないので売却は保留で。


 魔石を全て回収し終えた後は地面の穴を埋め、もう一度拠点を出して次に創造依頼する物を考える。


 「やっぱり乗り物が必要だな。200kmもどう考えても歩くのは無理。馬を作って貰えば安上がりだろうけど世話をしないといけないし、街には厩舎が有るかどうか…。あとは、冒険者になった場合狩りをしている間、魔物に襲われて馬を失うのも困る。」


 オフロードバイクならどうかと考えたが、街道はアスファルトで舗装されている訳ではないので、路面の悪いダートになっている事が考えられる。そんな道を200kmも走ったら、多分疲れてコケるだろう。バイクはちょっとの事故で大惨事になり易いから、避けた方が良さそうだ。

 じゃあ、自動車か。ダート走っても大丈夫なのはハマーが有名だったが。いや、あれは燃費悪いし、アメ車だから仕様がよく分からない。ここは日本企業の車が良いな。ランクル(ランドクルーザー)はフロントグリルにメッキ使われているから、悪路ばっかり走っていると直ぐにボロボロになりそう。特殊なシステムもいっぱい積んでいるから消費ptも大きいだろう。ここはFJクルーザーにするか。こっちの方は燃費が少しだけ良いし、ボディもメッキ塗装は無さそう。


 その後、クリエイト画面でシミュレートしてみたのだが…、必要ptが1億8千万らしい。んー、高いな。どうしよう、魔石も全部pt変換してしまおうか。いや、待てよ。車にはまだ作った事のない材質の物や部品がある筈。これらが初回作成の為、部品を大きく作った時に消費ptを押し上げているのだろう。ならば未作成の物を少しだけ作って作成済みにすれば、車を作った時に消費ptが抑えられる筈。


 早速試してみよう。ボディ、シャシーに使われている鋼材、強化ガラス、プラスチック、シートや内装の生地等を1cm四方。各種オイルやバッテリー液、クーラント等を1ccずつ等、兎に角思いつく物を手早く作成した。

 そして再びFJクルーザーの作成をシミュレート。ガソリン満タン、エンジンオイル等も上限いっぱい迄入れた状態だが、消費ptは1億2千万まで下がった。

 よし、高い事は高いが大分節約出来たぞ。時間かけた甲斐があったというものだ。


 そうだ、忘れていた。ヤードには大量の死体があるのだった。俺はヤードから死体や骨を全て出し、土を被せて埋めておいた。手を合わせて祈っておいたので最低限は礼儀を尽くしたのではないかと思う。呪わないでね。


 俺は拠点を再び仕舞い、FJクルーザーを焼け野原に出した。色は目立ちたくない為、全体をブラックに変更してある。おお、いかにも悪路を走破するといた感じが出ていて格好いい。

 コンパスと地図で方角を確認する。目的地はここから東にあるアッヘンバッハ領の町、シュテルケだ。そこへたどり着くまでに集落を幾つか通り過ぎる予定だ。


 俺は車に乗り込んでエンジンをかける。うん、問題無くかかった。これでエンジンかからなかったら笑い話じゃ済まなかったからな、いや、本当に。


 車を発進させ、焼け野原を進んでいくと10kmも行かないうちに森に突き当たった。街道が見当たらなかったので、探して北へ森の傍を進んでいくと無事に見つける事が出来た。それ程広くはないが、車が問題無く通れる幅だ。平原で軍隊が戦闘行為をしたのだから、物資を運ぶ荷馬車の行き来も有った筈。車が通れる筈だとあたりをつけておいて正解だった。

 スピードを最大40km/h位まで上げて車を走らせる。時に泥濘ぬかるみにはまったり、石が道から飛び出ている場所を慎重に進めたりしたが、問題無く進む事が出来た。

 馬車も今のところすれ違う事は無い。


 ペースが早ければ2日位で、時間がかかれば4日位で町に着く事になりそうだ。


筆者はトヨタ派です。

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