Interlude2 side解放軍
―20XX 7.21 12:30―
男はいら立っていた。
「第七支部の情報はまだか」
「はっ、状況確認に向かった者からの報告、および第七支部からの定時報告共にありません」
「状況の把握を急がせろ、もし奴らが襲撃されたか、万が一裏切りでもしていた場合一刻を争う」
「はっ、しかし向かわせた者たちからの報告がないことには……」
部下の愚鈍さに思わず舌打ちを漏らす。
「すでに予定時刻から30分が経過しているが連絡がない。もし10分以内に連絡がなかった場合、第七支部及び先遣隊は壊滅、もしくは裏切ったと考える。見つけ次第処断しろ」
「っ……しかし」
「第七支部には『種』がある。万が一にもあれを渡すわけにはいかん。それ故に第七支部には厳重な報告義務が課せられていた。無論状況確認に向かった先遣隊にもだ」
「はい……ですが」
「くどい、命令は変わらん。10分以内に連絡がなければ第二陣を派遣し、全ての痕跡を抹消しろ。忘れるな、あれが無くなれば我々の悲願は大きく後退する。ましてや奪われるようなことになれば……」
「はい、了解しました」
「支部長!」
現状のまずさをやっと認識した部下が気を引き締めているところで別の部下が駆け込んできた。
「なんだ」
「先遣隊から連絡が来ました!」
「報告しろ」
「はっ、第七支部は壊滅しています」
「連れ去られたものはいるのか」
「いえ、研究者、職員、警備の全員の死亡を確認しました。ですが……」
ひしひしと嫌な予感を感じながら部下に報告を促す
「どうした」
「はっ……『種』の姿が見当たらないそうです」
「なんと……連れ去られたのか?」
「いえ、脱出艇が一つ射出されていました。しかし……」
「なんだまだ何かあるのか」
「はい、脱出艇の操作を行ったのは天道博士です」
「ということは……」
「はい、射出先の特定はできませんでした」
「くっ、だからあれほど彼女を使うのはもうやめろと進言していたというのに……まあいい、襲撃者は誰だ」
「監視カメラのデータが破壊されていたので確証はありませんがおそらく奴らかと」
「ふん、だろうな。よし、至急『種』の捜索を始めろ、射出路などを調べて『種』の大まかな位置を割り出せ。あと持ち出された資料がないかどうかも調べておけ。どちらも終わったら第七支部を破壊し後続と合流しろ。奴らは今回の襲撃で我々が何か奴らにとって不利益になるものを保持、研究していたと気づいているはずだ。奴らに『種』を確保されるようなことがあってはならない。迅速に行動しろ!!」
「「はっ!!」」