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常華*打ち切り版  作者: タナトス
第1章 邂逅
8/11

Scene5

―20XX 7.22 11:00―

「支部長!脱出艇が見つかりました!!」

「どこだ」

「トウキョウエリアのF7ブロックです!」

「至急部隊を派遣し周辺ブロックを捜索しろ!『種』の発見は我々にとって最重要事項だ、どんな些細な痕跡も見逃すな、心してかかれ!」

「「「「はっ!」」」」



「で?今日は何をしに来たんだ?弾はこの前買ってったし、新調しに来たか?」

あのあと、盛大に悪乗りするギルと白を黙らせるのに30分以上かかった。

「いや、今日はこいつの身分証を手に入れたくてな」

そしてこいつに大雑把に事情を説明する。

「なるほど、しかし話を聞くとなおさら解せねぇな」

「やっぱりお前もそう思うか」

「あぁ。お前の寝床って確かF8ブロックだろ。あそこはこんな小さい嬢ちゃんが一人で入り込める場所じゃねぇはずだ」

「そうなんだよな、隣接ブロックにも孤児院やブローカーのアジトなんてないし、『檻』があんのは特区だしなあ」

昨日から見ている限りでは、白は対して強いわけでもない。百歩譲って何かの間違いで隣接した区から紛れ込んできたとしてもその隣接区に白がいた可能性のある施設がないのだ。そしてこの町で対して強くもないやつがいくつもの区の『裏』を抜けれるわけがない。コイツ(白)があそこにいたのは何とも納得のいかないことだった。

「まあ、んなことはいい。で、作れるのか」

「ああ、1時間もあればできるぜ。登録名とかはどうするんだ」

「歳は18、引受人は俺でいい。名前は――」

「白蓮」

いきなり後ろから発せられた声に少々驚いたが、微笑を浮かべて俺を見る白を見て苦笑を浮かべた。

「てなわけで名前は御堂白蓮にしといてくれ」

「オーケー、関係はどうしておく?」

「ふむ、じゃあ兄妹に――」

「従妹」

「ん?どうしたいきなり」

「従妹」

「いや別にいいが……兄妹のほうが何かとべん――」

「いとこ」

「お、おう、わかった。しかしどうしたいきなり?」

「……わかんないけどなんか嫌だった」

「兄妹って名乗るのがか」

「……(コクリ)」

「ふむ、もしかしたらお前は兄弟とかがいたのかもな」

「そうかもしれない」

なぜか強硬に兄妹と名乗るのを嫌がった白とそんな話をしていたらギルがこちらをジトッとした目で見ているのに気付いた。

「(ったく、なんで気づかないのかねぇ。いや、ちみっこ(白蓮)のほうもまだはっきりと自覚はしてないっぽいか。だいぶまだるっこしい関係になりそうだな)」

「どうした?」

「いや、なんでも。んで?この前売った武器の調子はどうだい?」

「ああ、一応今のところ文句なしだ。銃の精度と威力もよかったが、それ以上にあのナイフと刀には驚いたな、全力で振って切りつけても欠けも曲がりもしなかった。」

「そりゃあよかった。たださすがにあれやあれに匹敵するものはそう頻繁には調達できん。大事に使えよ」

「ああ、わかった」

そんな話をしつつ、30分程各区の『裏』の情報などをやり取りしていたら、奥から何か妙なものが出てきた。

「なるほどねえ。品の流れが悪いと思ってたらやっぱり4区が荒れてたか……っと、そらお求めの品だぜ」

「なに?随分と速いな。クオリティは大丈夫なんだろうな」

もし粗悪品だったら、と睨みつけると心外そうに手を振りながら

「おいおい、お前はうちの店にとっちゃ金払いのいいお得意様だぜ?そのお前を騙すようなまねはしねえよ。騙しでもしたら問答無用で殺されそうだしな」

などと言っていたからまあ大丈夫だろう。「よくわかってるじゃないか」と言ったら何故か少々顔を青くして呻いていたが、後悔している風ではなかったから大丈夫だろう。

「そういえばそれはなんだ?この前来た時には見なかったが」

「ああ、これか?この間博士殿が持ってきたロボットでな、結構細かい動作も任せられるってんで手伝いに重宝してるぜ」

「アイツのか……」

ギルのいっている『博士殿』とは如月のことだ。あいつは闇医者の他にこういうロボットなどを作ってさまざまなところで提供しているらしい。渡しているものはおおむね好評なのでおそらくはかなり腕がいいのだろうが、アイツの作るものとなるとろくなものでないような気がしてしまうのは俺の気のせいだろうか

「まあ大丈夫だろうが気をつけろよ、アイツの作ったものだ。どんな機能がくっ付いてるかわかったもんじゃない。朝起きたら店が更地になってたなんてことがないようにな」

「まさか、大丈夫だろ。博士殿の品で苦情が来たことはないしな」

「そうか……がんばれよ」

「なあ、おいどういう意味だ?なんか知ってるのか?おい」

「必要なものは手に入ったからもう帰る。じゃあな」

おいちょっとまて、おーい、というやつの必死な声を聞きながら白を連れて表通りに向かった。


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