可能性は0.04
俺のクラスにはリスみたいなやつがいる。
そいつの名前は、繰鼠りすという。
なんでもそいつには、頬袋があるらしい。らしい、と他人から聞いたように言っているが、俺は実際それらしき場面を見た。
あれは、昼休みにアイツが弁当を一人で食べていた時だ。俺も日向が委員会でいなくなり、一人だったとき、そいつを誘って一緒に食べようとしたんだ。
繰鼠は綺麗で男子からも女子からも密かに人気だが、本人が人を寄せ付けない性格をしているため、この時俺はどうかしていたんだと思う。
頭の中で、溜息のBGM。
そして今日も、繰鼠は一人でいた。ように見えた。
中庭で一人でいて、何をしているのか。そう思ってのぞいてみると、繰鼠だけではなく、日向に羊川、骨宮までいた。何かを話しているようだ。
何の話だろう?
「ばれてるって、絶対」
「でも嘘ついているようじゃなかったぜ?」
「それでもさあ、二回も見たんだよ?」
「俺のこれをそういう趣味だって言われたんだけど」
ううむ。よく分からない。
どういう話だ?
何がばれるんだ?
もう、面倒くさいや。
「おい、何の話?」
「にゃ!?」
可愛い泣き声を出したのは、日向だ。
「よ、よお、お前、こんなところで何してんだ?」
「いや、アンタらこそ何やってんだよ? コソコソと」
そういうと、目を逸らす一同。なんなんだ?
「ええい、まどろっこしいわ! お主、問うぞ!」
お婆ちゃんみたいな話し方で俺をお主と言ったのは、繰鼠。
「――お主、妖怪はおると思うか?」
うん、と頷く。
だって、そうだしね?
顔を真っ青にしている皆を背に、教室に向かった。
もうすぐ授業始まるけど、アイツら知ってるのか? 知らせておけばよかったかも。