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閑山自撰詩篇

チャーリー

作者: 竹井閑山

夢のなか深く潜っていれば

チャーリーがそばにいることを

これっぽっちも疑わない

なのに夜が明けそめるころ

さかしらに

理性が頭をもたげ始める

なんだお前

生きていたのか

死んでなんかいなかったんだな

でも ああ いつもここからなんだ

お前がいまだ生きているのを

不思議に感じ始めるのは

死んでなかった?

死んだんじゃなかったっけ

もういないはずだったのに

家出したきり帰って来ないんだったっけ

いや そんなはずはない

私がしっかり看取ったんだ――

そう いつもこの順番で

記憶がはっきりと戻ってくる

そこまで思い出したなら

目の前の画が静止して

輪郭がうすぼやけてくる

ああ いかにもつらい

そうやってお前との永遠の別れを

何度も追体験させられるのは

けれど それはお前と暮らしたとしつきが

幸せだったことをしめす証しなんだ

どれだけいっぱい遊んだろう

どれだけいっぱいじゃれ合ったろう

お前と重なり 心地よい眠りを貪り合うことの

どれだけしばしばだったろう

愛情をたっぷり注いだお前の体からは

けだものの匂いなんてしなかった

甘く香ばしい素敵な香りを放っていたよ

ここまでついて来てくれたお礼を言わなきゃ

まだ何も言ってなかった

ありがとう でも猫の姿は

ほとんど影のようになってしまっている

ありがとう

私の声は届いているだろうか

感謝の気持ちを伝えたいのに

何もしてやれない

ふがいないご主人様でごめんね

そんな私に見返りも求めず寄り添ってくれた

ありがとう

夢が覚めていくのが早すぎて

言葉がとても追っつかない

ああ たとえこの感謝の気持ちが届かなくても

つらくて寂しくてめげそうになっても

私はありがとうを言い続けて

お前との懐かしい思い出を

胸にしまって生きていくよ

ありがとう

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