可能性は0.05
俺のクラスには人外がいる。
そして、俺の名前は真心里李という。
俺は夏に、この学校に転入してきた。この学校の一番の美少女と共に。
その美少女は真野エリカという。真野エリカはこの一ヶ月で四季一鏡と呼ばれる美形生徒会の五人を誑かしたと有名だ。
でもそれは女子が僻みで流した噂らしい。でもそういう姿を見たところがあるらしい。これ、全部人からの情報だ。
だが俺は、友達が多いわけでもなかった。
勝手に、情報を横取りしたのだ。
さきほど、繰鼠から問われた、妖怪の存在の有無。
いると思うかと問われ、頷いた。
当たり前だ。俺がその妖怪なんだから。でも、人間の血も流れているから半妖、ってことだな。
そんなわけで、俺はキツネの妖怪で、サトリの能力を得意としているわけだが。
この学校は、異常だ。特にこのクラスは、異常。
真野エリカは兎。猫山日向は猫又。羊川一狼は大狼。骨宮犬は犬。繰鼠りすはりす。俺、真心里李は狐。担任も生徒会も転入生も同級生も風紀委員も皆みんな、妖怪である。
妖怪と言っても、人間がそうぞうする妖怪とは違く、〝そういう力〟を持っていれば妖怪である。犬でも狐でも狼でも、力を持っていればただの動物ではなく妖怪、ということ。
まあそれはいいが、今俺は混乱している。
放課後忘れ物をして教室に行ったら、皆が獣耳を装着していたのである。
「――」
「――――」
沈黙。
「そんなに、ケモミミ趣味がいたとは――!」
「あー……、まあ、な」
「お、おう」
俺が言えば、そこにいる皆が目を逸らしながら頷く。
俺が知らないふりをしているのは、面倒だからだ。妖怪仲間がなんだとか、面倒くさい。俺は別に仲良くなりたいとは思っていない。
これは、俺の正体がばれるまでの物語。